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≪本論・十傑集の躍進4≫

では、ファーストペンギンとなった十傑集が、さらにベストペンギニストにまで選ばれた理由であるが、それは、意欲が評価されたから、であった。


先にも述べたようにメイデンダンジョンに挑む事は危険の極みであるので、挑戦するなら非常に実力のあるパーティでなければならない。

ならば、高位の実力者パーティはメイデンダンジョンが発見されれば、先を争ってチャレンジするのかというと、そうはならないのである。

高い実力のあるパーティであってもメイデンダンジョンの未知によるリスクを敬遠し、二の足を踏んでしまうのだ。


誰かがファーストペンギンとなり、未知による脅威の濃霧が少しでも晴れてから挑戦するという安全策を取ってしまうのである。


無論、率先してメイデンダンジョンに挑戦するトップランカーもいるが、その数は少ない。


結果、メイデンダンジョンは誰もチャレンジしないまま、長期間放置されるという事態になってしまうのである。


こうした事態に対して冒険者ギルドは遺憾に思っていた。

なぜなら、メイデンダンジョンにいるであろう、技術革新をもたらす新種魔物というお宝が、いつまで経っても手に入らないからである。


そんな中で十傑集という、結成されてからさほど時間が経っておらず、また世間的にも実力者であると評価されていない無名パーティが、勇敢にもメイデンダンジョンへアタックし、ファーストペンギンとして認められる程の功績を上げてみせたのである。


これは、メイデンダンジョンの長期間放置、という悪習に一石を投じてくれる事態であり、これを歓迎した冒険者ギルドは十傑集の積極性を高く評価して、ベストペンギニストの栄誉を与えたのであった。


以上が、トップランカーの地位とは全く無縁の十傑集が、ベストペンギニストにまで選出されるという異例中の異例が起こった経緯である。



ちなみに十傑集が、非常に高難易度なメイデンダンジョンへなぜ敢えて挑戦したのかというと、その狙いは、先に述べた事そのままである。


メイデンダンジョンを長期間放置する悪弊を打破するためであった。


なぜ、そうしようとしたのか。


それはパーティリーダーである復讐者のイェンが大魔王打倒を目指しているからである。


彼がその目標を達成するにあたっての最大の問題点は、現状、大魔王を討つ手段が無いという事であった。

大魔王討滅戦争〈ワイルドハント〉と威勢よく銘打たれて発動した本戦争であるが、無限の個体保有魔力量を持つ超強力で万夫不倒の大魔王を討ち滅ぼす手段は、今のところ無いのである。


イェンは、手段が無いから諦める、という生温い復讐者ではなかった。


(無いなら何としてでも作り出す!)


と彼は考え、


(そのためには魔法技術をもっと発展させねば!)


と判断したのである。


そして、技術革新をもたらすものといえば、やはり新種魔物となるので、イェンは停滞しているメイデンダンジョンの探索を活性化させようとした。


活性化させるためには尻込みする高位のベテラン実力者パーティに発破をかける必要があった。

そこで、


「自分達のような経歴の浅い若輩パーティがメイデンダンジョンで実績を出しちゃったんですけど、先輩方は一体何をされているのですか? 不甲斐無いったらありゃしない」


と焚きつけたのである。

すなわち


【煽り冒険】


であった。

煽り冒険によってイェンは、高位実力者パーティを奮起させようとしたのである。



ここで注意点であるが、イェンは己の復讐のために極めて危険なメイデンダンジョンへの挑戦というパーティメンバーの命を軽んずる真似をした、と認識する方がいるであろう。


しかし、それは間違いである。


大魔王に仲間を皆殺しにされた過去を持つ彼は、誰よりも仲間の大切さを知り、実際、何よりも仲間を大事にする男であった。


ゆえに仲間の命を悪戯に危険に晒すような事は決してしないのである。


イェンは十傑集の実力を十分に把握し、検討に検討を重ねた上でメイデンダンジョンへのアタックを実行したのである。

そして仲間の命を第一に考え、無茶無謀は行わず、慎重かつ大胆に行動したのであった。

そこまで配慮してもメイデンダンジョンに挑むのは、危ない橋を渡る事に違いないのだが、冒険とは大なり小なり危険を冒すことなので、それ以上は四の五の言うべきではないのである。


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