表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/96

≪本論・シルカ平原攻略戦・転3≫

オウタが教官となり、ダーティープラトン攻略講座が開かれた。


ダーティープラトンによる犠牲者は刻一刻と増加しており、時間的余裕がないので講座は短期集中となっていた。


教官という指導者のポストに就任したオウタの様子はどうであったか?


それを端的に説明するのに、ある歴史上の人物に対する評価を持ち出させてもらう事にする。


その評価とは、


「治世の能臣、乱世の梟雄」


である。


平和な世であれば有能な臣下として働くが、乱世においては残忍で荒々しい行為に及んで猛威を振るう人物になる、という意味である。


この言葉を引用させてもらい、指導者となったオウタを評すると、


【ボトムの能臣、トップの梟雄】


であった。


彼はイェンの下で働いていた時は有能な部下であったが、組織の頂点に立つと滅茶苦茶やり出してしまったのである。



この短期集中講座において、オウタは異世界〈地球〉の軍隊で実践されている、ハートマン教練法、というものを採用した。


ハートマン教練法を使えば、平凡な一般人を短期間で殺人兵器に仕立て上げる事が可能だそうである。


この教練法により、オウタは集まった者達を殺人兵器ならぬ、救出兵器、に育て上げようとしたのであった。


ハートマン教練法の極意は、理不尽と罵倒で相手を徹底的に殴打する事によって、余計な個性・プライド・価値観を破壊し、兵器として作り変えてしまう事にあった。



トップに立ち梟雄然となったオウタは一人称をいつもの、僕、から、俺、へと改め、ダーティープラトン攻略講座を開始した。


まず彼は指導していくに当たって、種族差別をしない事を宣言した。


「俺は厳しいが公平だ。耳豚・角豚・尾豚・紋豚・毛豚・無豚を俺は見下さん」


全種族を豚呼ばわりし、


「全て平等に価値がない!」


と切り捨てた。


更に彼は、


「貴様らは種族の違いで戦争をおっぱじめようとしているようだが、そんなの俺から言わせてもらえば」


語気を強め、


「ニラレバかレバニラかで殺し合いをしているようなもんだ!」


と言い放ったのであった。


以後、受講者に対してハートマン教練法に則った暴言と罵詈雑言の雨あられが降り注ぐのだが、本書は論文であるので、余りにも口汚い言葉を書くのは不適切である。

よって比較的ソフトで真面なワードだけを抜粋し、記載しておく事とする。



オウタ曰く、


「聞いて驚くな、うちの食堂ではシャバ僧定食は出さんぞ!」


シャバ僧とは、意気地なしで情けない奴を意味し、危険な魔界を探検する職業である冒険者にとっては最大の侮辱言葉である。


オウタ曰く、


「救助の顔をしろ!」


己が成すべき事を表情で示せ、という言葉である。


面識のある有角種のファルケンに絡んだ時は、オウタ曰く、


「角切った?」


と、まるで「髪切った?」みたいな感覚で気さくに話しかけたら思ったら、急に態度を豹変させ、


「なんだその赤い角は! そんなに赤いのは赤軍か蒙古タンメンのどちらかだけだ! 貴様は赤軍には見えんから蒙古タンメンだ!」


有耳種のカナン・ブンセンという名の、感情表現が乏しく無表情、という事で定評のある女性に絡んだ時は、オウタ曰く、


「本日より貴様をカナブンと呼ぶ。いい名前だろ、気に入ったか?」


と、コガネムシの一種みたいな渾名を勝手に付けて彼女をムッとさせ、そのポーカーフェイスをいきなり崩してみせた。


カナンは左耳の先端が欠けていたため、オウタがそこをいじるのかと思われたが、それには触れず、代わりに彼女が持ってきていたトランクを指差して、


「俺がこの世でただ一つ我慢できんのは、鍵をかけ忘れた小型トランクだ!」


と、怒鳴りつけた。


その時、カナンの隣には同じようなトランクで鍵をかけずに置いていた者がいたのだが、オウタは、


「小型じゃないから良し」


と、スルーしたのである。


その不条理さにカナンは露骨にムッとなり、彼女の鉄仮面は完全に崩壊してしまったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