第19章:無能と呼ばれた『無職』が最強のミュータントに!? 迷宮が4つの独房に分断され、Sランクたちも絶望する最凶のデストラップに挑む件
地下深淵の第20階層は、頂上にあった壮麗な空中庭園の廃墟とは似ても似つかない場所だった。
そこは恐怖の実験室であり、腐食した石の床に黒い血で完璧な幾何学模様が描かれた屠殺場だった。
マーカスとカルダーは武器を抜き、一歩前に出た。
ドラゴブリンと石雲のゴーレムも彼らの横に並び、感覚を極限まで研ぎ澄ます。
エレガントだが腐敗にまみれた衣服を身にまとった二つの人型の姿が、瞳孔が完全に欠落した、宇宙の虚無のような真っ黒な二対の目で彼らを観察していた。
「血圧の上昇、瞳孔の散大、制御不能なマナの膨張」
最初の存在が囁いた。その金属的で単調な声は、マーカスの鼓膜を直接こすりつけるようだった。
人間の脊椎では不可能な角度に不自然に首をかしげる。タイタンのような鋼の針を思わせる双剣が、その袖から滑り出た。
「被検体は恐怖と敵意の兆候を示している。予測可能だが、厄介な生物学的反射だ」
「彼らのバイオマスは例外的です、被検体ゼロ」
二番目の存在が目に見えない楽器を弾くように細い指を動かしながら答えた。
「あのグレード4の異常を。そしてあの進化した構造物を。マスターは我々の収穫に狂喜するでしょう」
カルダーは肉切り包丁の柄を握りしめ、そのオレンジ色の炎が圧倒的な広さの部屋を微かに照らした。
「お前ら、一体何者だ?」
地獄の解体者が唸った。
「お前らが黒檀の疫病を裏で操る黒幕か?」
「黒幕?」
被検体壱は、ユーモアの欠片もない乾いた笑いを漏らした。
「我々は疫病の完璧さの『結果』に過ぎない。かつて、お前たちの哀れな地上の社会は我々を『無職』と呼んだ。欠陥品。ダンジョンに登る資格のない、弱く、病んだ者たち。そして、マスターが我々を見つけてくださったのだ。マスターは我々から哀れな人間の限界を排除し、真の『進化』を与えてくださった」
冷たい悪寒がマーカスの背筋を走った。暗黒魔法によって突然変異させられた、元「無職」の人間たち。
忍者は彼らの体に視線を集中させ、彼らが放つ深淵のオーラをシステムに分析させた。
システムハブの青いウィンドウが目の前に実体化した時、マーカスは青ざめた。
≪システムハブ:敵対的エンティティを検知≫
【正体:被検体ゼロ】
【ダーククラス:屍食の解剖者 – レベル3】
【危険度:極大】
【正体:被検体壱】
【ダーククラス:疫病の人形使い(ブライト・パペッティア) – レベル3】
【危険度:極大】
「レベル3……」
マーカスは、指の関節が白くなるほどアビサル・アズライトを強く握りしめながら囁いた。二人とも、クラスの絶対的な頂点に達している。
疫病の人形使いが微笑むと、その青白い顔に細い裂け目ができた。彼が腕を上げると、指先から暗黒物質の太い糸がほどけ始め、背後にある黒い血の巨大なプールに繋がった。
「上層階でお前たちの小さなテイマーを観察させてもらった」
人形使いは、純粋な軽蔑を滴らせるトーンで言った。
「共感と魂を通じて魔物を縛る……なんと脆く、欠陥のある方法か。魔物は痛みを感じ、恐怖し、ためらう。私はマスターのおかげで、はるかに効率的なテイム方法を学んだ。真っ白なキャンバスは決して反逆しない」
人形使いが手を下へ弾く。暗黒物質の糸がピンと張られた。
「まず、クリーチャーの心臓を止める。殺すのだ。そして……黒檀の疫病の純粋な魂を与える」
腐敗した存在はそう結論づけた。
背後の腐敗のプールから、2つのタイタンのような姿が現れた。
最初の姿が重く着地すると、部屋全体が揺れた。
ドラゴブリンは甲高い金切り声を上げ、翼を広げ、ショックで黄金の目を細めた。ドラゴンだった。彼らが地表で倒したばかりの神聖白竜の、正確で同一のコピー。
だが、この生き物には清らかな部分など何一つなかった。鱗はピッチブラックで、空虚な目は純粋な腐敗で燃え上がり、周囲の空気は壊死的な瘴気へと凍りついた。レベル3の力で蘇生した、【黒檀の竜】だ。
ドラゴンの横に現れた2番目の姿は、無表情な石雲のゴーレムでさえ一歩後ずさりさせるほどのものだった。
それは彼らが数時間前に倒した『腐敗した鼠の天使』だったが、人形使いの魔法によって巨大に増幅されていた。その翼は黒い骨と羽でできた6本の触手となり、頭上の光輪は致死的な毒素の渦となっていた。【鼠の大天使】だ。
