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≪付録・序8≫

(何という事だ!)


身体が粉々の状態で石化が解けてしまえば、当然死んでしまう。


そうなる前に治さなければならない。


コスタニコが倒されたので、オウタにかけられた石化魔法が解除されるのは時間の問題であった。

すぐさま対処しなければならない。


私はマクシアへ視線を向けたが、彼女は首を左右に振った。


「私、もう魔力がありません~。先ほど防壁魔法で使い切ってしまいました~。イェンとメイスンから魔力供給してもらっても、あの状態のオウタの救うには全然足らないです~」


「くっ」


私は産まれて初めて自分の個人保有魔力量が3馬力しかない事を呪った。


そうした危機的状況の中で、


「……マクシア」


と呼び掛ける者がいた。


イェンである。


彼は持っていた剣を取り落し、大量の汗をかきながら震えていた。

狂喜に染まったその表情を人に見られたくないのか、両手で顔を覆っていた。

しかしその指の間からバッキバキにキまった目が覗いてしまっている。


「……何があっても、俺が一生面倒みるんで……」


徐に、そう発言するイェン。


「……」


言われたマクシアはポカンとなり、


「ん~、なんか急にプロポーズされちゃいました~」


と困惑する。


そんな彼女をよそに、イェンは突然、


「聞こえるか! 【核融合反応アクセス権】とやらを渡す相手を決めたぞ! マクシア・ハンニバル・ボルフェスに譲渡する! だから早いとこやってくれ!」


と空に向かって声を張り上げたのである。


彼の叫びは意味不明であった。


誰に向かって何を言っているのか理解不能である。


しかし、異変は突如として起こったのであった。


「!?」


マクシアの身体に黄金の光が迸ったのである。


それは一瞬の出来事であり、光はすぐに収まったが、彼女は己の体に起こった変化を自覚する。


「わ~、大きな力が私に流れ込んできます~。まるで忍法を使っているオウタからエネルギー供給を受けているみたいですね~。これなら細胞の欠片から人体を丸ごと再生させる事も私一人で余裕です~。何がなんだかよくわかりませんが、とりあえずやることやりま~す」


マクシアは粉々だったオウタを治してしまった。


「……マクシア……あっちも……頼む……」


イェンは震える指先で両断されたコスタニコを示す。


「わかりました~」


マクシアが治療に取り掛かる。


コスタニコはもはや痙攣すらしておらず、私は彼女が既に死亡したと思っていたので、


「まだ助かるのか?」


と尋ねた。


するとマクシアは、


「大丈夫ですよ~」


のんびりと答え、


「頸部切断だと脳への血流が途絶えてすぐに駄目になっちゃうんですけどね~。体幹切断の場合は脳と心臓が繋がってますから血流が維持されているので~、長ければ10分ぐらい持つんですよ~」


との事であった。


マクシアはコスタニコの切断面をジッと見詰めて、


「モツが食べたくなりますね~」


とコメントした。


イェン肉やオウタ肉と同様にコスタ肉もマクシアのお眼鏡にかなったのであった。


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