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氷の様式美に泥をぶちまけろ!  作者: velvetcondor guild


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5/10

5

そこへ――


韓国ドラマ界の“視聴率女王”、

主演女優の チョン・セリム。


完璧なスタイル、

完璧な笑顔、

完璧な計算高さ。


「はじめまして、ユミ作家。

私、今回の主演を務めます、チョン・セリムです。

よろしくお願いしますね。

……あ、ジュニオッパとは、アメリカ時代からの“友達”です♡」


会場がざわつく。


ユミの眉がぴくりと動く。


ヨギョンは、

会場の隅で叫んだ。


「出たぁぁぁ!!

韓国ドラマ名物、“オッパ呼びの女優”!!

絶対なんかあるやつ!!

絶対三角関係になるやつ!!

せんせ、気をつけて!!

あの女、絶対“友達”じゃない!!

“友達”って言うやつほど友達じゃない!!」


ユミは、

にっこり微笑んだ。


「そうですか。

“友達”なら、

仕事の邪魔はしないでくださいね」


セリムの笑顔が、

一瞬だけ固まった。


ジュニは、

なぜか咳き込んだ。



記者が質問する。


「ハ・ジュニ作家。

今回のドラマのヒロイン像は、

どんな女性ですか?」


ジュニは答えた。


「……強くて、

弱くて、

よく笑って、

よく泣いて、

自分の傷を隠さない人です」


ユミの心臓が、

また跳ねた。


記者が続ける。


「そのモデルは、

もしかして――」


ジュニは、

ユミを見た。


「……秘密です」


会場がざわつく。


ヨギョンは、

涙目で叫んだ。


「オッパぁぁぁ!!

なんでそこで“秘密”なんですか!!

“はい、ユミです”って言ってくださいよ!!

視聴率30%いきますよ!!

いやでも“秘密”って言われたら言われたで、

なんか余計に意味深でドキドキするじゃないですか!!

どういうつもりですかオッパ!!」


ユミは、

顔を赤くしながらも、

逃げなかった。


制作発表会が終わり、

記者たちが帰り始めたころ。


スタッフが、

ユミとジュニに声をかけた。


「お二人、

最後に“共同制作のワンショット”を撮らせてください」


ユミは戸惑う。


ジュニは微笑む。


「……いいよな?」


ユミは、

ほんの少しだけ迷ってから、

うなずいた。


二人が並んで立つ。


カメラマンが言う。


「はい、笑ってくださーい!」


ユミはぎこちなく笑う。


ジュニは、

自然に笑う。


その瞬間――


ジュニが、

ユミの肩にそっと手を置いた。


ユミは驚いたが、

逃げなかった。


カメラのシャッターが切られる。


――奇跡の一枚。


その写真は、

翌日、

韓国中のニュースサイトのトップを飾ることになる。


『元恋人同士!?

ハリウッド帰りの天才脚本家 × 泥のリアリズム作家

“運命の再会ショット”が話題沸騰!』


ヨギョンは、

その記事を見て叫んだ。


「ユミせんせ!!

これ、完全に“運命の二人”扱いされてますよ!!

視聴率、初回から30%いきますよ!!

いやもう、これは勝ちました!!


劇的ハッピーエンドです!!」


ユミは、

写真を見つめながらつぶやいた。


「……別に、

ハッピーじゃないわよ」


でも、

その声は、

ほんの少しだけ、

嬉しそうだった。



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