「完璧だな。4対4だ」
マーカスはカルダーと肩を並べながら呟いた。
「シェフ、よく聞け。あいつらを一緒に倒さなきゃならない。包丁とクローンを使って魔物のガードを粉砕し、あの2人を真っ直ぐ狙うんだ。休む暇を与えるな」
しかし、屍食の解剖者はすでに双子の針を掲げ、不吉な骨の鳴る音と共に手首を回していた。
「チームワーク。生物学的生存のための見事な戦術だ」
グールはいかなる抑揚もない声で宣言した。
「あいにく、臨床解剖には無菌で汚染されていない環境が必要でね。いかなる干渉も、いかなる援助も不要だ」
グールと人形使いは手を交差させ、彼らの怪物的なレベル3のオーラを単一の、破壊的な魔法の共鳴へと融合させた。
≪システムハブ:至高の暗黒魔法発動≫
【共有スキル:疫病の領域 – 孤立の結界】
ダンジョンの床が、地震に襲われたかのように震えた。
何の警告もなしに、硬い黒い軟骨、骨、そして腐食した石でできた巨大で醜悪な壁が、超音速で地面から噴出したのだ。
「マーカス!」
カルダーが叫び、仲間に手を伸ばした。
だが無駄だった。壊死的な壁が彼らの間に突き上がり、空気を切り裂き、広大な空間を4つの巨大で、完璧に密閉・孤立された四角い『独房』へと残酷に分割したのだ。ドアも窓もなく、それらが作られている素材は音もマナも弾き返した。
巨大な洞窟は、4つの静寂の闘技場へと分割されたのだ。
◇ ◆ ◇
最初の部屋では、石雲のゴーレムが即座に本能に頼った。ルーンの目を閉じ、感覚フィールドを広げる。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:空のマントラ】
しかし、鼠の大天使は空気を曲げて飛んでいるのではなかった。それは文字通り、独房を飽和させている黒檀の疫病の濃密な物質の中を「泳いで」いたのだ。あの不自然な圧力によって目を眩まされ、マントラは無用の長物と化した。
石の巨人がパンチを放つ前に、黒い骨と羽でできた6本の触手が鋼の鎖のような力でそれを打ち据えた。ゴーレムはよろめき、胸と肩に破壊的な打撃を受けた。胸のルーンが強烈に輝く。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:エメラルド・ビーム】
エネルギーのビームを上方へ発射したが、異形は忌まわしい速度で横へダッシュし、ビームは天井の黒い軟骨に無害に砕け散った。構造物は一撃も当てられない。体を一つに保っているのは、その巨大な岩の構成と毒素に対するパッシブな免疫だけだったが、容赦ない攻撃の雨の下で、その石はすでに激しくひび割れ始めていた。
数メートル離れた、分厚い壊死の壁によって孤立した第2の独房の空気は、文字通り火を噴いていた。
ドラゴブリンとエボニー・ドラゴンは、深淵の基礎を揺るがすような咆哮と共に激突した。それは純粋で残忍な、原初の力の乱闘だった。使い魔は致死的な爪の一撃を受けた。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:金剛鱗装甲】
星の金属の鱗は、耳をつんざくような金属音と共に衝撃に耐えた。顎を大きく開き、小さな悪魔は反撃した。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:影炎の息吹】
至近距離からのバーストが、タイタンのような、ほぼ互角の衝突で部屋を照らし出した。しかし、腐敗したドラゴンは巨大であり、創造主のレベル3の力のおかげで本質的に優れていた。巨大なショルダータックルで、それはドラゴブリンを壁に叩きつけた。
小さな悪魔は床を滑り、鱗に覆われた頭を振った。黄金の目が敵の巨大な黒い鱗に走ると、本物の当惑の震えを感じた。
どうやって殺すか狂ったように考えていたが、厳しい現実が襲ってきた。アビサル・アズライトがない。無敵のドラゴンの防御を切り裂くことができる唯一の武器である主人の剣を持っておらず、そのトゲ付きの棍棒ではあの胸を粉砕するのに決して十分ではない。
倒すための有効なアイデアがないまま、グレード4のアノマリーは唯一できることを強いられた。翼を広げて回避行動に頼り、星の金属の盾の後ろにうずくまって、あの不条理な力にできるだけ長く耐え凌ぐことだ。
