第22章:地下150階で黒幕と対峙! 全ての元凶はシステムに見捨てられた『無職』だった!? 無限に湧き出す絶望の瘴気に全滅寸前……その時、空から最強の援軍が駆けつける!
終わりのない階段の最後の段は、硬い石の床ではなく、複雑で巨大な根の絨毯の上に続いていた。
マーカス、カルダー、ドラゴブリン、そして石雲のゴーレムは足を止めた。彼らの目の前に広がる光景の雄大さと恐怖に圧倒されたのだ。彼らは第150階層に到達していた。そこは、空と大地が正確に交わる収束点だった。
その洞窟は、独自の気候を持つほど巨大だった。天井からは、かつては白くエメラルドの樹液を脈打たせていた天空の世界樹、アイテラスの巨大な根が垂れ下がっている。床からは大地の世界樹、イスリルの力強い黄金と茶色の根が突き出している。このタイタンのような地下の広間で、二つの世界の静脈が出会い、都市全体ほどの大きさの結び目となって絡み合っていた。
しかし、その生命の結び目は死にかけていた。黒く腐敗したヘドロの湖に溺れていたのだ。
『黒檀の疫病』の悪臭は非常に濃く、喉を焼くほどだった。暗黒の湖の正確な中央、ヘドロから免れたささやかな岩の隆起の上に、一つの人影が立っていた。
マーカスは『ナイトファング』の柄を強く握りしめた。これまで戦ってきた守護者たちのような、巨大な大悪魔や神がかり的なプロポーションを持つ突然変異の異形が待ち構えていると予想していたのだ。
しかし、彼らが見たものは、完全に言葉を失わせるものだった。
それは人間だった。あるいは、かつて人間だったものだ。彼はボロボロの一般的な服――エランドールの郊外で新米傭兵が数コインで買うような、安物の麻と革のチュニック――を着ていた。その肌は病的な灰色で、こけた頬骨と細い四肢の上にピンと張られており、まるで太陽の下で腐るに任せられた死体のようだった。彼の目はガラス玉のように濁り、生命力がなく、深い黒い隈に囲まれている。彼は、あらゆる意味において、ゾンビだった。
しかし、その姿勢は心を持たないアンデッドのそれではない。彼はポケットに手を突っ込んで立ち、空虚で諦めに満ちた退屈な表情で冒険者たちを見つめていた。
忍者は黄金の目を細め、システムにその実体を分析させた。
≪システムハブ:原初の異常を検知≫
【正体:サイモン】
【現在のクラス:ゾンビ・アノマリー(元・無職)】
【レベル:N/A(測定不能)】
【ステータス:瘴気の器】
「ゾンビ・アノマリー?」
カルダーは瞬きし、巨大な肉切り包丁をわずかに下げて呟いた。
「システムが奴にレベルすら割り当てていないぞ」
腐敗の湖の中央にいるその姿は、首をかしげた。彼が口を開いた時、その声は削るような冷たい囁きであり、ダンジョンのボスを特徴づける魔法のようなエコーは完全に欠落していた。
「マスター……将軍……君主。お前たちは皆、大層な肩書きに執着しているな」
男は弱々しく咳き込みながら言った。
「俺の名前はサイモンだ。ただのサイモンさ」
「お前がこのすべての背後にいる黒幕か?」
マーカスはガードを高く保ち、刃を構えながら彼に尋ねた。
「お前が世界樹を感染させ、前回の遠征の冒険者たちを大虐殺したのか?」
サイモンはゆっくりと頷いた。彼が一歩前へ踏み出すと、足元の黒いヘドロがまるで自らの意志を持っているかのように、大人しく道を空けた。
「冒険者ども……」
彼は、それが世界で最も最悪の毒であるかのようにその言葉を吐き捨てた。
「俺はお前たちが憎かった。これまでの人生ずっと、俺にクラスを与えてくれるようにお前たちの尊いシステムに祈り続けた。英雄になりたかった。ダンジョンを探索したかった。だがシステムはどうした? 俺に『無職』という烙印を押したんだ。間違い。のけ者さ。何年もの間、偉大な探求者たちは俺をただの荷物持ち、連中がいまいましい戦利品を運ぶための使い捨てのラバとしてしかダンジョンに連れて行かなかった」
サイモンは、今にも崩れ落ちそうな青白く細い腕を上げた。
「それから、ほぼ2年前のことだ。カエララである木こりが暗黒神マルコラスを倒したと聞いた。大陸中の冒険者たちが、それを略奪し栄光を手にするために原初の迷宮へと殺到した。俺はただ、そのおこぼれを拾うためだけに行ったのさ」
ゾンビは微笑んだ。腐りゆく顔に浮かぶ、ぞっとするような冷笑だ。
「だがそこ、深淵の中で、俺ははるかに素晴らしいものを見つけた。戦争を生き延びた瘴気のプールを見つけたんだ。そして、どうなったと思う? それは俺を拒絶しなかった。俺を『歓迎』してくれたんだ。それは俺の欠陥のある存在を書き換え、お前たちの完璧なシステムが予見していなかった唯一のクラスを俺に与えてくれた」
