第四幕 絶望の十絶陣 其の十一
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※本作は『封神演義』の世界を舞台にしつつ、現代的な言葉遣いや独自の歴史解釈を多分に含んだ「IFファンタジー」です。神仙たちのシリアスな戦いと、メタ的なコメディ要素のギャップを笑って楽しんでいただければ幸いです!
其の十一 魂魄の彷徨、陰謀を暴く
■ 戦々恐々たる丞相府にて
**時は殷周革命中。静まり返る丞相府**
十絶陣の見分を終え、丞相府に戻ってきた哪吒。その背には昏々と眠りこける姜子牙が背負われていた。その姿に丞相府は上を下への大騒ぎとなる。
騒ぎを聞きつけ、血相を変えた楊戩が寝室へと駆け込む。
「哪吒! 貴方がついていながら、一体何があったというのです!」
楊戩が帳をくぐれば、寝台の傍らでは、丞相府が誇る医官たちが頭を抱えていた。疾医(内科医)が幾度も脈を取っては首を傾げ、ただの居眠りであるとしか見立てられない。閉じた瞼を押し開いてみても、その視線は虚ろに濁っているのを見ては、やはりとまた脈を取ることを繰り返す。それを不服とした瘍医(外科医)も、くまなく身体を改めたが、金瘡(刀傷)はおろか針ほどの外傷すら見当たらないのだ。その証左に、疾医が肩を揺すって声をかければ、うわ言のように生返事はする。だが、決してその双眸が開かれることはない。
この不可解な事実を告げる医官たちを下がらせ、哪吒は楊戩に事の次第を伝えた。
「楊兄! 分からないんだ。十絶陣の見分中に、師叔が急に欠伸をするようになったんだ。最初は、明日、師父達が来るまでに見分が終わらないための時間稼ぎだと思っていたのだけど……声をかけても生返事ばかりで、最後には寝ちゃったんだ」
「敵陣で寝るだなんて……秦天君は何もしなかったのかい?」
「師叔のことを心配してくれたよ。『体調が悪くなったのなら仕方がない。万全の状態で陣比べをしたいので、十日間の免戦としよう』だって」
「十日……秦天君から十日と言ってきたのだね?」
「そうだよ。承ったと返事をしたよ」
「そ、そうか。他に何か言ってなかったかい?」
「陣の見分は今日で終わり、明日から十日の間は免戦とするけど、陣に来たら容赦はしないって」
楊戩の胸中に、言い知れぬ引っかかりが泥のように渦巻く。『何が』とは自分でも分からない。ただ、敵が十日の猶予を持ち掛けてきたこと自体がひどく不可解だ。ふと思いついて、袖の中で指を折り、十日間の免戦について卦を立てる。果たして出た卦は『大凶』。これが示すことは、このまま手を拱いていると師叔が破滅するという未来だ。今の状況だと二度と目を覚まさないのだろう。恐らく、見分中に何か呪術的なものを仕掛けられたのだろうと当たりをつける。しかし、哪吒の眼を盗んで可能なものであろうか?殺気には敏感な哪吒。恐らく搦め手であろうが、見当もつかない。
哪吒の言葉を思い出す。秦天君は『陣に来たら容赦はしない』と念を押したらしい。一見、誘いとも考えられるが、十日の猶予を恩着せがましく申し出たことから、こちらが誘いと疑い動かないことが狙いと考えれば、理が通る。つまり、時間を稼ぎたいのは奴らの方だ。更には、陣を見せたくないためとも考えられる。
ふと哪吒の方を見る。こちらが思考の海に沈んでいることを理解しているのか、あどけない表情で待っている。
脳裏に雷鳴が迸る感覚を覚える。そうだ、哪吒は他になんと言った?
