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第3章:山賊が「賞金首の熊を渡せ」と脅してきたので、木こりの筋力と斧で両断した件。そして主を守る魔物たちの絆が新たな力を覚醒させる

谷を下る道のりは、緊張に満ちた沈黙の中で進んだ。


アナベルはゴランの数歩後ろを歩き、絶えず木こりの広い背中へと視線を走らせていた。ヒーラーの頭脳は、目撃した光景をまだ処理しきれずにいた。


壁の外の世界は無慈悲だ。もし商人ギルドや腐敗した貴族、あるいは悪意ある派閥がゴランの秘密を知れば、彼らは伝説の魔獣のように彼を狩り立てるだろう。彼女はそのことを熟知していた。


少女の内心の動揺など知る由もないゴランは、未舗装の道の真ん中で立ち止まった。彼は重い革の肩当てを調整し、自分の空っぽのベルトを見下ろした。


「都市に向かうなら、ちょっとした兵站(へいたん)の問題があるな」


彼は自分自身を指差して認めた。


「俺はコイン一枚すら持っていない。服とこの斧しか所有してないんだ」


アナベルは作り笑いを浮かべ、不安を振り払おうとした。


「お金のことなら心配しないで。アエテルガルドへの道のりはまだ長いの。壁の外で見つかるものは全て値段がつくし、ダンジョンから採れる素材は財産になるわ。魔物を狩って肉を売るか、薬草を採取すればいいわよ」


ゴランは本当に当惑したように片眉を上げた。


「なぜだ? もし資源にそれだけの価値があるなら、どうして都市の連中が自分で出てきて集めないんだ?」


「なぜなら、都市に住んで働いている人々の大半は『無職(クラスレス)』だからよ」


アナベルは荘厳な悲しみを帯びた声で説明した。


「システムは彼らに、生き残るために必要なステータスも、力も、スキルも与えなかったの。普通の人にとって、低レベルのハイブリッド魔物でさえ、確実な死の宣告なのよ」


「なるほど」


ゴランは、タコだらけの自分の掌を見下ろしながら呟いた。


「なら、狩りに行こう」


「すぐに戦闘のリスクを冒す必要はないわ」


アナベルは彼を制止し、道の両側に広がる鬱蒼とした植物を指差した。


「この尾根沿いに【ムーンブルーム(月咲き花)】が生えているの。強力な薬効成分があるわ。十分な量を集めれば、都市の錬金術師がかなりの額で買い取ってくれるはずよ」


ゴランは頷いた。彼は一瞬だけ目を閉じ、精神の中でハブのインターフェースを呼び出した。


「リザードマン。あの花を摘んでこい」


アナベルは狂ったように辺りを見回し、目撃者がいないことを確認するために森の暗がりをスキャンした。周囲に誰もいないと確信して、ようやく安堵の息を吐く。


青い閃光と共に、鱗に覆われたハイブリッドが実体化した。


魔物は一瞬の躊躇もなく作業に取り掛かり、驚くべき繊細さで、鉤爪の生えた指を使って発光する植物を摘み取っていく。


ヒーラーの少女は魔法にかかったように、その生き物が働く様子を見つめていた。


「ねえ、ゴラン」彼女は木こりの横に並んで歩きながら、静かに言った。「古い巻物には、テイマーとその魔物が深い絆を共有すれば、彼らの合算された力は指数関数的に増加するって書かれているのよ」


「絆?」彼は繰り返した。「どういう意味だ?」


「学者の日記で読んだの。あなたに会うまで、私はモンスターテイマーに会ったことがなかった。実のところ、あなたのクラスは謎に包まれているのよ。人々は理解できないものを恐れるわ。テイマー以上に尊敬を集める、あるいは畏怖されるクラスがあるとすれば、それは【聖騎士(ホーリーナイト)】だけね。私たちの都市アエテルガルドを守っているのも、たった一人だけよ」


ゴランは斧を肩に担ぎ、この世界のルールに興味をそそられた。


「俺のクラスよりもさらに珍しいクラスなのか?」


「ええ。ホーリーナイトは天上の軍馬を召喚でき、比類なき物理ステータスを持ち、光属性に基づくスキルを操るわ。でも伝説によれば、何世紀も前にこの世界を救ったのは一人のモンスターテイマーだったそうよ。学者たちがいまだに説明できない、隠された力を使ってね……」


「なるほど……」ゴランは答えようとしたが、彼の声は唐突に途切れた。


風の音にしては大きすぎる重い足音が、森の静寂を打ち砕いた。魔物の不器用な足音ではない。人間の足音だ。


「あのダンジョンから逃げ出した巨大なグリズリーマンの足跡が、お互いに殺し合うこともなく、リザードマンと仲良く並んで歩いているとはな」


暗がりの中から、傲慢さに満ちた荒々しい声が吠えた。


重武装した4人の男たちが道に現れ、彼らの行く手を遮った。


彼らの鎧は不揃いで、古い血で汚れきっていた。顔の半分に醜い傷跡を持つリーダーの男が、錆びたブロードソードを握りしめ、目を細める。強欲で残酷な笑みが、彼の唇を歪ませた。


