≪本論・シルカ平原攻略戦・結3≫
その後であるが、なんと私はホリエケンの虚言と責任を問い質していく追及者に任命されてしまったのであった。
ホリエケンの嘘が判明したので、彼を問い質す事になったのだが、皆で押し掛けてしまっては場が混乱して収拾がつかなくなってしまうため、代表者を選ぶ事にしたのである。
言い逃れさせないよう代表者はやはり弁の立つ者がいいという事で人選していたところ、私がホリエケンの真意を解明し語ってみせたので、白羽の矢が立ったのであった。
前に述べたが、歴史家志望の私は、イベントに直接かかわらない観察者の立場でいたいのである。
よってホリエケンの追及者という渦中の人物にはなりたくなかった。
第三者として現場を客観的に見ていたかったのである。
しかし、その要請を断れる雰囲気では到底なかったので、私はやる事にした。
追及者となった私は皆を連れてホリエケンのテントへ乱入し、椅子に座る彼の前に立って糾弾を開始した。
己の嘘がバレ、その本心をも見抜かれてしまったホリエケンは真面目な顔でしばらくの間、硬直していた。それから、
「それは君達の誤解だ」
と主張し、真面目に言い訳を開始したのである。
ホリエケンの言い訳は要領を得ず、脈略も無く、意味不明な点が多かったが、私はどうにか理解して彼の言い分を論破していった。
しかしどれだけ論破してもホリエケンは取り留めもなく弁解を続けようとするので、しびれを切らした私はこう言ってやった。
「今回のトラブルの原因が、私達の誤解であるとする意義を、あなたはちゃんと理解できていますか? 私達の誤解だという事は、事実について私達が間違った理解をしてしまった事がトラブルの原因であり、つまり「すべて私達が悪い」とあなたは言い張っているのですよ。そんな狂言を押し通してしまったら、この戦場にいる全冒険者があなたに対してどんな感情を抱き、どんな行動に及び、そしてどんな結末を迎える事になるのか、あなたは想像できないのですか?」
「!」
私の言葉にホリエケンはハッとなった。
自分が極めて危険な言い訳をしてしまっていた事に、この時、彼は初めて気付いたのである。
「……」
完全に沈黙してしまうホリエケン。
しばしの沈黙後、彼は机に両手を付き、頭を深々と下げて、
「申し訳なかった」
と真面目に詫びたのであった。
それでホリエケンに対する糾弾はお終いであった。
彼をレイドリーダーの座から引きずり下ろす事はしない。
出来ないのである。
なぜなら我々には、それをする権限が無いゆえに。
ホリエケンはレイドリーダーで居続ける。
だが、二度と馬鹿馬鹿しい自己満命令を出さないよう彼を黙らせる事には成功したのである。
よって有無種だけにあった、リーダーへの不信感、という深刻なストレッサーを排除する事は出来たのであった。