『見分中に急に欠伸をするようになった』
つまり、今の師叔の容態はその延長と考えると、途中から術に囚われたと考えるべきだ。そう、順として後の方の陣ではない。そこへ至る前から、すでに術に囚われているからだ。となると怪しいのは、今日、見分した最初の陣か、その次、もしくは三番目の陣地までと考えられる。しかし決め手に欠ける。まずは今日巡った順だけでも確認することにした。
「哪吒や。今日の見分は昨日の続き、兌(東南)の方位から巡ったのかい?」
「ちがうよー。真ん中の化血陣と落魂陣を巡ってから、兌の方位にある風吼陣、離(東)の方位にある金光陣と巡ったよ」
盤面が整いそうだ。恐らく、師叔にかけられている呪術は、十絶陣の中央に位置する化血陣か落魂陣を使った秘奥なのだろう。しかしてまだ、どちらの陣を使ったものであるかは分からない。無闇に突撃して的を外せば、十日を待たず師叔は破滅するのであろう。幸いなのは、明日にでも師父達、十二仙がこの地に救援に来てくれるということだ。ここまでの哪吒の話と医官の見立てを整理して、明日の軍議で披露するとしよう。
「明日には師父達が、この地にやってきます。師叔の容態も診てもらいましょう」
楊戩は、哪吒の頭を撫でながら、静かにそう締めくくった。
■ 周章狼狽たる丞相府にて
**時は殷周革命中。疲弊する丞相府と設営された蘆蓬席**
結局、翌朝になるまでには、蘆蓬席の設営を行っていた金吒、木吒、黄天化達も、姜子牙の下に立ち寄った。だが、誰も有益な処方が出来ず、蘆蓬席の設営に戻って行った。一方、その労苦は正しく報われ、夜明け前には、蘆蓬席の設営が間に合った。
払暁を少し過ぎたころ、二条の光が差し込んできた。一つは胡粉色、もう一つは蘇芳色。やがて光の帯が収束すると、そこには光と同じ色の道服を纏った二仙が佇んでいた。
差し込んできた二条の光を師父達の光遁と感じ取った門徒達は、光の収束地点に集結し、出迎える。楊戩が一同を代表して進み出る。
「広成子師伯、赤精子師伯におかれましては、このような俗地に……」
「挨拶はよい。子牙君は?」
出迎えの挨拶を遮り、この場にいない姜子牙について尋ねる広成子。
「はっ。姜師叔は昨日より深い眠りについており、一向に目覚めません。医官達の見立てでは病でも毒でもなく、ただ眠っているだけだと……」
昨夜からの医官の診療と見立てについて話す楊戩。
「やはり……」
「やはり?」
「ふむ。今はこちらの話です。赤精君、霊宝君の見立てを待って動きます。くれぐれも短慮を起こしてはなりませんよ」
広成子は何やら知っているようだが、教える気は無いようだ。
「広成子殿、その言いようだと、いつも儂が短慮を起こしているようじゃないか」
「短慮だけではなく、物忘れもですね。金光洞での一件をもう忘却したのですか?」
「い、いや、あれは偶さかの話で……」
抗議するも、一言で反論を封じられた赤精子。その様子に顔を逸らす門徒一同。しかして一人だけ無邪気に声をあげる。金光洞の弟子である哪吒だ。木吒が慌てて制止するも、徒労に終わる。
「ねぇ、師父の洞で何があったの?」
「な、なんでもないわい!」
取り繕う赤精子。
「ふむ。哪吒君の師父から話を聞いたほうがよいとは思いますが……別に隠すことでもないので良いでしょう」
「広成子殿!?」
「ふふ、赤精君は、かの戦女神に失言をしましてね。赤符の召令をもらっていたのですよ。そこの楊戩君の師父である玉鼎君と同じにね」
笑みを浮かべて楊戩を見やる広成子。突然の口撃に楊戩は横を向いている。
