第20章:最狂の敵は『闇堕ちした主人公』!? 全滅寸前の絶望の中、美少女ヒーラーが世界樹の奇跡【世界樹の涙】を覚醒させて最強の木こりを浄化・奪還する件
洞窟の沈黙を破ったのは、4体の巨大な獣たちの、しゃがれた重い息遣いだけだった。偉大なる悪魔狼のボルトは、絶望的な唸り声を上げながら玄武岩の床を猛烈に引っ掻いていた。獣はアナベルとマーカスを見つめ、テレパシーで大惨事のイメージを熱狂的に伝えようとした。だが、アルファとの黄金の絆がなければ、その精神的な声は遮断され、理解不能なノイズへと還元されてしまっていた。
「ゴランはどこへ行った?!」ポールが叫び、パニックがグループに這い寄る中で剣の柄を握りしめた。
マーカスは狼を見つめ、突然直感の閃きを得た。「俺のゴブリンだ!」若き忍者は叫んだ。「あいつは影の精霊だ。その知性は俺たちと同等だ。出てこい!」
マーカスの足元の影が沸騰し、小さなシャドウ・ガーディアンが棍棒を握りしめて現れた。金髪の少年は狼を指差した。「あいつの心に触れろ。何を伝えようとしているのか理解して、俺たちに翻訳しろ。今すぐだ!」
小さなゴブリンは厳粛に頷いた。ボルトに近づき、銀色の獣の鼻面に節くれだった小さな手を置く。ゴブリンの目が丸くなった。棍棒を落として急に後ずさりする。そして、熱狂的だが紛れもないジェスチャーで、その光景をパントマイムし始めた。胸を張ってゴランの巨大な体格を真似し、何かを無理やり飲み込むふりをし、苦痛にのたうち回るように喉を掻きむしり、最後に、獣たちが逃げてきたトンネルを指差し、殺意を込めた目で自分の喉を親指で切る仕草をした。
そこにいる全員の血管で血が凍りついた。マーカスは目を丸くし、誰も受け入れたくない事実を声に出して翻訳した。
「ゴラン……ゴランが瘴気に感染した。原初なる者が彼を奪った。そして今……彼が俺たちを殺しに来る」
アナベルは両手を口に当て、嗚咽を漏らした。しかし、それは1秒しか続かなかった。エメラルド・ヴァルキリーは顎を食いしばり、岩が震えるほどの力で杖を地面に叩きつけた。
「私たちは逃げない」少女は宣言した。その声は澄み渡り、一切の躊躇がなかった。「ゴランは私たちのために、地獄を通り抜けてくれた。今度は私たちが彼を救う番よ。準備して!」
もう言葉は必要なかった。グループ全体が、人間も魔物も一緒に、最後で絶望的な防衛戦のために整列した。アナベルは残るすべてのマナをチャネリングし、【ヴァルキリーの祝福(至高グレード)】を解き放った。エメラルドの衝撃波が部隊全体を洗い流し、彼らの反射神経、筋力、そしてスタミナを瞬時に倍増させた。
ゴリアテが咆哮し、【質量倍増】を発動した。タンクは金属の山となり、ドラゴンの盾を地面に突き立てて、揺るぎないダムとして機能する準備を整えた。ポールは刃を暗い炎で燃やし、ギャレットは巨大な爆発ハンマーを構え、側面に配置についた。
マーカスは人間離れした速度で一連の印を完了させた。5体の完璧な影のクローンが彼の周囲に実体化した。頷きと共に、クローンたちは文字通り、木こりがやって来る唯一の回廊の端にある暗闇へと溶け込み、完璧な待ち伏せの準備を整えた。ゴブリンは鋭い歯を剥き出しにし、君主の隣に陣取った。
同様に、ゴランの4体の獣たちも最前線に並んだ。鉄皮の巨獣、血竜の暗殺者、巨骸騎士、そしてボルト。彼らは、闇が彼に虐殺を強制するのを防ぐためだけに、自分たちの命よりも愛した男と戦う準備を整えた。
そして、空気が凍りついた。トンネルから鈍い金属音がこだまし始めた。
シャァァァ……シャァァァ……。それは、怪物的なアズライトの斧が玄武岩の上を怠惰に引きずられる音だった。
ゴランが暗闇から現れた。その姿は恐ろしかった。首と腕の静脈はピッチブラックで、腐敗で腫れ上がり、肌は死体のように青白かった。しかし最悪だったのはその目だ。自然の守護者の誇り高き黄金は消え去り、純粋な狂気に満ちた、空虚な紫色の深淵に取って代わられていた。
