≪本論・シルカ平原攻略戦・転7≫
ハートマン教練法が原因で殺されかけたオウタであったが、彼は手法を変えなかった。
怯むことなく最後まで、それでやり通したのである。
そうして、教えられる事はすべて教え、やれる事はすべてやった後に、オウタは受講者達に、ある理論を語り聞かせた。
「最も強い者が成し遂げるのではなく、最も賢い者が成し遂げるのでもなく、最も変化できる者が成し遂げるのでもない。最も根性のある者が成し遂げるのだ。すなわちー」
彼は一呼吸置いて言った。
「ガッツ イズ ゴッツ(根性こそ神である)」
根性論であった。
オウタは最後に根性論で受講者達へブーストをかけたのである。
ダーティープラトン攻略講座修了者にはその証として、大きいワッペンが渡された。
修了者達はそのワッペンを背中に貼り付け、ダーティープラトンを阻止するためにシルカ平原全域へと散っていったのである。
果たして、被害をどれだけ減らす事ができたのか?
その結果はというと……、
完封、であった。
なんと被害0を達成したのである。
ハートマン教練法によって訓練された各種族の最精鋭達は、最高のパフォーマンスを発揮したのである。
前線の冒険者達は、自分や仲間がいつ何時攫われて焼き殺されるかもしれないという悪夢から解放されたのであった。
最大のストレッサーであったダーティープラトンが完全無力化された事によって、戦闘ストレス反応は大幅に緩和された。
そして、修了者達によってもたらされた効果は、それだけに留まらなかったのである。
下がりに下がっていた前線の冒険者達の戦意を大いに向上させたのであった。
以下のような、戦場にて展開された、修了者達の後ろ姿によって。
「ダーティープラトゥーン!!」
戦場に叫び声が響き渡る。
ダーティープラトンが仕掛けられたのを最初に発見した者は、情報を素早く伝達するため余計な事は一切言わず、それだけを大声で叫ぶように示し合わされている。
その声を耳にした修了者は、即座に塹壕から飛び出し、両手に剣を携えて、爆走する顎足付目掛けて突進していく。
一歩でも間違えれば自身も無残に焼死する事になるというのに、囚われ人を救出に向かう修了者の動きには微塵の躊躇も恐怖もない。
周囲にいる者達は、その後ろ姿を見守る事となる。
すると修了者の背中に貼られているワッペンが目に入る。
ワッペンは文字だけで構成されており、そこにはこう書かれているのである。
【仲間を生かす為に】
そんな後ろ姿を魅せられてしまったなら、前線にいる者達は皆、テンションをブチ上げずにはいられないのであった。
こうして戦意は高揚していったのである。
そして前線の冒険者達は修了者達に、次のような敬称の与えたのであった。
【シルカの勇者】
勇者とは、大魔王を倒した男性に対して国が与える究極の称号であったが、戦場にいる者達にとっては、
「そんなの知った事か! あの勇者過ぎる後ろ姿を、勇者と呼ばずして一体何を勇者と呼ぶのか!」
であった。




