第11章:親友の仇と復讐の炎! 怒りに呑まれた料理人が限界突破【地獄の解体者(インフェルナル・ブッチャー)】に進化し、腐敗した堕天使を八つ裂きにする件
その目覚めは、決して穏やかなものではなかった。
クリスタルの闘技場を揺るがすような耳をつんざく咆哮に続き、魔法に対する金属の凄まじい金切り声が響いた。
1秒も経たないうちに、マーカスはすでに立ち上がり、黄金の目を大きく見開いて、黒曜石のクナイをしっかりと握りしめていた。
その傍らで、カルダーもコイルの弾けるように飛び起き、瞬時に重い鋼の双包丁を実体化させた。
部屋の中央、人工の雲の薄明かりに照らされた場所で、あのエメラルドの騎士が復活していた。
その両手持ちの大剣が破壊的な力で振り下ろされていたが、一晩中グループを見張っていた小さな守護者ゴブリンの棍棒によって、地面からわずか一手の距離でブロックされていた。
エララは深い眠りからまだ頭がぼんやりとしたまま、最後に目を覚ました。
しかし、使い魔を呼ぶ必要すらなかった。
森の守護者・猪人はすでに彼女の前に立ち、主人と脅威の間の生きた盾として機能し、ゴブリンを助けるために突撃する準備をしていた。
だが、予期せぬことが起こった。
イノシシのオーガは小さな影の使い魔に向かって低く深い唸り声を上げ、装甲された胸に拳を叩きつけた。
ゴブリンは彼を見て、短く頷くと、後方への跳躍で衝突から抜け出し、フィールドを空けたのだ。
ボアマンは一人で戦うことを望んでいた。
前日の屈辱的な敗北の名誉挽回を求めていたのだ。
筋肉と牙の巨像は石の斧を振り回して騎士に突進したが、速度と技術の差は依然として深淵のように開いていた。
エメラルドの騎士はほとんど見えないようなサイドステップで打撃を避け、踵を軸に回転して、怪物の露出した首を真っ直ぐ狙う水平斬りを準備した。
致死的な一撃だった。
エララの目は見開かれた。
ほんの数分の一秒の間に、昨年のトラウマの記憶が彼女の心の中で爆発した。
無力感、周りの人々を守れないことへの恐怖、最も忠実な仲間を失うことの恐怖。
彼女はそれが再び起こるのを許さない。二度と。
絶望的なスプリントで、少女は距離を詰めた。
彼女はクリスタルの床を滑り、大剣が彼女のオーガを首斬りするほんの数分の一秒前に、新しい鋼のヌンチャクを交差させた。
衝撃は途方もなく、緑とオレンジの火花が部屋を照らし出したが、魔法の鋼はしっかりと持ちこたえた。
「下がって!」
エララは、その超人的なプレッシャーに耐えながら荒い息を吐き叫んだ。
彼女は決意に燃える目で自分の魔物を見た。
「一緒に。私の元へ戻って!」
ボアマンは唸り声を上げ、躊躇なく命令に従った。
その巨大な物理的肉体が非物質化し、純粋な黄金と茶色の光の渦となってエララの胸に直接流れ込んだ。
≪システムハブ:スキル発動≫
【スキル:パッシブ共鳴】
純粋なマナの衝撃波がテイマーから広がった。
エララは目を閉じ、いつもとは根本的に異なる、計り知れないほど強力なエネルギーが静脈を駆け巡るのを感じた。
彼女の魔物の献身と、彼を守りたいという彼女の鉄の意志が、単一の存在へと融合したのだ。彼らの絆は指数関数的に成長していた。
彼女は目を開けた。
その瞳孔は今、細い金色の輪で囲まれていた。
「これでたっぷり休めたわ」
エララは、恐ろしいスピードで体の周りにヌンチャクを回転させながらシッシッと音を立てた。
彼女はボスと目を合わせ、戦闘態勢に入る。
「あなたと私だけよ」
騎士が突撃し、いつもの不自然な速度で距離を詰めた。
だが今回は、エララの準備ができていた。
ボアマンとの完璧な共鳴とカルダーの回復食によって増幅された彼女の反射神経は、超人的なものになっていた。
彼女は背中を反らせてボスの最初の突きを躱し、脚をピボットとして使って敵の装甲された脇腹に破壊的なキックを見舞った。
騎士がよろめく。
エララは一瞬の休息も与えない。
彼女は容赦のない攻撃を開始し、シンコペーションのリズムでボスの大剣にヌンチャクの打撃の雹を叩きつけた。
数メートル離れた場所で、マーカスはクナイを構え、ミスがあった場合に介入できるよう筋肉を緊張させていた。
