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一話

一五六五年(永禄八年)ー将軍足利義輝が暗殺された年でもある伊賀国の平家の隠れ里は将軍暗殺について話しもあったがなんせ平家の隠れ里であるのですぐその話は聞かなくなった。

「平和なのはいいけどなんか怖いな。」

「どうした?崑夜叉よ。」

「いえ、何でもありません。兄上」

現在数えて六歳の崑夜叉は、十歳上で十六ながら里の長である兄川松弥平治祐光かわまつやへいじすけみつと朝餉を取っていたが答えた。

「そうか。この鮎、昨日太吉たきちと取って来たらしいな」

「はい。」

太吉とは同い年の乳母兄弟でおれんの息子だ。

「川遊びもいいが・・・」

祐光は崑夜叉に勉強もしろと言っているのだ

「分かりました。」

「ならいいが」

祐光とは今世ではたった一人の身寄りである。

今世の父親は産まれる前に北畠の領地に物売りに行ったがなにやら厄介事に巻き込まれて命を落とし、母親は産まれてすぐ亡くなり、まだ弥平治だった祐光とおれんに育たられたのだ。


「朝餉を済ませたら六餡を読むように。」

「・・・はい。」

武家の様な教育もされるのは平家だったからだろうか?

(いいけどな・・・)

崑夜叉は思うのだった。

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