「だめだよ。九天玄女様は何でもお見通しなんだから」
「そうだね。哪吒君の言う通りだ。師父にもそう教えてあげるといい」
「はい!」
哪吒は分かっているのか、よく分かっていないのか……元気よく返事をした。
数刻後、都合七条の光が差し込み、七柱の仙人が西岐の地に降り立つ。
夾竜山は飛雲洞の懼留孫
崆峒山は元陽洞の霊宝大法師
五竜山は雲霓洞の文殊広法天尊
九宮山は白鶴洞の普賢真人
普陀山は落伽洞の慈航道人
金庭山は玉屋洞の道行天尊
青峰山は紫陽洞の清虚道徳真君
金吒、木吒、黄天化はすぐさま師の下に駆け寄り拝謁しようとするが、広成子がそれを制する。
「すまないが、刻一刻を争う。霊宝君、すまぬが子牙君の容態を診てくれまいか」
広成子の呼びかけに、朱砂と丹火のものであろう煤で薄汚れた丹色の道服を纏った、一丈半はあろうかという巨漢が進み出る。
「分かっておる。子牙はどこじゃ?」
「霊宝師伯、こちらへ」
楊戩がすかさず案内を買って出る。
姜子牙の寝所では、医官が手を尽くし、世話をしていたが、楊戩と更にその後ろに続く、無愛想だが、徳の高そうな道士を見ると、房の外へと退出していく。残ったのは筆頭疾医と筆頭瘍医だけだ。これから行われるであろう、天界の医術を少しでも学ぼうという意欲の表れか。霊宝大法師も特に咎めず、脇で見ているよう指示する。
寝台の横に立った霊宝大法師は、虚ろなまま眠り続ける姜子牙の顔を覗き込む。凡そ、安寧から最も遠いようなその表情を認め、忌々しそうに舌打ちをした。
次に袖から取り出したのは二巻きの書。巻頭の文字はそれぞれ『天元玉冊』と『神農本草』と読み取れる。
それぞれの紐が解かれるや、するすると宙を舞い、姜子牙の周りを幾重にも囲う。さながら病巣を阻む城壁のようだ。やがて、幾つかの簡が開かれたまま、霊宝大法師の手元に戻る。手元に戻った記述を検分することしばし。
「ふむ。医官たちの見立て通りじゃな。多少、胃の腑が疲れておるようじゃが、何の疾患もありはせん。となると、やはり邪な術によるものじゃの」
そう言うと、霊宝大法師は書物を閉じて袖に仕舞い込む。霊宝大法師の見立てを聞いた筆頭疾医と筆頭瘍医は思わず顔を見合わせるも、『邪な術』と聞き震えあがる。
「ふむ。となるとあれかのう……」
霊宝大法師は、独り言をこぼすと、おもむろに首に掛けていた連玉を宙に掲げる。それは朱砂に染まった太い麻綱で、拳ほどもある黒ずんだ大粒の玉が十個連なっていた。後世の仏徒が手にする『念珠』にも似たその装具。
初めてみるその異様な装具に、思いがけず「それは?」と尋ねる楊戩。
「ふん。儂の千年に及ぶ錬丹の傑作じゃ。『天干連玉』という。三魂七魄を診ることができる宝貝じゃ」
そう言って、今度は姜子牙の上に放り投げる。放り投げられた天干連玉は、横たわる姜子牙の上でぴたりと宙に止まると、淡い光を放ち明滅を始める。やがて、九つの玉が赫灼と光り、一つの玉だけは黒ずんで沈黙したままとなった。
「やはり……七魄の第一星、尸狗が抜かれておったか……」
霊宝大法師の見立てを聞き、驚く楊戩。魄が抜かれているとは穏やかではない。
「れ、霊宝師伯、尸狗が抜かれるとは?」
「学べ! と言いたいが今は仕方ない。三魂七魄はのう、それぞれに役目があるんじゃ。で、尸狗が司るのは、気配を察知すること、目を覚まして外の諸々を感じ取ることなんじゃ。じゃから、尸狗を抜かれた姜子牙は眠りから目覚めんのじゃよ」
霊宝大法師の説法を聞いた楊戩と両医官は絶句する。なんと怖ろしい邪法なのかと。