しかし、激突の最初の10秒後、彼はゆっくりと武器を下ろした。
彼に出番はなかった。
バトルクライと共に、エララは騎士の水平斬りの下を潜り抜けた。
彼女はヌンチャクの鎖をボスの装甲された手首に巻きつけ、バランスを崩させるために下へと引っ張り、その顔面に四角く膝を叩き込んだ。
エメラルドの兜がひび割れる。
勢いを失うことなく、少女は武器を解放し、騎士の頭蓋骨に直接両手打ちを叩き込んだ。
鎧が無数の緑の光の破片となって爆発した。
エメラルドの騎士は消滅したのだ。彼女たった一人の手によって。
エララは足から着地した。
息は荒いが、ボアマンのマナが彼女のハブへと優しく戻っていく中、その顔は勝利の笑みに輝いており、疲労感はあっても無傷だった。
「全くもって悪くないぜ、お嬢ちゃん」
カルダーが包丁をしまい、歩きながらコメントした。
それから、彼は革の腕当てに埋め込まれた時計を確認し、眉をひそめた。
「だが、一つ問題がある。昨日こいつを倒してから、せいぜい6時間しか経ってないぞ」
マーカスは小さなゴブリンに近づき、ドラマチックなあくびをする存在の頭を撫でた。
「最高の仕事をしてくれたな、相棒」
忍者はそう囁いてから、カルダーの方を向いた。
「あんたの言う通りだ。このダンジョンでは、ボスのリスポーン速度が異常だ。次は、アクティブな闘技場のない移行階層で寝たほうがいいな」
頷くと、マーカスは使い魔を下がらせた。
「眠れ。一晩中起きて見張りをしてくれたんだ、休む権利がある」
ゴブリンは影の水たまりへと溶け、主人の霊的契約の中の休息へと戻っていった。
装備をまとめ、パーティーは登頂を再開した。
◇ ◆ ◇
その後の階層は、グロテスクと残酷さのシーソーゲームだった。
第23階層から第25階層までのまるまる3階層、彼らは生きた魂一人と交差することはなかった。
彼らが見つけたのは、ノトリウスとそのグループの通過を示す紛れもない痕跡だけだった。
暗い血にまみれた回廊、暗黒魔法で切り裂かれた壁、そして腐った灰に還元されたエレメンタルやゴーレムの死体の山だ。
しかし、第26階層からダンジョンは再び分岐し、マーカスたちのグループが選んだ道には彼らを歓迎する恐怖で溢れていた。
彼らが広い吊り回廊に足を踏み入れた途端、鋭いガラスで彫刻された体と鋼の羽を持つ【クリスタル・ハーピー】の巨大な群れが、彼らの上に急降下してきたのだ。
「こいつらは俺のだ!」
カルダーが咆哮した。
バトルシェフが前方へダッシュし、ダンジョンの月の光を反射する鋼の双包丁を構えた。
彼のは単なる腕力ではない。大殺戮に応用された料理の技術だった。
カルダーは自身のクラスのパッシブスキル【解体屋の斬撃】を使用し、魚をおろすのと同じ精度でクリスタルモンスターの構造的弱点を計算した。
彼は刃を上向きに交差させ、2体のハーピーの急降下攻撃を弾き返し、クリーンで致命的なダブルスラッシュでその翼を切り落とした。
彼の後ろでは、エララが敵の間を踊るように駆け抜け、ヌンチャクで貫通不能な障壁を作り、シェフの側面に回り込もうとするハーピーの頭蓋骨を粉砕していた。
マーカスに至っては、幽霊になっていた。
ゴブリンがいなくても、彼は純粋な敏捷性と自身の兵器庫に完全に依存していた。
壁を滑るように進みながら、彼は飛んでいるハーピーに麻痺手裏剣を投げつけ、無防備な状態で地面に激突させた。
巨大な【青銅のゴーレム】が頭を下げて突撃してきた時、忍者はその背中に飛び乗り、機械の首のくぼみに爆発の巻物を直接貼り付け、赤熱した歯車のシャワーの中で即座に首を刎ねた。
彼らの新たに構築されたチームワークは、彼らを止めることのできない存在にしていた。
しかし、その無敵感は、第27階層に到達した瞬間に粉砕された。
ここの環境は異なっていた。
廃墟となった列柱に囲まれた、広い石のテラスだった。空気は淀んでいる。
彼らを迎えたのは、低レベルの【風の狼】の小さな群れだけだった。
エララは足を伸ばさせるためにボアマンを召喚した。
巨大なイノシシのオーガは狼たちに突撃し、彼らだけで立ち向かい始め、ほんの少しの努力もなしに彼らを一掃し、その止まらない質量で彼らを踏み潰していった。