3つ目の部屋では、カルダーの状況も同様に悲惨だった。
≪システムハブ:パッシブスキル発動≫
【スキル:地獄の解体者オーラ + 純粋な炎の刃】
シェフは咆哮し、赤いオーラに包まれて強襲を開始した。彼の燃え盛る肉切り包丁は致死的な弧を描いたが、刃が落ちる場所に疫病の人形使いがいることは決してなかった。地獄の解体者への強力な進化にもかかわらず、レベル2はレベル3の絶対的なステータスの優位性に対して深刻な不利を被っていた。
腐敗した個体は、病的な優雅さで腐りゆく床を滑るように動いた。指を軽く弾くだけで、暗黒物質の糸が見えない鞭のようにスナップする。カルダーは革の鎧を引き裂く斬撃を脇腹に受け、次に肩に受けた。巨人は出血を重ねながら歯を食いしばったが、彼に追いつくことも距離を詰めることも完全に不可能だった。
そして最後の独房では、黒曜石に対して鋼が火花を散らす音で暗闇が絶えず貫かれていた。
マーカスは形勢を逆転させようと電光石火の印を結んだ。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:分身の術】
5体のソリッドクローンが実体化し、クナイを抜いてグール・ディセクターに同時ダッシュした。
しかし、対戦相手は消えた。
幻影を使ったわけではない。純粋で恐ろしい速度だ。物理的に予測不可能な、壊れたカクカクとした動きで、グールはクローンたちの間を移動し、ほんの数分の一秒で彼らを黒煙のパフへと爆発させた。マーカスは目を丸くし、『ナイトファング』を上げて、自身の喉元を狙う双針の交差をギリギリでパリィした。
反動で忍者は重く後方へ滑り、腕の腱が負担で燃えるように熱くなるのを感じた。それは純粋で狂気的なスピードの決闘であり、幻影の君主となってから初めて、彼は残酷なまでに追い詰められていた。明確で圧倒的な不利の中、マーカスは防御のみに追いやられ、反撃の隙を全く見つけられないまま、致死的な連撃をパリィし続けることを余儀なくされた。
◇ ◆ ◇
執拗な攻撃でそれぞれの対戦相手を打ちのめす中、2体のレベル3の魔物の単調な声が、まるで単一のハイブマインドによって指示されているかのように、孤立した部屋に完全に同期して響き渡った。
「お前たちの抵抗は非論理的であり、統計的に無関係だ」
グール・ディセクターは、マーカスを軟骨の壁へと追い詰める突きの雹を浴びせながら宣告した。
「黒檀の疫病の完璧さを前にして、お前たちにできることは何もない。お前たちは弱い。肉体、乳酸、そして痛みによって制限されている」
疫病の人形使いが隣の独房で同調し、カルダーの胸を鞭打って彼を片膝をつかせた。
「我々は単一の、合理的な結論を提案する」
グールは続け、マーカスの刃に針を交差させ、人間離れした力で忍者の顔に向けて押し込んだ。
「今すぐ降伏しろ。戦いをやめれば、真の肉体と精神を無傷のまま保ちながら、我々の大義のために働くことを許可しよう」
「しかし、もしお前たちが頑なに拒むのなら……」
人形使いが結論づけ、荒い息を吐く地獄の解体者から数歩のところで立ち止まり、青白い顔に残酷な笑みを刻んだ。
「手順は過激なものになる。まず、お前たちを殺す。そしてお前たちの空っぽの死体を黒檀の疫病に置き換え、永遠に我々の操り人形として再起動させる」
2つの闘技場に重苦しい沈黙が降りた。聞こえるのは2人の探求者の荒い息遣いだけだった。
マーカスは、グールの人間離れした圧力の下で腕を震わせながら、石の床に血の塊を吐き捨てた。
数ヤード離れた、すべての音を遮断する分厚い軟骨の壁の向こう側で、カルダーはゆっくりと赤い線が入った顔を上げ、体を支えるために肉切り包丁を地面に突き立てた。
彼らはお互いを見ることはできなかった。お互いの声を聞くこともできなかった。しかし、血と鋼、そして数え切れないほどの戦いを通じて築かれた絆は、どんな壊死的な壁よりも強かった。
一切のためらいの欠片もなく、彼らの目は同じ、消えることのない猛烈な決意で燃え上がった。
「お前らのような偽物の力で……」
マーカスとカルダーはユニゾンで唸り、彼らの声は孤立した独房で対称的に反響した。
忍者は敵の刃を振り払うために残酷な力で押し返し、シェフは歯を食いしばり、威厳を持って立ち上がった。
「……俺たちを倒せると思うなよ」




