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≪序論・背景・主要人物2≫

二人目。

イェン・シェント。

有無種の男性で年齢は16歳。

我らがパーティのリーダーである。

冒険者としてのジョブは一刀剣士〈シンゴーソーダー〉である。

長身痩躯で、柔和な顔立ちをしており、見る人によってはハンサムと認識される。

気性のさっぱりした快男児である。


火の三連急の時に、暮らしていたジクフリト村を大魔王によって滅ぼされており、彼はその村唯一の生き残りである。


ゆえに冒険者となった理由は、皆殺しにされた村の仲間達の敵討ち、つまり大魔王への復讐である。


大魔王に襲われた当時の事は、悲惨な体験による精神的ショックの影響で記憶喪失になっており、ほとんど覚えていないとの事である。

ただ、燃え盛る村と死屍累々となっている仲間達の光景はハッキリと瞼に焼き付いているとの事である。


ちなみに、イェンの住んでいたというジクフリト村というのが地図に見当たらなかったので、本人に場所を確認してみたところ、火の三連急の三日目で、ちょうど大魔王の侵攻が止まった場所であった。

もし大魔王がもう少しだけ早くに撤退してくれていたなら、ジクフリト村は助かり、彼の人生も大きく変わっていた事だろう。


イェンには仲間収集癖がある。

仲間をとても集めたがるのだ。

ゆえにパーティ編成するに当たって、来る者は拒まず、のスタンスである。

しかもそれだけに止まらず、「これぞ!」と目を付けた人物は、なんと他種族であろうと差別せず仲間に加えようとしてしまうのである。


つまり彼は


【無差別仲間収集家】


で、世にも珍しき


【否差別主義者〈ノットレイシスト〉】


なのである。


このレイシスト全盛の時代において、イェンはノットレイシストという稀有な存在に、どうしてなっているのか。

彼自身の自己分析によれば、火の三連急で村の仲間をすべて殺された影響、との事であった。


「失う事で大切さを知る」


という格言があるように、当たり前のように存在していた仲間を突如として奪われた事で仲間の重要性を痛感し、仲間という概念の前では種族の違いなど取るに足らないという価値観を持つに至ったから、との事である。


「体験は教えを塗り替える」


という事であろう。


個人保有魔力量は極々平均の1馬力である。


ここで個人保有魔力量についての補足説明をしておく。

個人保有魔力量の高さは、そのまま戦闘力の高さと比例関係にある。

なぜなら魔法を発動させる時、必須魔力量を上回る魔力を追加する事が可能となっており、それによって魔法の効果を高められるのである。


例えば、攻撃魔法なら威力アップといった具合である。


他にも、金属絶無である我々の世界の武具は、木材を主体として、布・石・革・紐で制作されており、ゆえに攻撃力も防御力も高が知れているので魔法で強化している。

剣であれば斬撃魔法をかけるのだが、この魔法に魔力を上乗せすれば、斬れ味が増して、より優れた剣と化すのである。


肉体強化の魔法も魔力を上乗せすれば、力の増す度合である強化率自体のアップはしないが、その効果時間が延長されるのである。


以上のような事情から、個人保有魔力量が多ければ魔力の上乗せを多用する事ができるので、それすなわち戦闘力も高いという理屈になるのであった。


ちなみに魔力を上乗せしても意味がない魔法もある。


それは治癒魔法である。


治癒魔法は魔力の上乗せをしても、傷の癒えるスピードが速まるといった事は起こらないのである。


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