使い魔がエリアを片付けている間、カルダーは部屋の奥へと進んでいった。
突然、彼の重い足音がピタリと止まった。
バトルシェフは肉切り包丁の一つを地面に落とし、列柱の間に金属音を反響させた。
マーカスとエララが振り返る。
カルダーは膝をついていた。
彼の前には、半壊した壁に寄りかかるようにして、人間の遺体が横たわっていた。
白骨化し、錆びた鎧の残骸と魔法の塵に覆われた折れた武器があり、少なくとも1年間そこに放置されていた。
唯一無傷で、完璧に認識できるものがあった。
それは、頭蓋骨の隣に置かれた、分厚い紫色の布製のバックパックだった。
カルダーは震える手でそのバックパックを掴んだ。
彼はそれを胸に強く抱きしめ、布の中に顔を埋めた。
喉の奥からの、途切れ途切れの嗚咽が彼の唇から漏れ、その後、巨漢の男は制御不能な涙を流し始めた。
彼の涙は傷だらけの顔を伝い、冷たい床に重く落ちた。
それは彼の友人たちだった。
1年前に彼が探すと誓ったパーティーだ。
エララは喉の奥に塊を感じた。
彼女はすぐに彼に駆け寄り、彼のそばにひざまずいた。
彼女は彼の広く震える肩に腕を回し、無言で彼を慰めるために背中に頭を休ませた。
マーカスは彼を慰めるために近づくことはしなかった。
彼の顔は冷たい合理性の仮面へと硬直していた。
ボアマンが最後のオオカミを打ち倒している間、忍者は倒れたパーティーの遺体の隣にしゃがみ込んだ。
マーカスの黄金の目は、骨、鎧のプレートのクリーンな切り口、打撃の軌道、そして近くの壁にある黒い焦げ跡を調べた。
「気の毒にな、カルダー」
マーカスは立ち上がりながら低い声で言った。その目は細められ、抑えきれない怒りに満ちていた。
「だが、現実の事実から目を背けるな」
エララは顔を上げ、混乱と苛立ちを見せた。
「マーカス、本当に今そんなことを言う時だと思ってるの?」
「ああ、今がその時だ」
忍者は周囲を指し示し、氷のようなトーンで答えた。
「この階層を見てみろ。ここの魔物は非常に少なく、レベルも極端に低い。クラスレベル1の冒険者3人のパーティーがここまで登ってこられたなら、汗一つかかずに魔物をバラバラにできたはずだ。これらの切り傷はモンスターの爪によるものじゃない。そしてその火傷は、凝縮されたマナの痕跡だ。魔法と、鍛えられた刃によるものだ」
マーカスは拳を握りしめた。
「あんたの友達を殺したのは魔物じゃない、カルダー。彼らを大虐殺したのは……人間だ」
その言葉は部屋の沈黙の中で反響した。
カルダーは泣くのをやめた。
彼はゆっくりと紫色のバックパックを下ろした。
それまで嗚咽によって途切れていた彼の呼吸は、傷ついた獣の唸り声のような、深く重い喘鳴へと変わった。
料理人は立ち上がった。
普段は温和で父親のような彼の目は、今や充血し、盲目的で殺意に満ちた怒りに満ちていた。
一言も発することなく、彼は地面から肉切り包丁を拾い上げ、第28階層へと続く階段へ向かって、長く重い歩幅で進み始めた。
「カルダー、止まれ!」
マーカスは彼の肩を掴もうと前方にダッシュして命じた。
「無茶をするな、あの上に何が待っているかわからないんだぞ!」
激怒した唸り声と共に、カルダーは振り返り、忍者に強烈なショルダータックルを見舞った。
その力は凄まじく、数メートルも後方へと滑らせるほどだった。
「どけ」
シェフはシッシッと音を立て、怒りに目をくらませたまま階段へのスプリントを再開した。
マーカスは彼を追いかけようと動いたが、エララが彼の腕を掴んだ。
「行かせてあげて」
テイマーは言った。その声は固かったが、共感に満ちていた。
「彼は発散する必要があるわ。ただ後をつけていきましょう」
◇ ◆ ◇
二人は階段を駆け上がり、仲間のわずか数瞬後に第28階層に到達した。
新しい闘技場は巨大で、嵐の空に面した屋根のない円形の神殿だった。
その中央には、絶対的な恐怖が彼らを待っていた。
巨大な【山羊人】だが、下層階で見られたものよりも無限に大きく、グロテスクだ。
その背中からは2つではなく、6つの巨大な天使の翼が生えていた。
≪システムハブ:ボスを検知≫
【正体:腐敗した熾天使】
【グレード:エリートモンスター - クラスレベル2】
