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≪付録・破4≫

イェンは語るべき昔話をすべて語り終えた。


オウタとコスタニコの意識はまだ戻らず、二人は眠ったままである。


私はイェンの脳に直接呼び掛けてきた謎の声について、もう少し話を聞きたいと思い、口を開こうとした。


その時であった。


私達の頭上、遥か上空から、ドゥバオーン!!という爆発音が轟いてきたのである。


咄嗟に空を見上げたが、音の発生源を視認する事は出来なかった。


しかし私達はその姿を見ずとも音だけでわかってしまったのである。


六体の大魔王の内、まだ私達が遭遇していなかった最後の大魔王


【ハネマミレ】


が襲来してきたのだと。


かつて空を飛ぶ魔物の中で、羽、という物を有するものは存在しなかった。

なぜなら飛行する魔物は魔法の力で飛んでいるため、羽という脆くてかさばるものは邪魔でしかないからである。


だが一体だけ羽持つ空駆ける魔物が確認されたのである。


それがこのハネマミレであった。


ハネマミレ、その姿は小・中・大と様々なサイズの真っ白な鳥羽のみで構成された巨大な羽の塊である。


けれども、その無数の羽は空力学的に何の意味も成していない。

御多分に漏れず魔法で飛翔しているのである。


ハネマミレの飛行速度は音速(マッハ1)よりも速い超音速に達しており、先ほど私達が耳にした爆発音は、音速を超えた存在が発生させるソニックブームであった。

超音速であるがゆえ、ハネマミレが通過した後に、その飛翔音が遅れて聞こえてくる事になるため、音が聞こえた方を見ても既に手遅れでそこにはおらず目視できないのである。


ハネマミレの攻撃手段は、体当たり、であった。


超音速で、その巨体をぶつけてくるのである。


先のクリボーが自身を爆発させることで破壊をもたらす、反応エネルギー弾、であるとするなら、こちらは自身の質量と速度で破壊をもたらす、運動エネルギー弾、であった。


「や~」


マクシアが速攻で上方に防壁を展開した。


その直後、直上より音速を超えた証であるマッハコーンをまとったハネマミレが降ってくる。


弾着!


もしこれが以前の42馬力マクシアが張った防壁であったなら、ハネマミレの直撃に耐えられず突破され、私達は全員五体バラバラに吹き飛ばされていただろう。


けれども今の彼女は核融合反応アクセス権を持つアルティメッツマクシアなのであった。


彼女はその莫大なエネルギーを防壁へ投入して強化し、見事にハネマミレのスーパーソニックタックルを弾き返したのである。


私達の周囲にはハネマミレから飛び散った純白の羽毛が大量に乱舞し、幻想的な光景が広がった。


けれども跳ね返されたハネマミレは諦めなかった。

上空へと舞い戻り、更なる加速を行い、再び体当たりを仕掛けてきたのである。


が、マクシアの防壁は破れない。


それでもハネマミレは攻撃を断念しない。

加速を繰り返し、何度も何度もタックルを敢行してくる。


遂にその飛行速度はマッハ5を超え、極超音速、の域へと到達した。


スーパーソニックタックルがハイパーソニックタックルとなったのである。


今のハネマミレが大地に落ちれば、そこは大陥没し、巨大クレーターが出来上がる事となるであろう。


まさしく大量破壊兵器の名に恥じぬ威力である。


しかしそこまでの破壊力を以てしてもアルティメッツマクシアの防壁が打ち破られる事は無かったのであった。


これならば私達の身は安泰である……とは言えなかった。

核融合反応アクセス権を有するマクシアに魔力切れの心配は無いのだが、人の身であるがゆえ体の疲弊は避けられないのである。

ハネマミレは火の三連急の時、三日三晩不眠不休で活動し続けた。

ゆえに、もしこのまま長期戦にもつれ込んでしまったなら、マクシアは肉体疲労により防壁を維持できなくなり私達は敗北を喫する事になってしまうのである。


反撃の必要があった。


だが、私達にはそのための手段が無かったのである。


極超音速にて空を飛翔する敵をイェンの剣で地上より迎撃するのは絶対不可能である。


マクシアはヒーラーなので攻撃魔法は修得していない。


想定したくないが、もし誰かが犠牲となってしまい、イェンの万物腰斬が発動したとしても、あの形態のハネマミレに腰部というものがあるとは到底思えないので無効であった。


遠距離攻撃魔法を本職とする火力支援士の力が求められたのである。


極超音速で飛ぶ敵をも撃ち墜とせる超一流のファイエルの力が。


けれども、このパーティ424に、そのようなファイエルはもう……。


と、その時、突如として空中に多数のオレンジ色をした光の筋が舞ったのである。


光の筋は飛行するハネマミレを追いかけて行く。


自動追尾光線〈ホーミングレーザー〉であった。


今、この場において、その魔法を扱える者は一人しかいない。


コスタニコである。


眠っていたはずの彼女が俄に毛布を取り払って起き上がり、ホーミングレーザーを放ったのであった。


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