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≪付録・破5≫

コスタニコは私達に背を向けていた。

彼女は振り返る事はせずに、


「借りは返す」


と言い放った。


殺そうとしたにも係わらず自分の命を助けてくれた、という恩義にコスタニコは報いようとしているのであった。


ハネマミレを追尾していくホーミングレーザー。


しかし当たらない。


ハネマミレは速度だけでなく、その運動性も非常識で進路変更する際には曲線ではなく鋭角を描き、迫り来る数多のホーミングレーザーを巧妙に掻い潜ってしまうのである。


「マクシア! 私にエネルギーを!」


「は~い」


コスタニコの要請に従い、マクシアは核融合反応アクセス権にて得た膨大なエネルギーを彼女に供給する。

コスタニコはそれを源にして自動追尾光線の魔法に魔力を大量上乗せした。

するとホーミングレーザーの本数が一挙に激増したのである。

さらに彼女は、件のトリプルタスクを行い、無数のレーザーを放つようになった増強自動追尾光線魔法を三つ同時に行使したのであった。


上空は超大量のホーミングレーザーによるオレンジ色の光で瞬く間に染め上げられてしまう。


ハネマミレの運動性がどれほど理不尽であろうと、弾幕が濃厚過ぎて通り抜けられる隙間が無ければ回避できない。

どうにか逃れようとするハネマミレであったが、一発、二発と被弾して体の羽が剥離していく。

被弾数は徐々に増えていき、ハネマミレが小さくなっていく。

そして最終的にはホーミングレーザーの束を纏めて食らい、空に爆散の華を咲かせたのであった。


ハネマミレ撃墜成功である。


「やったぞ!」


私は快哉を叫んだ。


(……ちょっと待てよ)


だが、その後で胸騒ぎを覚える。


(大魔王を倒したって事はつまりー)


私の胸騒ぎの正体はすぐに明らかとなった。


コスタニコの身体に黄金の光が一瞬迸ったのである。

マクシアの時と同じように。

その発光現象が意味するところは、ハネマミレを討った恩賞としてその核融合反応アクセス権がコスタニコに与えられ、彼女はアルティメッツ化したという事であった。


「素晴らしい! これが核融合反応アクセス権か! 力が流れ込んでくる! オウタデバイスと比べても遜色ない!」


コスタニコは核融合反応アクセス権の事を知っていた。

どうやって知ったのかといえば、考えられる術は一つしかない。

彼女はずっと意識の無い振りをして、先ほどのイェンの昔話をすべて盗み聞ぎしていたのである。


「感謝するぞマクシア。君がまんまと協力して、私にハネマミレを倒させてくれたおかげで、狙い通り核融合反応アクセス権を入手する事ができた。これでもうオウタデバイスが無くとも、私のみの力でジェノサイドを成す事ができる。アハハハハ!」


哄笑するコスタニコ。


彼女の態度から私は察した。


(ハネマミレとの戦いに加勢してくれたのは報恩の気持ちからなんかじゃなかった。この女は命を助けてもらった事など、なんとも思っていなかったんだ。マクシアを誘導して核融合反応アクセス権をゲットするチャンスだったから便乗したに過ぎない。なんて油断も隙も無い。となると、次にこの女が取る行動はー)


私の懸念は的中した。


コスタニコはイェンへと向き直り、


「リーダー、自身のノットレイシストの正体が禁断症状である事が判明しても、きっとあなたは私のジェノサイドを阻止しようとする。オーバースペッカーであるリーダーは最大の障害となる。だからやはりここで死んでもらう」


と、早速、彼をその手にかけようとしたのである。


「万物腰斬という凄まじい超々能力があろうと、発動条件が大切な仲間の死であるのなら、真っ先にリーダーを殺害してしまえば用をなすまいて」


コスタニコは万物腰斬の弱点もしっかり把握していた。

彼女の指先からアンチマテリアルビームが迸ろうとする。


「!」


が、その刹那、コスタニコの背後に起つ者が出現したのである。


オウタであった。


彼も目を覚ましたのである。


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