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≪本論・十二人の怒れるヒーラー10≫

今やマクシアは処すべきS級冒険犯罪人どころか偉業を成した、挺身の化身、という認識となった。


と、その時、弁護してくれた8番ヒーラーが徐に法廷の中央へと進み出てきて被っていた頭巾を脱ぎ捨てたのである。

姿を現わしたのは美しい青髪をした美少女であった。


「ブルータスさんだ」「ブルータスさんだぞ」


という声が傍聴席から上がった。


(えっ!? この人がブルータスなの!? ブルータスってゴリゴリの男性名だから男だって思っていたのに、女の人だったのか!)


後に私は知るのだが、ブルータスは渾名で、本名をブルー・タリスマンという女性だったのであった。


「マクシア・ハンニバル・ボルフェス様は偉大な御方です!」


ブルータスは法廷の中心で高らかに宣言した。


「前線において、仲間を生かす為に、という言葉を背負い、救命活動を行った者達には、勇者、の敬称が与えられました! V8野戦病院でも同じように、仲間を生かす為に、罪を背負い、非難を恐れず、時には非情に徹し、自己犠牲すら厭わず救命活動を行ったマクシア様にも、勇者と匹敵する敬称を与えるべきです! すなわち、聖女、という称号を!」


俄かに聖女へと祭り上げられていくマクシア。

誰も異を唱える者はいない。

彼女はそれに相応しい大活躍をしたからである。


「偉大な聖女様が行われた事は、そのすべてが絶対絶対絶対に正しいのです!」


ブルータスの声が一オクターブ上がった。


「ゆえに、聖女様の指示に従い、命を救ったヒーラー達よ! あなた達は何一つ苦しむ必要は無いのです! なぜなら偉大なる聖女様は絶対絶対絶対正しいがゆえに! そして、聖女様の指示によって命を救われた者達も何一つ苦しむ必要は無いのであります! なぜなら偉大なる聖女様は絶対絶対絶対正しいがゆえに!」


ブルータスは左右の手で一つずつ丸を形作り上下に合わせて8の数字を成し、


「聖女様がV8野戦病院で成し遂げられた功績を絶賛するのです!」


と、それを頭上に掲げて叫んだ。


「V8を讃えよ!」


すると、傍聴席にいた私とオウタ以外の人達が一斉に立ち上がって、


「「「「V8を讃えよ!」」」」


と唱和したのであった。


「V8を讃えよ!」


「「「「V8を讃えよ!」」」」


「V8を讃えよ!」


「「「「V8を讃えよ!」」」」


繰り返されるコールアンドレスポンス。

みんな目の色が変わっており、異様な雰囲気である。

涙を流す者までいる。


レスポンスは傍聴席からだけではなかった。

私がブルータスだと勘違いしていた3番の男性を含め、証人であるヒーラー達も唱和していたのである。


更にレスポンスは、なんと簡易裁判所の外からも轟いてきた。


「「「「「「V8を讃えよ!」」」」」」


傍聴席に入りきれなかったため、大型テントの周囲に詰めかけて、裁判の内容に聞き耳を立てていた大勢の者達までもが合唱していたのであった。


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