「ゴラン! 俺たちだ!」ポールが叫び、その曇った心に届かせようとした。
『アルファ、お願いです!』ボルトがテレパシーで懇願した。
ゴランは瞬きもしなかった。不自然な角度に首をかしげる。彼が口を開いた時、その声は階層化し、マルコラスの耳障りでしゃがれた音色と融合していた。
「排除する。お前たちをすべて、排除する」
瞬く間に、巨像は前方へ爆発した。戦略などない。ただ純粋で、致死的で、止めることのできない力だけ。彼はマーカスを真っ直ぐに狙った。
「俺の後ろへ!」ゴリアテが雷鳴のように叫び、忍者と木こりの間に割って入り、ドラゴンの盾を掲げた。
ゴランは両手で水平斬りを放った。衝撃は大災害だった。斧のアビサル・アズライトがゴリアテの盾に激突し、伝説の金属が金切り声のようなうめき声を上げて内側へ曲がった。衝撃波が巨大なタンクを地面から浮かせ、ラグドールのように岩壁に叩きつけ、壁が彼の上に崩れ落ちた。
「今だ!」マーカスが叫んだ。5体のクローンが同時に影から飛び出し、彼を罠にかけようとした。一方、ポールとギャレットが側面から攻撃を仕掛けた。
それは一方的な虐殺だった。その巨体からは考えられない速度で動くゴランは、彼らに対して刃を使うことすらしなかった。斧の柄を使ってクローンたちをなぎ払い、黒い煙へと溶解させた。そして、前蹴りでポールの肋骨を砕いて吹き飛ばし、胸への肘打ちでギャレットをノックバックさせ、鍛冶師を一瞬でKOした。
魔物たちが彼を拘束しようとした。ベヒーモスがタックルを仕掛けたが、ゴランは熊の鋼鉄の牙を掴み、足を軸に回転して、床にひびが入るほどの力で地面に叩きつけた。ドラゴンが尻尾で彼を巻こうとしたが、ゴランはそれを捕らえ、爬虫類を鞭のように使って骸骨騎士を打ち据え、二人ともなぎ倒した。そして、側面からの一撃でボルトを蹴り飛ばした。
1分も経たないうちに、世界最強の同盟は膝をつき、壊れ、地面に倒れていた。ゴランは体を起こし、激しく息を切らしながら、必死に後ろに這って逃げようとしているマーカスにトドメを刺そうと斧を振り上げた。
「もうやめて、ゴラン! 止まって!」
痛みと悲痛に満ちた叫び声が空気を切り裂いた。アナベルが、あらゆる生存本能を無視して、大殺戮の中心へ走ってきたのだ。彼女は杖すら持たず、ゴランの刃とマーカスの正確な中間に陣取り、両腕を広げた。彼女の目は涙で溢れていた。
その音で、その声で、斧の刃は少女の顔の2ミリ手前で止まった。ゴランの腕が激しく震え始めた。苦痛に満ちた2秒間、彼の目の中で黄金が紫色に対して猛烈に戦った。守護者が友人を傷つけないために全力で腐敗と闘う中、歯がギリギリと鳴るまで顎が食い縛られた。
「俺を……止めろ……」ゴランは黒い血を吐きながら、自分の本当の声で唸り声を絞り出した。
「今だ!」マーカスが血を吐きながら叫んだ。
グループは二度言われる必要はなかった。それは共同の、絶望的な努力だった。マーカスが印を結び、『影の鎖』が地面から噴出し、ゴランの腕に巻きついた。小さなゴブリンも同じことをし、暗黒の鎖の太さを倍にした。
獣たちが行動を起こした。ベヒーモスが木こりの脚をタイタンのようなベアハッグで包み込み、ブラッドドラゴンが翼と爪を使って彼の腕を側面に固定した。骸骨騎士は巨像を押し倒すために全重量を肩に乗せ、ボルトは静電気を帯びた歯をゴランの鎖帷子に沈め、筋肉を麻痺させた。ポール、ギャレット、そして血を流すゴリアテも加わり、文字通り筋肉の山の上に身を投げ出し、あらゆる重量を使って彼を固定した。
それは肉、鋼、鱗、そして影の牢獄だった。だがゴランは咆哮し、紫が再び彼の目を満たした。腐敗が反逆した。巨人の筋肉が腫れ上がり、鎖を断ち切り、タイタンのような獣たちを持ち上げ始めた。彼らはあと数秒も持ちこたえられないだろう。
しかし、アナベルはすでにそこにいた。彼の前に跪いていた。
涙を流しながら、少女は腐敗の脈動が最も強いゴランの胸の正確な中央に、素手を置いた。彼女は目を閉じ、瘴気が肌を焼くのを無視し、システムではなく、地球そのものへ祈りを向けた。
