≪序論・背景・主要人物1≫
人類史に革命をもたらすのは、魔〈魔法〉・異世界〈地球〉・忍〈忍者:ヌィンジャ〉の三要素であるという新見解を証明していくにあたって、論の中心となる四名の人物について紹介していく。
この四名の人物は、私が冒険というフィールドワークを行った際に所属したパーティの初期メンバーでもある。
一人目。
オウタ・ウエタ。
地球から来た異世界人である。
性別は女性で年齢は16歳。
目元が涼し気で可憐な顔立ちをしており、小柄であるが胸は大きい。
心がけや行動が他者を感心させる殊勝な人柄の好人物である。
だが、本当の性別は男性である。
この世界に来た時、魔法で性転換させられていたのである。
本来の姿は本人曰く【苦み走ったむくつけき益荒男】との事である。
異世界に妊娠中の奥方を残している妻帯者で、
「コレがコレなもんで」
と、小指を立て、手でお腹が膨らんでいるジェスチャーをしていた。
彼はその嫁自慢が凄い。
「うちの嫁さんがね」
「これはうちの嫁さんの話なんだけど」
と何かにつけて嫁の話題を持ち出してくる。
そして彼こそが忍者である。
忍者とは何か。
それは
【忍術:ヌィンジュツ】
の使い手である。
忍術とは何か。
それはおよそ500年に亘る歴史を持つ
【異世界にある魔法的なもの】
であった。
驚くべき事に無魔物世界であるにも係わらず、地球にも魔法的なものが存在していたのである。
しかし飽く迄、魔法的であって、魔法ではないのである。
そこで忍術と魔法の違いについて述べていく事にする。
忍術の動力源は
【氣】
である。
氣とは異世界における生命エネルギーの事である。
生命エネルギーの定義は我々の世界と同様である。
つまり氣とは、こちらの世界で謂う所の魔力である。
ならば二つは名称が違うだけの同じものなのか、という話になるのだが、否である。
異質である。
ゆえに氣で魔法は使えないし、魔力で忍術は使えないのである。
色々な事が可能となる万能な魔法と異なり、忍術は
【主として人体に関係する内容】
に絞られている。
具体例を挙げると、肉体強化は忍術で出来るが、火や雷を発生させるといった真似は出来ないのである。
そして忍術は自身に対してのみしか行使できないのである。
治癒の忍術で己の傷は癒せても、魔法のように他者を治す事は出来ないのである。
ここまでの話だと、忍術とは魔法の劣化版でしかない、と思われるかもしれない。
だが勝っている点もある。
それは
【無詠唱】
という点である。
発動するのに呪文の詠唱を必要としないのだ、まるで魔物のように。
我々の世界では無詠唱などといった
【通常の人間には不可能とされる事象を可能にする特殊能力】
を
【超能力〈スペック〉】
と呼んでおり、それを持つ者は
【超能力者〈スペッカー〉】
と呼称される。
ゆえに、忍者とは超能力者である、と定義する事が出来る。
余談だが、超能力者とは理想の上司である、とよくいわれる。
話には聞くが実際に自分がお目にかかる事はない、という意味である。
そのように言われる理由は、超能力についてその仕組みを解明できれば軍事力アップにつながるので、どの国でも熱心に研究が行われているからである。
ゆえに国は超能力者がいれば、研究材料として確保し、魔法的な意味でも、物理的な意味でも切り刻んでしまうのである。
いわゆる生体解剖である。
よって熱烈な愛国心を持つ超能力者であればその身を国に捧げてしまうし、死にたくない者は自身が超能力者である事をひた隠すのである。
結果、超能力者は話には聞くが実際にお目にかかる事はない、という存在になってしまうのであった。
オウタは身体的特徴で分類すると有無種になる。
異世界には有無種しかいないそうである。
ならば人間同士で差別という概念は無いのかというと、確固として存在しているとの事である。
差別について彼は、
「僕は自分が他者を蔑めるほど上等な人間ではないと身の程をわきまえているので、よっぽどの悪人などではない限り、他者を差別したりはしません」
との事であり、実際にそのように振る舞っている。
異世界人なので当然、個人保有魔力量は0馬力である。