「俺の追跡係(トラッカー)は幻覚でも見ているのかと思ったぜ。だがどうやら、山からお前らの足跡を追ってきたのは正解だったらしいな。おまけに、そこの小娘がテイマーについてペチャクチャ喋っているのも聞こえた。完璧なタイミングだ。


俺たちはちょうど、あのダンジョンの『熊』と契約を結ぶためのテイマーを必要としていたんだよ。あの獣にかかっている賞金は天文学的な数字だからな」


アナベルは心臓を肋骨に打ち付けながらも、本能的にゴランの前に立ちはだかった。


「間違っているわ。ここにテイマーなんていない」


側面にいた山賊の一人が笑い、ノコギリ状の短剣を抜いた。


「足跡もあるし、てめえ自身の言葉が裏切ってるんだよ、ガキ。嘘をつくんじゃねえ」


傭兵は突然のダッシュでアナベルに飛びかかり、彼女を黙らせようと武器を突き出した。


だが、彼は彼女には届かなかった。


ゴランは考えなかった。選択肢を天秤にかけることもしなかった。


致命的で純粋な反応のみの「筋肉の記憶(マッスルメモリー)」に導かれ、彼は斧を水平に大きく振り抜いた。


刃は恐ろしい風切り音を立てて空気を裂き、疾走中の山賊を中空で捉え、見事に真っ二つに切り裂いた。


真紅の雨が道の砂利を染めた。


残る3人の山賊は石のように固まった。彼らの表情は傲慢さから純粋な盲目的恐怖へと変わり、そして猛烈な怒りへと爆発した。


「このクソ野郎! 二人とも殺せ!」リーダーが咆哮する。


3人は同時に突撃してきた。


ゴランは一歩前に出て、直接その襲撃の中へと踏み込んだ。


重心を前方に移し、リーダーの胸に強烈な前蹴りを叩き込む。


丸太が折れるような音がした。男の肋骨は瞬時に粉砕され、彼は後方に吹き飛び、木の幹に激突して息を詰まらせて崩れ落ちた。


右側では、リザードマンが正式な命令を待つことはなかった。


暗がりを縫うように飛び出したハイブリッドは、3人目の野盗を捉える。【ドラコニック・レイダー】の双頭の短剣は不鮮明な残像となり、男が木の盾を構えるよりも早くその腹を切り裂いた。


左側では、最後の襲撃者がゴランの死角を狙っていた。


しかし、木こりが振り向くよりも早く、目も眩むような黄金の光が彼の胸から噴出した。


ハブの論理による召喚ではなく、純粋な『保護の本能』によって呼び出された超巨大な【グリズリーマン】が、自らの意志で実体化したのだ。


木々の葉を揺らすほどの耳をつんざく咆哮と共に、熊はその巨大で発光する前足を野盗に振り下ろした。かつてない【骨砕きの爪】の重量の下で、男は文字通り泥の中へと押しつぶされた。


ゴランの蹴りから辛うじて生き延びた野盗のリーダーは、血を吐きながら、絶対的な恐怖でその光景を見つめていた。


「お、お前……一体何者だ!? どうして魔物を2体も連れている!?」


完全に規格外の脅威を前に、生き残っているのは自分だけだと悟った男は、這うように立ち上がった。その体が急にぼやけ始める。


「この借りは返すぞ!」


彼は息を切らしながら、【忍者】クラスのスキルを発動させた。突風のように深い森へと駆け込み、あり得ない速度で遠ざかっていく。


「ゴラン、彼を都市に逃がしちゃダメよ!」アナベルが顔面を蒼白にして叫んだ。「もし噂が広まったら、絶対的な大混乱になるわ!」


リザードマンは即座に追跡のために飛び出したが、その天性の敏捷性をもってしても、敵のクラスに特化した速度には遅すぎた。


「私に任せて!」


アナベルは両手を掲げ、エメラルドの光が彼女の掌を包み込んだ。


≪パーティーアラート≫


アナベルが詠唱:【ヘイストバフ(加速付与) - 下級】


効果:対象の味方の敏捷性と移動速度を2倍にする。


エメラルドのオーラがリザードマンを包み込んだ。


速度が急激に倍増した鱗のハイブリッドは、緑と青の弾丸と化し、ほんの数秒で距離を詰めた。


「どうしてこんなことが可能だっていうんだ!?」


逃亡者は恐怖で振り返りながら叫んだ。


リザードマンが飛びかかり、ナイフを男の脇腹に深く突き立て、激しく土埃の中に転がした。ゴランとアナベルは、その一瞬後に追いついた。


木こりは血を流す男に近づき、斧をしっかりと握りしめたまま見下ろした。


「あの熊をどうするつもりだった?」


恐怖を植え付けるような、氷のように冷たい声で尋ねた。


傭兵は土と血を吐き捨て、傷ついた脇腹を押さえた。


「俺たちは……ギルドに突き出して賞金を受け取るために、あのデカい獣が必要だったんだよ!」


ゴランの目は暗く沈んだ。彼はアナベルを見た。


「この世界ではこれが普通なのか? 人間は金のためだけに互いを狩り合うのか?」


アナベルは嫌悪感に満ちた重い声でため息をついた。


「この世界では、利益を生むものなら何でも、彼らのようなクズの注意を引くわ。何年も一緒に戦ってきた相棒でさえ、わずかな金貨のために売り飛ばす腐敗したテイマーだっているのよ……」


