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≪本論・パーティの結成2≫

しかしパーティメンバーはまだ私とイェンの二人だけである。

無論、これでは冒険できないので、更なる仲間を探していた時、出くわしたのがオウタであった。


彼は酒場で、数人の冒険者をボッコボコにしていた。

ボッコボコにされていた冒険者達は反社であった。

女性となっているオウタを騙くらかして、その身を売春宿に売り飛ばしたのである。

彼は自力で脱出して反社を追跡し、報復でボッコボコにしていたのであった。


ボッコボコにされた反社が衛兵にしょっ引かれた後、酒場にいた者達の多くがオウタに殺到した。

殺到した者達は、全員冒険者であった。

冒険者達は皆、オウタを自分達のパーティに入るように勧誘したのである。

勧誘した理由は、反社をボッコボコにしている時の彼の動き、つまり戦闘動作が余りにもしなやか過ぎたからである。


(人体とはここまでしなやかに稼働させる事が可能なのか!)


と感嘆してしまう程であった。

その有様を目にした冒険者達は、


(これは只者ではない! とんでもない逸材だぞ! 是非とも仲間に加えねば!)


と惚れ込んでしまったのである。

猛烈アピールをする冒険者達であったが、オウタが、


「僕、魔力欠乏症なんで」


と言った途端、皆、サーッと潮が引くように去って行ってしまった。


魔力欠乏症とは、その名の通り体内の魔力が不足してしまう疾患である。

魔力が足りないので、当然、魔法を使用する事が出来なくなる。

日常生活にすら支障が出る病であり、よもや冒険者となるのは到底無理であった。

皆が退くのは当たり前の反応である。


だが一人だけ退かない者がいた。

イェンである。


「欠乏症の人でも活躍できるパーティ作りをするから!」


と勧誘を続けたのであった。


諦めないイェンに、オウタは目をパチクリと瞬かせ、その後、微笑を浮かべた。

好反応だったので勧誘を受けてくるかと思われたのだが、


「申し訳ないですが、お断りします」


と拒絶したのである。



当時のオウタの状況なのだが、目覚めたら街はずれの原っぱに性転換された状態で放置されており、異世界〈地球〉の持ち物は、御守り、だけ残して、後はすべて失われていた。

衣服もこちらの世界の物へ着替えさせられていた。

着せられていた服のポケットには、当面の生活費、偽造の身分証明書、そして異世界人が我々の世界で上手く過ごしていくための注意事項が懇切丁寧に記載されたガイドブックが入っていたのである。


身重の奥さんがいる彼は元の世界に帰る手段を探したが、その手掛かりすら掴めなかった。

仕方がないので長期戦になる事を覚悟し、生活していくための収入を得るため、最も興味があった職業である冒険者になる事にした。

そして、声をかけてきた冒険者に付いていってみたら、それが先ほどボッコボコした反社だったのである。

この経験からオウタは、


(向こうから近づいてくる人は信頼しない方がいい)


と考えるようになっていたのである。

ゆえにガイドブックから得た魔力欠乏症の知識を使って、すべての勧誘を断っていたのであった。



パーティへの加入をキッパリと拒否されてしまったイェンであったが、それでも彼は諦めなかった。

来る者は拒まずタイプのリーダーは二種類に分けられる。


【来る者は拒まず、去る者は追わず】



【来る者は拒まず、去る者は ゴー トゥー ヘル】


である。

しかし彼は、そのどちらでもなかった。


【来る者は拒まず、来ない者は拒ませず】


だったのである。

オウタの技量に惚れ込んでしまったイェンは、どうにかして彼を口説き落とそうとした。

粘りに粘り、終には、


「学歴不問! 年齢不問! 未経験者歓迎! ノルマなし! 残業なし! アットホームな職場です!」


と、労働環境が劣悪なブラックパーティが使用する定番の謳い文句まで口にしてしまったのである。


(これはもう駄目だな)


と私は思った。


だが意外にも、この謳い文句がオウタにウケて、


「そこまで言うのなら、お世話になります」


と加入してくれたのであった。


こうして私達のパーティは忍者[ヌィンジャ]という、とんでもない拾い物をしたのである。


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