≪序論・背景・世界情勢5≫
六つある帝国へ、それぞれ一体ずつ
【大魔王】
が襲来した災害、それが火の三連急である。
大魔王の侵攻は三日三晩、不断で続き、各帝国の国土と、そこに住む国民を蹂躙した。
各国は、大魔王による突然の襲撃に全く対応できず、全種族が火急の状態に陥った三日間、という事から、この大災禍は火の三連急と名付けられたのである。
六体の大魔王は三日間、おのおの存分に猛威を振るった後、突如として魔界へ撤退していった。
たったの三日であったが、被った人的被害は甚大であった。
各帝国の国民の一割近くが死亡したのである。
言い方を変えると、ジスモード大陸の全人口の一割近くが殺されたのであった。
もし大魔王が撤退せず侵攻を継続していたなら、単純計算で、僅か一か月にして大陸の人型知的生命体はすべて絶滅させられていた事になるのである。
ここで大魔王という存在について言及していく。
大魔王とは、伝説に謳われる魔物の事である。
曰く、
『其は【大量破壊兵器】たる魔物達の王、すなわち大魔王なり。大魔王は万夫不倒なり。大魔王を倒せし者には大いなる力が与えられる』
大量破壊兵器とは、
【人間を大量に殺傷すること、または人工構造物に対して多大な破壊をもたらすことが可能な存在】
を指す言葉である。
大量破壊兵器・万夫不倒というワードから、大魔王とは、超強力で無数の人々が束になってかかっても倒す事が不可能な魔物、と定義されていた。
これまで、膨大な個体保有魔力量を持ち、高出力な魔法を使ってくる非常に屈強な魔物というものは何体かいた。
しかし、その魔力量は飽くまで有限だったので、頭数をそろえて入念に準備をし、ある程度の犠牲を覚悟すれば困難ではあるものの討伐は可能だったのである。
倒すのが不可能、という大魔王に値する魔物は確認されておらず、大魔王は未確認魔物〈ユーマ〉として扱われ、伝説上の存在でしかないとされていたのであった。
それが火の三連急で来襲してきた六体の魔物が大魔王として認定されたのはなぜなのか。
その理由は、三日三晩、途絶える事無く凄絶な魔法を永久的に行使し続けており、その個体保有魔力量が、どう視ても、無限、としか考えられなかったからであった。
有限は無限に敵わない。
ゆえに有限である人間の力で無限を倒す事は実質不可能であるため、まさしく伝説にある超強力で万夫不倒という文言通りであり、六体の魔物は大魔王として認められたのであった。
余談であるが、大魔王の大の字は大量破壊兵器の大に由来している。
よって大魔王の読み方は[たいまおう]が正しいのだが、言い易さや言葉のインパクトから世間では[だいまおう]で定着してしまっている。




