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≪本論・シルカ平原攻略戦・結1≫

オウタを発起人とした、シルカの勇者という一大ムーブメントにより、前線における冒険者達の戦闘ストレス反応は緩和され、戦意は高揚した。


その結果、塹壕を掘り進める作業は快調に進捗していくようになり、停滞していたシルカ平原攻略戦は泥沼から脱する事ができたのである。


すべてが順調に進み始めた……と思われた矢先、有無種だけがトラブルに見舞われたのである。


トラブルの原因は、有無種にだけ存在しているストレッサー・ホリエケンであった。


「上層部からの命令だ」


彼はいつも通りの真面目さで、後方のV8地点に設けられていた有無種の野戦病院を前線の近くまで移動させたのであった。


そうしたところ、クラスター爆弾の子爆弾の一発が野戦病院内へ飛び込んでしまい、そこで炸裂するという事故が起きてしまったのである。


この事故により患者一人が死亡、ヒーラー一人が右脇腹をごっそり吹き飛ばされるという致命傷を負ったのである。


その致命傷を負ったヒーラーというのがマクシアであった。


後ほど詳しく説明するが、マクシアは野戦病院を取り仕切る責任者になっており、彼女がその立場に就いてから死亡者数が十分の一にまで減少するという目覚ましい成果を上げていた。


そんな重要人物が死にそうになってしまったので、現場のヒーラー総出で治癒に当たったとの事であった。


この事件を受け、結局、野戦病院は元のV8地点へ戻されたのである。


全く無駄な犠牲と無駄な労力であった。


「またホリエケンだよ。いい加減、早くあいつを何とかしないと」


そうした危機感が燃え上がったタイミングで、例の頭越しの相談の答えがようやく出たのである。


結果は黒であった。


真っ黒であった。


ホリエケンは大嘘つきだったのである。


上層部からの命令は、メガネドラッグの件だけであった。


それ以外の命令は一切出しておらず、レイドリーダーであるホリエケンへすべての采配を委ねていたのである。


よってホリエケンから「上層部からの命令」という名目で出された指示はメガネドラッグを除いて全部、彼の独断で発せられたものであったのだ。


元凶は上層部ではなかったのである。


真の元凶はホリエケンその人だったのである。


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