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そこへ――
韓国ドラマ界の“視聴率女王”、
主演女優の チョン・セリム。
完璧なスタイル、
完璧な笑顔、
完璧な計算高さ。
「はじめまして、ユミ作家。
私、今回の主演を務めます、チョン・セリムです。
よろしくお願いしますね。
……あ、ジュニオッパとは、アメリカ時代からの“友達”です♡」
会場がざわつく。
ユミの眉がぴくりと動く。
ヨギョンは、
会場の隅で叫んだ。
「出たぁぁぁ!!
韓国ドラマ名物、“オッパ呼びの女優”!!
絶対なんかあるやつ!!
絶対三角関係になるやつ!!
せんせ、気をつけて!!
あの女、絶対“友達”じゃない!!
“友達”って言うやつほど友達じゃない!!」
ユミは、
にっこり微笑んだ。
「そうですか。
“友達”なら、
仕事の邪魔はしないでくださいね」
セリムの笑顔が、
一瞬だけ固まった。
ジュニは、
なぜか咳き込んだ。
記者が質問する。
「ハ・ジュニ作家。
今回のドラマのヒロイン像は、
どんな女性ですか?」
ジュニは答えた。
「……強くて、
弱くて、
よく笑って、
よく泣いて、
自分の傷を隠さない人です」
ユミの心臓が、
また跳ねた。
記者が続ける。
「そのモデルは、
もしかして――」
ジュニは、
ユミを見た。
「……秘密です」
会場がざわつく。
ヨギョンは、
涙目で叫んだ。
「オッパぁぁぁ!!
なんでそこで“秘密”なんですか!!
“はい、ユミです”って言ってくださいよ!!
視聴率30%いきますよ!!
いやでも“秘密”って言われたら言われたで、
なんか余計に意味深でドキドキするじゃないですか!!
どういうつもりですかオッパ!!」
ユミは、
顔を赤くしながらも、
逃げなかった。
制作発表会が終わり、
記者たちが帰り始めたころ。
スタッフが、
ユミとジュニに声をかけた。
「お二人、
最後に“共同制作のワンショット”を撮らせてください」
ユミは戸惑う。
ジュニは微笑む。
「……いいよな?」
ユミは、
ほんの少しだけ迷ってから、
うなずいた。
二人が並んで立つ。
カメラマンが言う。
「はい、笑ってくださーい!」
ユミはぎこちなく笑う。
ジュニは、
自然に笑う。
その瞬間――
ジュニが、
ユミの肩にそっと手を置いた。
ユミは驚いたが、
逃げなかった。
カメラのシャッターが切られる。
――奇跡の一枚。
その写真は、
翌日、
韓国中のニュースサイトのトップを飾ることになる。
『元恋人同士!?
ハリウッド帰りの天才脚本家 × 泥のリアリズム作家
“運命の再会ショット”が話題沸騰!』
ヨギョンは、
その記事を見て叫んだ。
「ユミせんせ!!
これ、完全に“運命の二人”扱いされてますよ!!
視聴率、初回から30%いきますよ!!
いやもう、これは勝ちました!!
劇的ハッピーエンドです!!」
ユミは、
写真を見つめながらつぶやいた。
「……別に、
ハッピーじゃないわよ」
でも、
その声は、
ほんの少しだけ、
嬉しそうだった。