「そして、お前はエランドールへ来たってわけか」
マーカスは目を細めて推測した。
「その通りだ」
サイモンは答えた。
「俺はお前たちの最も偉大で高貴な英雄、エルヴィン司令官のところへ行った。ダンジョンを支配するための新しい力を彼に提供したんだ。だが彼は、俺をゴミのように見た。俺の闇を恐れて、失せろと命じたんだ。だから俺は、常に彼の一歩後ろにいた男のところへ行った。彼の副官のところへな」
「ノトリウスか」
カルダーは、昔の部隊の虐殺と、その喪失の耐え難い痛みを思い出しながら唸った。
「彼は俺を追い返さなかった」
サイモンは続け、その空虚な目には不吉な勝利の光が点滅した。
「ノトリウスは力にヨダレを垂らしていた。どんな代償を払ってでもエルヴィンを超えたがっていた。だから俺は、ここ天空の深淵への遠征に、卑しい『戦利品回収係』として雇われた。俺は目に見えない影だった。そしてこの下、空と大地の正確な交差点に到着した時……俺は彼が望むものを与えた。俺はノトリウスを俺の闇の将軍に変え、奇襲の要素を利用して、一緒に奴らを全員八つ裂きにしてやったのさ」
ゾンビは彼らの頭上にある深淵を指差した。
「まる1年間、地表のあの哀れな貴族どもの許可証を悪用して、ノトリウスは往復を続けた。彼は冒険者たちを殺し、俺の元へ下ろした。俺を養い、俺の真の奇跡を実行させるためのバイオマスとして利用したんだ」
サイモンは両腕を広げ、巨大な腐敗した根を視線で撫でた。
「システムは、俺の存在に価値がないと判断しただと?」
ゾンビ・アノマリーの声は、内臓をえぐるような恨みに満ちた唸り声へとひび割れた。
「ならば、俺はシステムの基盤そのものを破壊してやる。アイテラスとイスリルが完全に腐り果てた時、この階級主義的で、偽善的で、吐き気のする世界は終わるのだ!」
「長話はもういい」
カルダーがシッシッと音を立てた。地獄の解体者の赤いオーラが彼の周りで爆発し、巨大な鋼の肉切り包丁に火をつけた。
「お前はコンプレックスの塊の寄生虫にすぎねえ。俺がお前を灰にしてやる!」
シェフは銃弾のような速さで前方にスプリントし、ゾンビの首を真っ直ぐ狙って燃え盛る刃で空気を切り裂いた。彼の傍らでは、ドラゴブリンが飛び立ち、上空から彼を焼却しようと顎を大きく開いた。
サイモンは動かなかった。武器を抜くことも、魔法の呪文を唱えることも、武術の戦闘態勢をとることもなかった。彼はただ、ため息をついた。
「お前たちはまだわかっていない。俺は戦い方なんて知らないんだ」
無職の男は言った。
「俺の唯一の力は……これを『創り出す』ことだ」
≪システムハブ:ゾンビ・アノマリー≫
【アクション:無限生成(黒檀の疫病)】
◇ ◆ ◇
彼らの下にある暗黒の湖が爆発した。それは単純な、制御された呪文ではない。大災害のような噴火だった。
厚さ10メートルの黒いヘドロの壁が瞬時に床から立ち上がった。ドラゴブリンの強力な炎のバーストが腐敗の液体の壁に激突し、シューという音すら立てずに飲み込まれた。
カルダーは自分とサイモンの間に立ちはだかった黒檀の疫病の巨大な触手に向かって燃え盛る包丁を振り下ろしたが、その暗闇はあまりにも濃く、打撃はそれを切断できなかった。カルダーのレベル3の炎は力なく音を立て、純粋な腐敗の海に触れた途端に消滅してしまったのだ。
シェフはその無形性、『原初の炎体』を使って液体の壁を通り抜けようとしたが、黒檀の疫病はアンチマジックと死で飽和しており、彼の霊的形態そのものを攻撃した。泥と融合した死体でできた巨大な拳がヘドロから突き出し、彼に真っ直ぐに命中した。カルダーは前例のない暴力性で吹き飛ばされ、黒曜石の壁に激突して血を吐いた。
「カルダー!」
マーカスは前方にダッシュしながら叫んだ。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:蝕の歩法】
忍者はサイモンの背後にテレポートして首を刎ねようとしたが、次元ジャンプの最中、黒檀の疫病で吐き気がするほど飽和した空気自体が、光と影の通過を拒絶したのだ。テレポートは空中で唐突に中断された。
マーカスは諦めなかった。落下しながら、彼は『至高の分身の術』をアクティブにした。10体の影のクローンがあらゆる方向からサイモンに向かって急降下したが、ゾンビ・アノマリーは瞬き一つしなかった。彼の足元の黒いヘドロが単に隆起し、クローンたちを一瞬で飲み込み、彼らが一撃を与える前に溶かしてしまったのだ。
