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≪本論・十傑集の躍進3≫

なぜ十傑集がベストペンギニストになれたのか?


それを語るためには、まずベストペンギニストに選出されるための前提条件であるファーストペンギンになれた事から話をする。


十傑集がファーストペンギンに選ばれたのは、無論、初めてメイデンダンジョンに潜り、功績を上げたからなのだが、それを可能としたのは、先に挙げたような未知によるピンチを乗り越える事が出来たためである。


では、ピンチを乗り越えられた要因は何か?


第一は、マクシアのダメコンである。


戦闘でパーティが崩壊しそうになるという危機的局面に何度も見舞われたが、その度に彼女によるダメコンが効果を発揮し、戦線が立て直されたのである。


第二は、コスタニコによる内助の功である。


数ある攻撃魔法の中で、最もバックアップ力が高いのは光線系魔法である。

なぜなら放たれた飛翔体が目標に到達するまでの時間が一番短いので、戦況へ即応した火力支援が可能となるからである。

コスタニコは光線系魔法が得意であり、更に高速二重詠唱が出来るので、そのバックアップ力は凄かったのである。

光線系魔法は消費される魔力量が他の魔法と比べて多いという難点があるのだが、彼女の個人保有魔力量は28馬力なので、その点も大きな問題とはならなかったのである。

超一流のファイエルであるコスタニコが陰ながら戦闘を補佐し、パーティを窮地から救ってくれたのである。


第三は、オウタの忍術[ヌィンジュツ]であった。


メイデンダンジョン最大の脅威は、未知の中の未知である新種魔物である。

その習性・弱点・攻略法等がすべて不明であるがゆえに。


しかしオウタはそれらを見破ってくれたのだ。


バリツの術、という忍術によって。


バリツの術とは、異世界〈地球〉に伝わる伝説の名探偵を始祖とする武術を昇華させて忍術化にしたものである。

その内容は視力を強化して相手を具に見、洞察力・観察力・理解力で相手の動きの癖や弱点を看破し、発想力で攻略法を編み出していくのである。

そうした事は普通の人でもやっているが、バリツのそれは異次元であった。

癖や弱点を見抜くのは非常に迅速で、編み出す攻略法は極めて斬新なのである。


言い方を変えるとバリツの術とは、己の身体を、解明装置、と化してしまう忍術なのであった。


ゾーンの術もそうであったが、人体に関係する内容への研究に注力している忍術は、体を活用する方面へ実に特異化しているのである。


バリツの術におかげで新種魔物の未知を無くし、苦境を克服する事ができたのであった。


そして最後となる第四は、リーダーであるイェンの、直感、であった。


未知が満ち満ちたメイデンダンジョンにおいて、リーダーは情報不足の中で、数々の状況判断に迫られる事となる。


そんな時、頼みにするものは何か。


それは、直感、である。


直感といっても運任せ的なものではない。

これまで蓄えてきた知識と経験が積み重なってできた無意識の判断である直感である。


イェンの直感は極めて正確であった。

彼の直感が正確な理由は、その土台となっている知識と経験が非常に豊富だからである。

人違いにより当初から2年間の冒険者生活を送っていたイェンなのだが、彼にインプットされている知識と経験は2年どころではなかった。

冒険者歴10年のベテラン並の知識量と経験値を蓄積していたのである。


なぜ、イェンはそうなれたのか。


それは彼が凄烈な復讐者だからである。


普段のイェンは爽やかで快活としており、彼が復讐者である事を全く感じさせない。

しかしその内面では復讐心が激烈なまでに燃え盛っており、それを原動力として、イェンは冒険者となってからずっと、大魔王を討つためのあらゆる努力を日夜惜しまなかったのである。

結果、2年で10年クラスのベテラン冒険者に匹敵する知識と経験を持つに至ったのであった。


そんな知識と経験に基づいた彼の直感は適切に状況を判断し、リーダーとして部下達を巧みに運用して危地を脱していったのである。


以上の四つの要因によって十傑集は、メイデンダンジョンにて迫り来る数々のピンチを乗り越えて実績を出し、見事にファーストペンギンとなったのである。


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