ゴランの胸に、熱く突発的な怒りが燃え上がった。


彼は自分のリザードマンと、今や無言で寄り添って立っている巨大なグリズリーマンを見た。


相棒を金で売る。


「どうすればそこまで浅ましくなれるんだ?」


ゴランはうなり声を上げ、地面に倒れている野盗を見下ろした。


追い詰められた傭兵は、絶望的な笑みを浮かべた。


隠し持っていた短剣を抜き、ゴランの喉を刺そうと決死の反撃に出る。


しかし、ゴランは瞬き一つしなかった。


上半身をわずか1ミリ動かして攻撃をかわすと、不自然な怪力で後押しされた右拳を振りかぶり、男の胸を真っ向から殴りつけた。胸骨を粉砕し、即死させる。


野盗の生命のない体が崩れ落ちた時、グリズリーマンとリザードマンの両方から、突如として眩い光が噴出した。


それは以前のものよりも強く純粋な輝きで、2体の生き物を温かく共鳴するオーラで包み込んだ。


直後、2体の魔物は自発的にエネルギーの球体へと溶解し、ゴランの胸へと流れ込んだ。


瞬時に、木こりは血管に溢れ返る巨大で活力に満ちた力の波を感じた。


光が消えるのを見つめるアナベルの目は、驚きに満ちていた。


「彼らには私たちの言葉が話せないかもしれないけど、ゴラン……彼らはあなたが何を感じているか理解したのよ。あなたが彼らを単なる道具ではなく、『仲間』だと考えていることを。あなたと魔物たちの絆が、今、進化したのね」


ゴランは視線を落としたが、彼の意識はエネルギーのオーラには向いていなかった。


彼は、たった今殺したばかりの男の血で汚れた自分の拳を見つめていた。呼吸は穏やかで、心拍は信じられないほど安定し、制御されていた。


彼は後悔を微塵も感じておらず、ためらいの震えすら一つもなかった。


人間の命を終わらせたその容易さと恐ろしいほどの冷徹さが、記憶喪失そのものよりも遥かに深く、彼自身を動揺させた。


(――死ぬ前、俺は一体何者だったんだ?)


血に染まった拳を握りしめ、彼は自問した。


(暴力にこれほど慣れきっているなんて、どんな人生を送ってきたんだ? 俺は、この世界をうろつく化け物たちよりも、さらに酷い怪物だったんじゃないのか?)


彼は深呼吸でその暗い思考を振り払い、高い草で手を拭いた。


彼の内面での苦悩に気づかないアナベルは、ハブのメンタルマップを確認し、谷の下を指差した。


「アエテルガルドまであと15分くらいね。私が入場料を払うわ。でもお願いだから、どんな状況であっても、絶対に壁の中で魔物を召喚しないで」


「わかった」とゴランは厳粛に頷いた。


彼らが木立を抜けようとしたまさにその時、単独の【ボアマン】が一匹彼らの前を横切った。


獣が反応する暇すら与えず、ゴランは動いた。筋肉を縛り付けていた残存する緊張を発散するかのように、斧の一振りで怪物を綺麗に真っ二つにする。


全く苦にする様子もなく、彼は死骸の重い後ろ脚を掴み、市場で売るために後ろに引きずり始めた。


アナベルは彼を見つめ、微かに頭を振った。


「木こりクラスの純粋な物理的筋力、本当に異常ね……」彼女は呟いた。


ゴランはただ真っ直ぐ前を見据え、ハイブリッドの死体を、遠くにそびえ立つファンタジー大都市の巨大な石の城壁――アエテルガルドへと引きずっていった。


彼らは鉄で補強された巨大な門に到着し、そこでは重武装の衛兵たちが入り口を監視していた。アナベルが一歩前に出て、ベルトから小さなポーチを外した。


「2名分よ」彼女は言い、光り輝くコインを20枚手渡した。


≪取引完了≫


支払額:20ルーメン。


ステータス:都市アエテルガルドへの入場が許可されました。


「通ってよし」衛兵は唸り、脇に退いた。


石畳の敷かれた混雑した都市の通りへと敷居を跨ぐと、アナベルはゴランの方を向き、声を潜めた。


「まずは肉屋に行って肉を売り、錬金術師に花を売るわ。それから鍛冶屋に寄って山賊の武器を処分して。そして最後に……都市の中心に行って、あなたを正式な『冒険者』として登録するわよ」



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