その後、黒い泥の巨大な波が、物理的な山のようにマーカスに激突した。腐敗の重みが忍者を地面に残酷に押し潰す。マーカスは肋骨が危険なほど軋むのを感じ、壊滅的な衝撃で息が止まった。
力の差は絶望的だった。怪物だ。彼らは戦士や獣と直面しているのではない。無限のマナを持つ止まらない力に蹂躙されているのだ。
ドラゴブリンが急降下し、ダイヤモンドスケールの盾を使って暗いドームを突破しようとしたが、固体の暗黒物質の巨大なスパイクが湖から噴出し、四方八方から小さな悪魔を打ち据えた。盾は持ちこたえたが、度重なる衝撃の力がハエのようにそれを叩き落とし、気絶した主人の隣に激突させた。
石雲のゴーレムはカルダーの盾になろうとしたが、黒い波は傷つけるために打つのではなく、純粋な酸のように作用した。泥が構造物の石の腕を包み込み、瓦礫を溶かし、恐ろしい速度で岩を崩していく。上肢を奪われ、ゴーレムは膝から崩れ落ち、そのルーンの光は弱々しく絶望的な輝きへと縮小した。
「お前たちにはレベルがあり、スキルがあり、神々から与えられた才能がある」
彼の被造物が2人の探求者を執拗に鞭打ち、洞窟のあらゆる隅で彼らを容赦なく打ちのめす中、サイモンは呟いた。
「だが、お前たちの剣は海を割ることはできない。そしてお前たちの炎は無限を燃やすことはできない。俺は黒檀の疫病を『生成』するのだ。休むことなく。疲労することなく」
カルダーは、鎧をボロボロにされ、皮膚を壊死で焼かれながらも苦労して立ち上がった。絶望的な咆哮と共に、彼は『至高の火炎放射』を解き放つ。炎の奔流が暗い壁の一部を焼却したが、疫病は即座に再生し、致死的な滝のように彼に降りかかり、再び彼を地面に押し潰した。
血を流すマーカスは、スペクトラル・アイスを吹き込んだ『ナイトファング』を使い、彼らを圧倒しようとしていた巨大なヘドロのブロックを凍らせた。しかし、サイモンはどこからともなく何百立方メートルもの泥を生成し、氷を粉砕し、岩のように重い黒い瓦礫を忍者に投げつけた。マーカスは痛みに視界をぼやけさせながら、床を悲惨な形で転がった。彼の見事なクラスと空高くそびえるステータスは、死の無限の供給を持つ相手に対しては、全く何の意味も持たなかった。
黒檀の疫病は、彼らの上に巨大な黒いドームを形成した。それは洞窟の唯一の光源を覆い隠すように上昇し、彼らを窒息させ、完全に同化させるために崩壊する準備をしていた。
彼らは限界だった。息を切らしたマーカスが歯を食いしばる中、サイモンは致死的な無関心で彼らを見つめ、ドームを閉じて彼らの命を終わらせる準備をしていた。
◇ ◆ ◇
その時、異質な音が瘴気の息の詰まるようなゴボゴボという音を破った。
――ビビビッ。
階段の底にある巨大な入り口のアーチから、目を眩ませるような閃光が影を貫いた。
――クラァァァック!!
純粋な黄金の光と白い稲妻の爆発が、正面入り口を真っ直ぐに吹き飛ばしたのだ。神聖エネルギーと電気エネルギーの合わさった衝撃波が、マーカスとカルダーを押し潰そうとしていた黒檀の疫病の壁を瞬時に気化させ、部屋の絶対的な暗闇にまばゆい突破口を開いた。
溶解していくヘドロと電気の火花のカーテンを通って、3つのシルエットが敷居を跨いだ。
モンクのジンは苦労して歩いていたが、金属の杖をしっかりと握りしめ、ボロボロのローブの周りでは激しく電気がパチパチと音を立てていた。
彼の左にはエルヴィン司令官が足を引きずりながらも重々しく前進していたが、彼の巨大なアビサル・アズライトの剣は、猛烈で消えることのないドラゴンの光で輝いていた。
そして中央には、切り傷と煤にまみれ、ヌンチャクをしっかりと握りしめ、顔には猛烈で不屈の反抗の表情を浮かべたエララが立っていた。
彼らは痛みを感じ、疲れ果て、カルダーの肉による壊滅的な反動で筋肉はズタズタにされ、燃えていた。しかし、彼らは到着したのだ。
「マーカス! カルダー!」
エララが叫び、地面に倒れている2人の仲間を見下ろした。ジンが放つ電気が黒い泥を押し返している。
「あなたたちだけじゃ、トラブルに巻き込まれるに決まってると思ったわ!」
騎兵隊の到着は、ゾンビ・アノマリーに不自然な冷気をもたらした。サイモンは衝突が始まってから初めて、半歩後ずさりした。司令官の姿を認識した彼の無関心は、純粋な怒りの深いしかめ面によってひび割れ、拳を握りしめた。
まだ地面にいたマーカスは、『ナイトファング』をテコにしてゆっくりと立ち上がった。彼は顔から滴り落ちる血と肋骨の目を眩ませるような痛みを無視し、トレードマークの傲慢な捕食者のような笑みが彼の顔の支配を取り戻した。
チームはついに再会し、天と地を救うための真の戦いが、今始まったのだ。




