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≪本論・シルカ平原攻略戦・起6≫

こうした難局には、すべての種族が陥っていたのだが、中でも酷かったのが我々有無種であった。


なぜ有無種だけが、他種族より状況が悪化してしまったのか?


そうなってしまった理由は、戦闘ストレス反応を発症させる原因〈ストレッサー〉に、有無種は先に挙げたもの以外に、もう一つストレッサーが加わってしまったためであった。


そのストレッサーというのが、リーダーへの不信感、であった。


レイドパーティが立ち上げられた時、それを指揮するレイドリーダーも決められた。


レイドリーダーには巨大なパーティを率いていくだけの類まれなる統率力が求められる。


ゆえに、他種族はトップランカーの中から厳選されたのだが、有無種は国の上層部が一方的に、ある人物を任命してしまったのである。


その人物というのが、国家冒険者のホリエケンであった。


ここで国家冒険者について言及する。


魔法技術は国家の大事である。

従って魔法技術を発展させる魔物という重要資源を狩ってくる冒険者は重要な業務である。

冒険者は、個人で事業を経営する民営であるが、そんな重要な業務を民営にしておくべきではない、と国は考え、完全国営化した事が過去にあったのである。


その結果は大失敗であった。


得られる成果が大きく低迷してしまったのである。


低迷の理由は、定額制給与となり技術革新をもたらす魔物を狩っても大金を得られなくなってしまった事、活動が管理されるようになったため競争原理が働かなくなった事、御上の言い成りになるのが癪に障る事、などで、冒険者達のモチベーションをダダ下がりさせ、有能な人材の業界からの流出という事態まで招いてしまったためであった。


結局、冒険者の完全国営化は取り消され、冒険者ギルドだけを国営とし、国はギルドを通して冒険者にクエストを出して、その成果を回収するという形に収まったのである。


しかしクエストを出すだけで冒険業務に関するノウハウを全く得られなくなるのも問題があると国は考え、国営の冒険者、すなわち国家冒険者を細々と存続させたのであった。


ホリエケンはそんな国家冒険者を20年以上に亘って勤める非常に真面目な人物との事で、そのキャリアと真面目さを上層部のあるお偉いさんが買い、レイドリーダーに抜擢したとの事であった。


この話を聞いた時、我々現場の冒険者達は不安に駆られた。


なぜなら20年以上の経歴が有りながらホリエケンは、冒険者ランキングの下位の方にすら入った事がなく、それどころか何かしらの成果を上げた実績も無いというのであった。


これが民営の冒険者なら、とっくの昔に廃業である。

何の成果が無くても金銭がもらえる定額制給与の国家冒険者だから今まで続けてこられたのであった。


よって我々は、


(ホリエケンという人物は真面目さだけが取り柄で、指導者として能力を持ち合わせていないのではないか)


と懸念したのである。


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