カルダーはシステム画面に一瞥もくれなかった。
原初の咆哮と共に、彼は巨像に頭を下げて突撃した。
腐敗した熾天使は巨大な金色の槍を下げ、誰の肋骨でも粉砕するような薙ぎ払いの一撃で彼の胸を四角く打った。
カルダーは後方へ吹き飛ばされ、鼻から血を流したが、一言も発しなかった。
痛みは感じていなかった。ただ喪失という引き裂かれるような虚無感と、燃え盛る復讐の熱だけを感じていた。
彼は即座に立ち上がった。
濃密な赤いオーラが彼の体から放射され始めた。彼の周りの空気が劇的に熱くなる。
≪システムハブ:警告≫
【「盲目的な怒り」状態を検知しました。】
【限界突破の条件を満たしました。】
【クラス進化進行中……】
【現在のクラス:バトルシェフ(Lv. 1) → 新クラス:地獄の解体者(Lv. 2)】
【パッシブスキル解放:純粋な炎の刃】
カルダーの双子の鋼の肉切り包丁が、突然発火した。
生き生きとした、目を眩ませるようなオレンジ色の轟音を立てる炎が2つの刃を包み込み、それらを純粋な破壊の2つの松明へと変貌させた。
腐敗した熾天使は再び突撃したが、カルダーの方が速かった。
地獄の解体者は足を地面に踏ん張り、最後の最後の瞬間で槍の突きを避け、白熱する肉切り包丁をボスの脚に振り下ろした。
純粋な火は黄金の鎧をバターのように溶かし、接触と同時に肉を焼灼した。
怪物は痛みに悲鳴を上げ、6つの翼を羽ばたかせて飛び立とうとしたが、カルダーは超人的な跳躍を見せ、その背中にしがみついた。
残忍な大殺戮が始まった。
絶望と炎に煽られた斬撃で、シェフはボスの雄大な翼を一つずつ綺麗に切り落とし、タイタンのような衝突音と共にそれを地面へと墜落させた。
セラフが起き上がる前に、カルダーはその上に乗っていた。
炎の肉切り包丁が最後で壊滅的な十字の斬撃として振り下ろされ、クラスレベル2のモンスターを首斬りし、その体を燃える灰の山に還元した。
カルダーは煙に囲まれた部屋の中央で、荒い息を吐きながら立っていた。
肉切り包丁の炎は徐々に消えていった。
現実の重みが彼の肩に再びのしかかると、彼の腕は脇に落ちた。肉体的にも精神的にも疲れ果て、彼は膝から崩れ落ちた。
エララはゆっくりと近づき、彼の隣に座って膝を胸に抱えた。
戦いのアドレナリンは薄れ、彼ら二人の心に深いメランコリーの入り込む余地を作っていた。
カルダーは長く震える息を吸い、手の甲で煤まみれの額を拭った。
「少し気分が良くなった……」
彼はモンスターの灰を見つめながら、かすれた声で呟いた。
「これを吐き出す必要があったんだ」
エララは理解を示すように頷き、膝に顎を乗せた。彼女のエメラルドの瞳が悲しみで曇る。
「もしかしたら、私の父もこのダンジョンで死んだのかもしれないわね」
少女は、消えゆく煙に視線を迷わせながら囁いた。
「彼がまだ生きていることを祈るしかないわ……」
カルダーは彼女の方を向いた。
彼の怒りは今や、誠実で兄弟のような好奇心に取って代わられていた。
「お前、自分の家族について全然話さないな、お嬢ちゃん。この地獄のような場所で探してる『父親』って誰なんだ?」
エララは躊躇した。下唇を噛み、そして顔を上げた。
その視線は猛烈な決意に満ちていた。
「彼の名前はエルヴィンよ」
カルダーは瞬時に凍りつき、目を丸くした。
「『エルヴィン団長』のことを言ってるのか? ギルド全体で最強の戦士の?」
エララはゆっくりと頷いた。
「ええ。去年、彼はこの上の極秘任務に選ばれて……そして二度と戻ってこなかった。でも、彼が死んでいないことはわかっているわ」
地獄の解体者は長い間、黙って彼女を見つめた。
そして、安心させるような笑顔が彼の疲れた、煤まみれの顔に広がった。
彼は巨大な手を伸ばし、愛情を込めて彼女の髪をクシャクシャと撫でた。
「お嬢ちゃん」
カルダーは絶対的な確信を帯びた声で言った。
「彼のような人物なら、間違いなくまだ生きているさ。彼を見つけるために、俺たちがお前を頂上まで連れて行ってやるよ」
数歩離れた場所に立っていたマーカスは、クナイを鞘に収めながら黙って頷いた。
戦いには勝ったが、天空の迷宮での本当の戦争はまだ始まったばかりだった。




