二話
「崑ちゃん、あの山に行こうぜ。」
「太吉、おれんに怒れるぞ」
崑夜叉は学問を終えて、家を抜け出し太吉と近くの川で石投げをしていると太吉が言った。
乳母兄弟で本当の兄弟のように育たせいもあるので気が楽だ。
「母ちゃんならおまいの面倒見ているよ」
おまいとは太吉の二歳になる妹で少し体が弱いのだ
おれんの夫はほとんど家に寄りつけずにいるのだ。元は旅の商人だったらしいが女好きだ
「そうか。あの山は・・・(今、絶対、熊や猪いるだろう・・・)」
前世では地方都市育ちで都市化も進んでいたので熊や猪は市街にしかいなかったので見たことはない
がテレビでよく被害などを報じていたので気を付かないといけない。
(火縄銃持てないしな)
考えていると
「・・・おまいの熱さましにいい薬草が生えていると村のお婆が言っていたんだ」
太吉の声で
「・・・分かった
おまいの為だよな?」
「ああ!!」
こうして子供だけで山に入る事になったのだった。
「こっちだ。」
何とか山に入り薬草が生えている場所についた
「あれだ。」
「じゃ摘みか。」
「ああ。」
薬草を積んでいる内に暗くなったので太吉に声をかける
「太吉、暗くなったから帰るぞ」
「分かった」
その時だった
「グルル」
「熊!?」
熊が出てきて二人に襲い掛かろうとしたがいつまでも痛みがないので
「全くお前らはー」
「あ、荘兵あんちゃん!!」
太吉の声で目を開ける
「荘兵?」
黒髪を高い位置で結んで着物越しでも引き締まったのが分かる体つきの美青年で川松家に次ぐ家柄の長男である市上荘兵十七歳だった。