と、その時、赫灼と光っていた二つ目の天干連玉が、俄かに明滅を始めた。
「い、いかん! 第二星の伏矢が抜かれようとしている! こうしてはおれん」
そう言うや否や、霊宝大法師は腰の瓢の栓を抜き、一息に呷った。
楊戩はその見覚えのある瓢に目を剥く。何もこんな火急の時に酒を呷るなんて――師父(玉鼎真人)と霊宝大法師が過去に洞府で陽気に飲み明かしていた光景を思い出し、思わず非難の眼差しを向けてしまう。
その非難の眼差しに気づいた霊宝大法師は、挑発するように口端を吊り上げた。
「ふん。言いたいことは分からんでもないが、お前さんの師父と違って、儂は酔わんからの。それにこいつは金瘡を癒すための霊酒じゃ」
霊薬を胃腑に収め、大きな目を細めると、空になった瓢の口をすかさず姜子牙に向ける。ちょうど、二つ目の天干連玉が黒ずんで沈黙した瞬間であった。己の早とちりに気づき平身低頭する楊戩に、霊宝大法師は鋭く声を飛ばす。
「いいか、楊戩。お前たちは魂魄が封神台に飛んで行く様を見たことがあるだろう?」
「は、はい、先の魔家四将との戦いでは、確かに奴らの魂魄が封神台目掛けて飛んで行く様を見ました……」
返事をしながら楊戩はあることに気づき愕然とした。見えていたはずの魂魄が、今は何一つ見えていない!
楊戩の表情の変化に満足気に頷き、霊宝大法師は続ける。
「その様子だと気づいたな。姜子牙の魄が見えていないことに。だが、見えていないのではない。丁度いま、儂の瓢に吸い込まれるところじゃ。目を凝らしてようく視てみよ。見えるじゃろ?」
「あ……! はい、薄っすらと光の筋が見えました!」
楊戩の後ろでは両医官も目を細めて固唾を呑んでいる。
「いいか、魂魄ってものはな、三魂七魄すべて揃っておれば、普段お前たちが見ているように見えるものじゃ。だがな、たった一魄となれば陽炎よりも薄く、気を引き締めて視ねば見落とすのじゃよ」
言いながら、手早く瓢の栓を固く締め直す霊宝大法師。その瓢を二つ目の天干連玉に近づけると、共鳴するように再び赫灼たる輝きが戻った。
「ふぅ……間一髪、間に合ったわい。しかし、これではっきりとしたぞ。姜子牙の天命は――あと八日じゃ」
蘆蓬席に設えられた軍議の場にやってきた霊宝大法師と楊戩。霊宝大法師から事の次第が軍議の場で語られた。
「あと八日……」
霊宝大法師の見立てを聞いた面々は絶句する。元始天尊様の差配で先手を打っていたつもりが、まさか後手を踏み、あと八日の猶予しかないとは。敵の手腕を褒めるべきか、手遅れになる前に手が打てていることを安堵すべきか。視線で様々な憶測が飛び交う。
「であれば、疾くと十絶陣とやらを攻略すればよいということか」
事態の重さに沈黙する一同を尻目に、すぐにでも飛び出す勢いの赤精子。
「莫迦者。儂が防いだのは第二星の伏矢のみじゃ。第一星の尸狗は、敵の手の中じゃ。取り戻さんと子牙は永劫に眠ったままとなるじゃろうて」
「お言葉ですが霊宝師伯、疾くと救出せねば姜師叔の魂魄がまたも抜かれるのでは?」
「焦るな楊戩。哪吒坊はなんと言った? 十日の免戦じゃろ。昨日、今日と魄を一つずつ抜いた邪術。恐らく十日で成就となるはずじゃ。そのための十日の免戦じゃろうて。まあ、あと八日になってしまったがな」
楊戩の中に燻っていた違和感が氷解する。秦天君が十日の免戦を言い出した理由は、この免戦中に、姜子牙を亡き者とするためだったのだ。楊戩は更に思考を巡らせる。では、十絶陣のどの陣が罠だったのか?誰の術なのだ?
