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異聞!封神演義 哪吒の妹  作者: 古書堂 箕風


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幕間 参

幕間 参の投稿となります。よろしくお願いします。

舞台は前回の幕間より、更に前へと遡ったお話となります。

※本作は『封神演義』の世界を舞台にしつつ、現代的な言葉遣いや独自の歴史解釈を多分に含んだ「IFファンタジー」です。神仙たちのシリアスな戦いと、メタ的なコメディ要素のギャップを笑って楽しんでいただければ幸いです!

幕間 参:友の教え、天計を凌駕する


■ 横浜・横浜駅西口にて

**時は戻って現代(翠・京子1回生)、びっくりド〇キー横浜西口店**


とある日の夕方、暦の上では秋になったが、まだまだ残暑が厳しい。


今日はめずらしく酔八仙が休みのため、京子につれられ横浜駅周辺を歩いている翠。新学期が始まったばかりだが、駅前の大きな書店、無鱗堂に姿を見せたのは、大学生協で売り切れとなった参考書の入手のためだ。


「だいたいなんで大学生協が参考書切らすねん。指定されるのが分かってるんやったら、その数ちゃんと仕入れとくのが商売ってもんちゃうのん?」

参考書の数倍のサブカル本を持っているためか筋は通っていそうだが、説得力に欠ける。


「まぁ、そっちの本が本命だと思えば腹も立たないのじゃない? ぷりぷりしてると可愛い顔が台無しよ?」

「私より美人さんに言われても説得力あらへんしー」


普段の中華街ならば馴染みが多く、平凡な日常の光景。しかし、稀に横浜駅周辺に出ると、ちらほらと不逞な輩や、謎のキャッチ、あるいはそうでない純情派まで、面白いくらい幅広い層に声を掛けられる。本人は自覚していないようだが、時にはその独特の歩法で会話の出鼻をくじき、時には凛とした対応をするだけで、背後には連綿と屍山血河が築かれていくまでがセットの光景となる。


「今日は、お店休みなんでしょ? たまには中華以外食べいこ」

「そうね。京子には参考書探し手伝ってもらったし、京子の好きなもの食べに行こっか」

「なんでそない男前なんかねぇ」

「ん? なんか言った?」

「いや、こっちの話。久しぶりにびっくりド〇キーかな」

「へぇ、あるんだ。私行ったことない。いいよ」


翠の何気ない返事。世界から色が抜け落ちる。

「……えっ? 『行ったことがない』? ちょいまちぃな翠! あんたぁ、人生の半分は損してるでぇ!? ええか、うちがド〇キーの作法教えたるさかい」


突如スイッチを入れられたような芸人モードの親友に引き気味となる翠。

「ちょっと、急にどうしたの? 大げさすぎない? というか大阪色(おおさかしょく)強くない?」

「関西人はこれでええねん。ほなついといで」

颯爽とレジに向かう京子。二人は会計を済ませ、目的の店へと向かった。


ーカランコロンカランコロンー

「独特な雰囲気の店構えね。一人だと入らなかったわ」

「えー慣れると、遊び心満載でええと思うねんけど」


テーブルに案内された翠、未知との遭遇を果たす。

「いらっしゃいませー こちらメニューとなります」「ドンっ」「キィー」「キィ―」

メニューとは思えない重量物の音をたておかれた窓型のオブジェ。そして蝶番の少しきしむ音とともに開帳されたそれは、堂々とテーブルの中央に鎮座ましましたるこの店のメニューであった。


案内してくれた女性スタッフが何か大きな窓らしきものを持っているのを訝し気に見ていたが、まさかのメニューだったとは。店にとっては日常であるが、初めての客には非日常の演出に翠は目をしぱしぱさせていた。


「翠。右が大事なんよ」

「右?」

「スイーツと飲み物は右よっ!」

「えっと、晩御飯じゃないの?」

(ぇ? 『カレーは飲み物』とかいうやつなのかしら……ハンバーグ店だったよね?)

「そうよ」

話が通じていないのか? 私が間違ってるのか? と初めての店で不安になる翠。周囲を確認しようにも、絶妙なボックスシートで他の客の様子が見えない。


「翠みたいに、食べてもスタイルのいい奇跡の燃費悪い人には分からへんかもしれへんけど、うちらみたいに蓄積への変換効率がええ人種は、スイーツにたどり着くまでの計画が重要やねん。だってごはんも食べたいねん!」

「え、なら御飯少なめとか、頼まないとか……」

「ちーがーうー」

 

至極当然(まっとう)な提案を、地の底から響くような冥府の亡者の声で否定される翠。と思いきや次の瞬間にはけろっとしている京子。

「まあ、翠はド〇キー初心者やから分からへんやろうけど、真ん中見てみ。ディッシュってあるやろ?」


言われるがままにメニューの真ん中を見る翠。確かに○○バーグディッシュと表示されたメニューにはご飯とハンバーグが同じ器の上に載っていた。

「肉汁と御飯のハーモニーが売りやねん! うちはそこにチーズもつけるけどな。翠は初心者やさかい、うちと同じにしといたほうがええかもな。でな、季節のスイーツで、ハンバーグの重量決めんといかんねん。わかるやろ?」


親友の魂を賭けたかのような演説の勢いにただ頷く翠。

「あっ! 栗のモンブランやんけ! なら150gやな。翠は食べ足らんかもやから300gでもええで」

「い、いえ。京子先輩と同じでお願いします」

「なんで先輩(パイセン)なん? まぁええわ。同じやね。注文するわ」


待つことしばし。運ばれてきた器からの香りが食欲をほどよく刺激する。

しばらく無言で食べる二人。


「どう、翠。たまにはハンバーグもええやろ?」

「そうね、御飯と一緒に食べると、もう一皿行けそうだわ」

「あんたー、育ち盛りの体育会系男子高校生かっ!」

冴えわたる京子のツッコミも添えて、残りを完食する二人。

もちろん栗のモンブランについても言わずもがな。


「はぁ おいしかったな。ほな帰ろうか」

「そうね。ありがとう京子。初めて食べたけど、チーズバーグデ〇ッシュ気に入ったわ。また食べにきましょうね」

「お、ええやん、翠もここの良さが分かったんね。OK、OK、OK牧場。また連れてきたるわ」


会計を済ませた二人は次の目的地、星景へと向かうのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

明日からは第四幕 絶望の十絶陣が幕を開けます。

もし「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下部にある【ブックマーク】や【☆☆☆☆☆】の評価で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!


次回は明日23時に更新予定です。引き続きよろしくお願いいたします!

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