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≪本論・十二人の怒れるヒーラー5≫

再び、最初の3番ヒーラーによる証言。


「被告・マクシアはV8野戦病院を、人間を対象とした体系的研究調査、すなわち、人体実験、の場にしていたのであります。その根拠を、これより三つ説明していきます」


3番ヒーラーが述べた一つ目の根拠は、見捨てられた患者が死ぬまでの経過記録の件であった。


なぜマクシアはあのような真似をさせたのか。


その目的は、どう損壊した人体はどのくらいの期間持ち堪える事ができるのか、というデータ収集のための人体実験だったというのである。


二つ目の根拠は、他種族に対しての治療行為であった。


前線においてトーチカの椎の実弾や爆弾によって、種族的特徴の部位が吹き飛ばされてしまい、何種であるか不明となってしまう負傷者が続出したのである。


そのため、V8野戦病院に有無種以外の負傷者が運び込まれてしまうという事が多々あったのであった。


治療を進めていけば、いずれ何種であるか判明する事になるのだが、その時マクシアは、患者が有無種でない事が発覚しても、そのまま治癒魔法を続けるよう指示したのである。


そうした結果、限られた魔力が他種族のために消費されてしまい、有無種へと回らなくなり、犠牲者の数を増やす事になってしまったのであった。


レイシスト的観点からいえば、人間ではないもののために人間が死ぬ、という、有ってはならない事態が発生してしまったのである。


マクシアがなぜそのような真似をしたのかといえば、他種族に対しても人体実験をしたかったからだというのである。


三つ目の根拠は、マクシアは自らの手で人体実験を行っていたというのであった。


彼女が密かに得体の知れない魔法を患者へ行使し、患部が赤と黒のまだら模様の肉塊へと変ずるというグロテスクな光景を何人もの者が目撃していたのであった。


「以上の三つが、被告がV8野戦病院を人体実験場にしていたという根拠になります」


3番ヒーラーの証言は、それで終わりかと思われた。


が、さらに続いた。


「最後となりますが、被告が神聖であるべき野戦病院にて人体実験に手を染めてしまえる悪であるという事を実証するエピソードを証言させて頂きます」


3番ヒーラーが語ったのは、ホリエケンの命で野戦病院を前線の近くまで移動した時の出来事であった。


「あの時、クラスター爆弾の子爆弾の一発が院内に飛び込んで炸裂し、一人の患者がお亡くなりになるという痛ましい事故がありました。実はこれ、事故ではないのです。故意によって引き起こされた事件だったのです。被告・マクシアが患者を殺したのであります!」


話の内容は驚くべきものであった。


子爆弾の爆発による周囲への被害を防ぐため、マクシアはなんとベッドに寝かされていた患者を突き落として、その身体を子爆弾の上に覆い被せたというのである。


そして患者は爆発四散し、死亡したのであった。


「ヒーラーとあろう者が救うべき対象である患者を爆弾の上に突き落とすなどと、確実に悪でなければ出来ない所業です! この時の爆発で被告も致命傷を負いましたが、これは悪に対して天罰が下ったのだと解釈できるでしょう!」


3番ヒーラーのその言葉に、他のヒーラーも同意するように頷く。


「ここまでのすべての証言をもちまして被告・マクシアが、その異常性と悪性によってV8野戦病院を私物化し、多大な人的被害をもたらしたという事実が示されました。よってS級冒険犯罪人とし、死刑に処すのが妥当であると思われます」


3番ヒーラーはそう証言を締め括ったのであった。


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