まずは秦天君。見分中はずっと同行していた。秦天君が術を仕掛ける暇はない。次の行先へ符を飛ばしていたが、これも不審な動きには見えなかった。しかしながら、恐らく術の発動の指示はこの符で行われていたはずだ。また、師叔は見分の最中に眠りだしたと言っていた。となると、眠りだしたあとの陣ではない。哪吒の話からすると、兌(東南)の方位である董天君の風吼陣以後ではない。すると、中央の二つ、化血陣の孫天君か落魂陣の姚天君が怪しい。しかしどちらが怪しいか、決め手に欠ける。無理にでも随伴しなかったことを後悔しても遅いが、己の結論を口にする。
「おそらく、化血陣の孫天君か、落魂陣の姚天君が術者だと、貧道は愚考します」
「……ああ、すまない楊戩君。此度の子牙君への邪術は、落魂陣の姚天君が首魁だよ。首謀は秦天君だろうけどね」
「……へっ?」
事も無げに告げられる事の真相。必死に辿り着いた推理の先をあっさりと越えられ、呆然とする楊戩に、広成子を除く八仙は楊戩に慈悲の視線を向ける。
「三奇……雲中子君、太乙君、玉鼎君の連名でね、元始天尊様に上申があったのですよ。彼は一体、因果溜で何を拾ったのやら……それとも新しいお弟子のお嬢さんの仕業ですかね」
今日ほど己の未熟さを自覚したことはない楊戩。あの娘は語っていたではないか。しかし、それならそれで、事前に報せてくれてもよいではないかと、師の秘蔵の酒瓶を空にしてやると心に誓った。
「はは。この楊戩、粗忽者でございました。ところで、我が師父たちはどちらに? まだこちらには見えないようですが……」
「ええ、太乙君は遅参するとのこと。雲中子君、玉鼎君は、こちらに向かっているはずなので、後数刻で着くのではないですかね」
そう答えた広成子は、赤精子の方を向く。
「どうやら太乙君の描いた盤の通りです。まずは子牙君の魄の救出からですね。手筈通り、赤精君、君は大羅天は八景宮に赴き、太上老君より『太極図を借り受けてきてください」
「承知!」
赤精子は光遁を借りて大羅天へと向かう。
「儂は子牙の側で、魂魄の番でもしておくわい」
そう言い残して、霊宝大法師は姜子牙の寝室へと向かった。
蘆蓬席に取り残された広成子を除く六仙は、名も触れられない同僚を偲んだ。
(で、黄竜道兄は??)
■ 鬼哭啾々たる十絶陣にて
**時は殷周革命中。冥風蕭々たる落魂陣**
時は少し遡る。北斗七星の貪狼の位置にある促魄灯を散じた姚天君。一柱香(約一時間)が過ぎた頃、右目を隠し、左目に宿る魔眼『輔眼』で祭壇の周囲を見渡す。果たして、一縷の魄がふらふらと舞い降りて、祭壇の中央に祀っている人形に吸い込まれていった。
「よしよし。姜道友の尸狗に相違ない。上手くいった。善哉、善哉」
と、ほっとしたのも束の間。人形からすぅっと、入ったばかりの一魄が立ち昇ったかと思うと、一路岐山へと向かいだす。
「なんで……? どこに向かう? ……岐山?? だとすると、これが封神榜とやらの術式? なんて大規模な……そして敵味方無しとは節操のない……なんて怖ろしい術式だ」
封神榜で展開されている術式が、敵味方問わず魂魄を吸い寄せる恐るべき術式と看破した姚天君。しかしだからといって、手を拱いているわけにもいかず、すぐさま貪狼の位置にある灯りの消えた促魄灯を持ち、姜子牙の尸狗を追いかけるとその燈篭の中に姜子牙の魄を封じ込めた。
「ふう……これで良しっと。次からは燈篭に封じないと。封神榜の術式のことも完兄(秦天君)に報せなきゃ」
そう呟くと、姚天君は燈篭を貪狼の位置に戻し、秦天君のもとへと向かった。
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