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≪本論・十傑集の黎明2≫

マクシアも冒険を始めると、そのサイコパス性を存分に発揮してきた。


彼女はパーティへ


【ダメージコントロール[略称:ダメコン〈負傷管理〉]】


の導入を希望したのである。


ダメコンとは


【パーティの総戦闘力維持を目的として治癒に優先順位をつける】


というものであった。


戦闘において負傷者が出た時、その者は治癒を受けるため戦線から離脱するので、パーティの総戦闘力は低下する事となる。

この時、敵が強力な魔物であれば、パワーバランスが崩れた事によって一気に圧倒され、戦線が崩壊し、パーティが全滅してしまうという危険性に晒される事となる。

そうした事態を防ぐためには、負傷者を可及的速やかに戦線に復帰させ、パーティの総戦闘力を正常化させなければならない。


ここで行われるのがヒーラー主導によるダメコンである。


先にも触れたように、治癒魔法は魔力の上乗せをしても意味はなく、治すのにかかる時間を短縮する事は出来ない。

そこで、負傷者の完治は時間がかかるので放棄し、負傷内容に優先順位を付けて最低限の治療を施して容態を安定させ、後は鎮痛魔法だけ実施し、極短時間で負傷者を戦線に復帰させるようにするのである。


これがダメコンであった。


パーティ全滅を免れるための合理的なシステムである。


ここまでの話だと、


(良いシステムではないか。どこにサイコパス性が?)


と思われるかもしれない。


サイコパス性があるのは、負傷者が負傷者のままで戦わされる羽目になる、という点であった。

生々しい具体例を挙げると、傷口パックリで骨とか内臓とか脳ミソとか見えていたり、眼球が飛び出していたり、体中に大火傷を負っていたり、何かが体に突き刺さったりしたままで、戦闘を強いられるのである。


それは極めて非人道的であり、血の通った人間のする事ではない。


ましてや治療を本分とするヒーラーのする事ではないのである。


よって、こうしたシステムを考案し、それを実際に導入しようとしてしまえる事に、良心の欠損・共感性の欠落・罪悪感の欠如といったサイコパス性があるのであった。


またダメコンは負傷者が傷を負ったまま戦闘という激しく動く行為をするため、当然損傷部位の状態が悪化し、それが後ほど生命に重大な危険を招く可能性もある。

ゆえに、そうならないため、ヒーラーには高度な診断技術が求められるのであった。




「一身上の都合により、ダメコンやりたいです~」


マクシアからそう希望を受けたリーダーのイェンは好漢らしく、


「一身上の都合なら是非も無し」


と了承したのであった。


他にマクシアがそのサイコパスを感じさせるのは、彼女はパーティメンバーの深手を診ると、


「お肉が食べたくなりますね~」


とコメントするのである。

更に、


「人間に必要な栄養素は、すべて人間に含まれています~」


「人間は食べられる素材で出来ています~」


ともコメントするのであった。


ちなみにコメントされるメンバーは限られており、イェン肉とオウタ肉は彼女のお眼鏡にかなっている。


私は戦闘に参加しないので不明である。


コスタ肉も不明である。


後衛職であっても、魔物の遠距離攻撃を受けたり、バックアタックをされたりなどで、深手を負う事はあるのだが、コスタニコはモッサリとした見た目の割に体捌きが巧妙で、たまに軽い傷を受けるぐらいしかなかったのであった。


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