≪付録・序2≫
(!? 討ち取っている? あの量産型大魔王を? イェンが? 一体どういう事だ?)
私は彼に詳しい話を聞こうとした。
その時であった。
「おや、うちのリーダー、随分と具合が悪そうじゃないか」
コスタニコであった。
行方不明になっていた彼女がふらりと現れたのである。
ただ、私をはじめイェンもマクシアも、最初それが誰なのかわからなかった。
コスタニコの様相は一変していたのである。
いつもはそのストレートロングヘアで顔全体を覆うゼンカクレであるのに、今は髪をきっちりと横に分けて美顔を露わにしている。
猫背気味であった背筋はすらりと伸び、喋りはハキハキとしており、内気で気弱で大人しい感じは失われ、代わりに尊大でふてぶてしい雰囲気を発していたのである。
しかも、棺桶担いじゃっている系女子、でなくなっていたのであった。
もはや別人といっても過言ではなく、私達はそのローブや魔女帽子などから、それがコスタニコである事に辛うじて気づけたのである。
コスタニコは負傷者の救護に勤しんでいる他種族パーティを横柄な態度で眺め、
「大魔王とやり合ったといったところか」
と状況を察し、それから、
「ふむ、これはちょうどいい機会だ」
と独りごちた。
彼女はイェンの方へと向き直り、他種族パーティを指し示しながら、
「リーダー、これからあいつら全員殺すから、それを許可してくれ」
と、とんでもない発言をしたのである。
「……急に何を言っているんだコスタニコ。一体どうしちまったんだ? おかしいぞ」
フラッシュバックによる体調不良から立ち直れていないイェンが尋ねる。
コスタニコは肩を竦めてみせる。
「おかしい事なんて何もないさ。だって、これが本当の私だからね」
彼女は肩をそびやかし、
「改めて自己紹介しよう。私の名はコスタニコ・ジドラジド。イイトモン帝国初代皇帝ドラジド・サンタモ・ジドラジド様の末裔にして正当な王位継承者だ」
と、更なるとんでもない発言をしたのであった。
「……」
イェンは絶句している。
「……」「……」
私やマクシアも言葉を失っている。
「突然、こんな事を言っても話に付いてこられないだろうから、色々と教えてあげよう」
コスタニコによる爆弾発言は続いた。
50年前の第一次世界征服戦争中に起こった大事件・ドラジド暗殺を起因とする、貴族のダイマ派とジンコ派による権力闘争。
これの真相は、ドラジド暗殺を実行したのはダイマ派であり、さらに自身の血縁者をドラジドの血縁であると偽称して次期皇帝の座に据えようとしたため、ジンコ派が本当の血縁者を擁して対立したというのである。
「知っての通りジンコ派は敗北して滅んだ。しかし根絶やしにはされておらず、身を隠してドラジドの血縁者を守りながら、ずっと復権の機会を窺っていたんだ。その血縁者の子孫が私という訳」
コスタニコの話は実に興味深いものであった。
無論、真偽の程は別として。




