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異聞!封神演義 哪吒の妹  作者: 古書堂 箕風


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間章 星辰の回想、星霜の褥 弐

間章 星辰の回想、星霜の褥 弐の投稿となります。よろしくお願いします。

ブックマークのご登録ありがとうございます!

※本作は『封神演義』の世界を舞台にしつつ、現代的な言葉遣いや独自の歴史解釈を多分に含んだ「IFファンタジー」です。神仙たちのシリアスな戦いと、メタ的なコメディ要素のギャップを笑って楽しんでいただければ幸いです!

間章 弐:因果溜《いんがら》の弊帚《へいしゅう》と無頓着と


■ 乾元山・金光洞(魔窟)にて

 **時は殷周革命中。破天の盤、準備中**


 玄鑑象帖《げんかんしょうじょう》にさらなる術式を施すべく太乙真人が奮闘していた。ふと顔をあげると、視界の片隅で瞑想している翠を捉えた。何とはなしに質問をする。

「おい翠、そう言えば、この玄鑑象帖を見たとき、地より湧き出たことや、浮いていることには驚いていたが、これそのものには驚いていなかったな。これを知っていたのか?」


瞑想していた翠は、目を開き、太乙真人の方を向いて返事をする。

「そうですねぇ。それに近いものは『タブレット』と言って身近にありましたね。私も持っていました。その大きさではありませんけど。その見た目のものは、私の時代では創作といって、空想の産物ではありますが、色々とありましたよ」

「ほう、面白そうだな。聞かせろ」

「……そうですねぇ……」


そう言って改めて玄鑑象帖を眺める翠。最初に抱いたイメージは有名なSF映画に登場した人類に知性をもたらす謎の物体であるモノリスであったが、やはり第3新東京市のリモート会議シーンが一番面白いだろうと、この情報を伝えることによる結果に頓着せず、語り始めた……


……

「ほう、お前の時代では、宝貝を使わずに、己の今の姿を遠くに写すことができるのか……これに映る姿か?」

「いえ、ある意味そうなんですけど、『カメラ』という景色を写し取るものがあって、それを組み合わせてってとこですね」

「『カメラ』というのは大きいのか?」

「昔は大きかったらしいですけど、今は針の孔ぐらいでしたね。『タブレット』の隅にくっついてましたよ」

「ほう、玄鑑象帖だと、どの辺りだ?」

「そうですねぇ、この辺りですね。姿を写し取ることを『録画』というのですが、この録画中は録画していることを知らせるために、音を出したり、赤い光が点滅したりしていました」

そう言って、太乙真人の横に立ち、玄鑑象帖の上部の縁を指す。

「む? そんなことをすると姿を写しとっていることに気づかれるのではないか?」

「えっ!? 『盗撮』するのですか! サイテー」

「『盗撮』とはなんだ? 敵の状況を探るのにわざわざ知らせるのか?」

「ああ、そういう用途ならそうなりますね。私の時代では生活の中で使うので、知らせるのですよ。確かに偵察なら知られるとまずいですよね……」

「平和な時代なのだな」


……

「ふむ。じゃあ一番偉そうなやつは腕を組んで座っているのだな?」

「腕組みではないですよ。指を交互にして両手を合わせて、机に肘をついて鼻の先に持ってくる感じですね」

翠はエアー机に肘をついて、某司令官の物まねをする。


……

「なら次席はどうするんだ?」

「一番偉い人の右斜め後ろに立ちます。後ろ手に組んでいますね」

「なんの意味がある?」

「さあ。私の国では、頼りになる人を右腕と言い表すので、その関係ですかね」

「ふむ。分からなくはないな。右……か。横には並ばないのか?」

「一歩下がって控えるというのが礼儀……みたいな風潮はありましたね。えっと……『三歩下がって師の影を踏まず』だったかな?」

「ほう、師の影まで敬うということか?」

そう言って太乙真人はふと下を見る。

「お前に俺を敬う気はないということが良く分かった」

「いやいやいや、これは説明のために横に来たのであって、影を踏みに来たのではないですよ」

「まあ、そういうことにしておいてやろう」

「……あ、そう言えば……」

「なんだ?」

「よくわからないけど、形から入ることを『様式美《ようしきび》』と言えば皆受け入れていましたね」

「ふむ、『様式美』か……」

「はい、『様式美』です」

「分かった」

(何が??)


……

「ほほう、玄鑑象帖を八卦の方位に配置するか。……面白い」


……

「なに? 暗い房で、話すものだけに光を当てるのか? ……ふむ。一度やってみよう」


……

「よし。此度はこれぐらいにするか。これを符にまとめて師父に報せよう。未来の軍議の形……だな」

「え? 師父の師父って……まさか?」

「元始天尊《げんしてんそん》様に決まっておろう」

何を今更という表情の太乙真人。

一方の翠は太乙真人からの質問を振り返り……深く考えることを放棄した。

……多分大丈夫。



■ 崑崙山・玉虚宮にて

 **時は殷周革命中。崑崙山の一房**


「こうじゃったかのう……『卓《たく》』」

玄鑑象帖を机に変形させた元始天尊は、雲床《うんしょう》を整え、机となった玄鑑象帖の脇に腰を掛ける。

その机の向かい側には、広成子が雲床を整え、腰を掛けている。


「して、広成子や。太乙からこの房の宝貝について、新しい符が届いたとのことじゃが……」

「はい、師父。太乙君からの符には、この房での宝貝の使いこなしについての指南が記されていました。また、新しい宝貝もおいおい増やすとのことです。太乙君にこの役《えき》についてもらってから益々、因果溜《いんがら》由来の宝貝が増えましたな」

「うむ……そうであるな。今までは武器となる宝貝や、その助けとなるものはあれど、玄鑑象帖のようなものは初めてであるな……あやつはどこで、このような宝貝を知ったのじゃろうか」

「……天界交流ではないでしょうか? ここ数百年、太乙君に任せっきりでしたからね。金光洞にも色々と不思議な宝貝がありましたよ」


さもありなんと頷く元始天尊。

「そうであったな。儂らも太乙に倣おうではないか。で、その新しい符にはなんとあるのじゃ?」

「はい。軍議をより良くするための秘訣だとのことです。残念ながらこれからまた金光洞に行かなければなりません。戻りましたら披露することとしましょう」

「うむ。よしなに頼むぞ」

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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次回は来週の水曜日23時に更新予定です。引き続きよろしくお願いいたします!

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