「イスリル……」アナベルは嗚咽で声を震わせながら囁いた。「あなたはこの世界を救うために彼を選んだ。こんな風に彼を死なせないで……お願い、彼を治す力を私にちょうだい!」
ダンジョンのタイタンのような根が答えた。純粋な生命の波、想像を絶する密度のエメラルドのマナが、木から直接少女の体に流れ込んだ。洞窟の暗闇が、目も眩むような光によって一掃された。
≪システムハブ:神の介入≫
至高の隠しスキル解放: 世界樹の涙(ティア・オブ・イスリル - 原初の浄化)
春の太陽のように温かい緑の光に包まれたアナベルの手が、魔法のように実体を持たずにゴランの胸と鎧を通り抜けた。少女は歯を食いしばり、彼の体内の暗闇の中をかき回し、冷たく、ぬるぬるした、脈打つ何かを感じ取った。彼女は全力でそれを掴んだ。
純粋な決意の叫びと共に、アナベルは腕を後ろに引き抜いた。【腐敗した虚無の種子】――黒い瘴気の凝縮された塊――が、ゴランの胸から強制的に引きずり出された。それはもがき、宿主の体内に戻ろうと潜り込もうとした。だが、ヴァルキリーの手の中にあるイスリルの光は強すぎた。アナベルは拳を握りしめ、原初の種子を白い灰の雲へと分解した。
ゴランは口を大きく開け、まるで深い海から水面へ浮上したばかりのように、激しく息を吸い込んだ。黒い色が彼の静脈から消え去る。彼の目がカッと見開き、再び守護者の純粋で澄んだ黄金を示し、そして柔らかく閉じた。巨人は完全に力を使い果たし、地面に崩れ落ちて気絶した。
悪夢は終わった。魔物たちと戦士たちは拘束を解き、彼の周りの地面に崩れ落ちた。息を切らし、傷つき、すべてのエネルギーを完全に使い果たしていた。ダンジョンは安堵の重い沈黙に包まれた。
アナベルは膝から崩れ落ち、胸を激しく上下させた。しかし彼女はまだ、世界樹のマナの存在が血管を流れているのを感じていた。一時的な、残存する贈り物だ。彼女はそれを無駄にはしなかった。疲れているが感謝に満ちたジェスチャーで、彼女はその残存エネルギーを癒やしの波として放ち、グループ全体を洗い流した。ポールとギャレットの折れた骨が繋がり、ゴリアテとマーカスの傷が塞がり、ゴランの魔物たちは失われた活力を取り戻した。
数分後、ゴランはうめき声を上げ、ゆっくりと肘をついて起き上がった。彼はもはや腐敗していない自分の手を見て、そして周囲に集まった友人たちの疲れた顔を見た。
「すまない」ゴランは罪悪感と疲労で重い声で唸った。「マルコラスに心を支配されてしまった。お前たち全員を守るために、時間内に種子と戦うことができなかった」
彼は巨大な拳を握りしめ、その黄金の目は冷たく、致死的な約束で硬直した。「俺にお前たちへ斧を向けさせたこと、高くつくぞ」ゴランはアナベル、マーカス、ゴリアテ、ポール、そしてギャレットを見た。厳しい顔立ちを突き破るように、かすかな誇り高き笑みが浮かんだ。「だが、お前たちならやってくれるとわかっていた。お前たちが俺を救ってくれると」
4体のタイタンのような獣たちが、ゆっくりと彼に近づいてきた。言葉は必要なかった。彼らは一斉に巨大な頭を下げ、再び彼に魂を捧げた。黄金の通知がゴランの視界に閃いた。
≪システムハブ:魂の絆が回復しました。テイム契約が再締結されました。≫
精神的なコマンドと共に、ボルト、ベヒーモス、骸骨騎士、そしてドラゴンは光の球へと溶解し、休息と回復のために彼のハブの安全な場所へ戻っていった。ゴランは立ち上がり、その巨大なシルエットが薄暗がりの中でそびえ立った。彼は地面からアビサル・アズライトの斧を回収した。武器の青い静脈が暗闇の中で強く輝く。
「行くぞ」自然の守護者は、原初の迷宮の暗い深淵を見つめながら命じた。彼らは壊れることのない同盟だった。彼らは再び一つになったのだ。ボロボロにはなったが、団結した彼らは、戦争を終わらせるために深淵への最終的な降下を開始した。




