幕間 弐
幕間 弐の投稿となります。よろしくお願いします。
舞台は現代に戻りますが、失踪前のお話となります。
※本作は『封神演義』の世界を舞台にしつつ、現代的な言葉遣いや独自の歴史解釈を多分に含んだ「IFファンタジー」です。神仙たちのシリアスな戦いと、メタ的なコメディ要素のギャップを笑って楽しんでいただければ幸いです!
幕間 弐:友の嘆き、託宣を超える
■ 横浜・中華街・南門シルクロードにて
**時は戻って現代(翠・京子2回生)、朱雀門付近**
とある日の夕方。翠と京子は中華街にある行きつけの喫茶店「星景」で、なけなしのコーヒーチケットを消費している。
この店の特徴は、店の名前の由来となる、「星々についての背景を語る場所」が示す通り、洋の東西を問わず、星に関する書籍が所狭しとおかれている。そればかりか、中世の地球儀、天球儀、渾天儀なども置かれているマニアぶりだ。おかげで店の広さの割には座席数が少なく、カウンターと6席と、2名掛けと4名掛けのテーブルが1卓ずつだ。(テーブルはもう少しあるが、様々なオブジェの置き場となっている)
ちなみに、京子だけがこの店を『スター(星)・バックス(背景)』と読み、略して『スタバ』と呼んでいる。その強引な造語ゆえに、翠にだけ伝わる符丁と化している。そしてカウンター席の最奥が翠と京子のいつもの席となる。
「こんばんは。太白さん、私はモカの三等星でお願いします」
「こんばんはー。 私はいつもの『暗黒星雲』で」
「いらっしゃい。お二人さん。いつもの席空いてるよ。京子ちゃんは相変わらずブレないね。了解。モカは暗黒星雲(エスプレッソ/デミタス)待ちでいいかな?」
「はい。お水は自分たちで持っていきますね」
太白さんと呼ばれた店のマスターに、あいさつ代わりに一見すると天文用語のようだが常連以外には理解不能な注文を済ませた二人は、勝手知ったる手つきで自分たちのグラスに水を注ぎ、いつもの定位置へと滑り込んだ。
「ねぇ、翠ー 聞いてぇな。今日、ガチャでねSSRの『竜吉公主』引いたんよ……」
語りだした京子の邪魔にならないようにマスターは、カウンター内で静かにネルを使い、糸を引くような細かさでデミタスにドリップを落とし始める。メニューにない暗黒星雲のために……
二人の前に、注文の品がおかれ、コーヒーの豊かな香りが漂う。琥珀色のモカと極限まで濃くした漆黒のデミタス。二人の瞳の色を映しているようだ。
「でね、この公主はね、かなり悲劇のヒロインなのよ」
京子に勧められゲームを始めたものの、まだ原作も理解できていない翠に熱く京子は語る。
「『西王母』の娘でありながら、天界を追放気味に追い出され、敵の将軍と結婚させられる。しかも理由が『その敵の将軍を仲間に引き入れるため』なのよ。ひどいと思わない?」
「西王母?」
「かぁー そこからかぁ。えらい女神様でええよ」
「京子ちゃん、かなり端折りすぎだとおじさんは思うな」
「じゃぁ、太白さんが説明してよ」
「ごめんごめん。えらい女神様でいいと思います」
「もー。ええよ。でね翠、その後、夫婦そろって前線に駆り出されたあげく、敵にやられちゃうの。ほんとひどい話だよね。私の名推理では、本編では語られていない天界の陰謀論を推すわ!」
「……『迷』推理ねぇ」
「なんか発音が違わへん?」
「そう? 京子ってば陰謀論好きじゃん。まずは陰謀を疑う。嫌いじゃないよ。よし、ならゲームだけでも死なないように、生存ルートの開拓をしてあげないとね」
「翠の中の私象が気になるところだけど……そうね。折角のSSRだし、大切に育てればきっと大化けするはずよ」
ゲームの話に盛り上がる女子大生二人を、マスターとその横の四星球のオブジェが優しく見守っていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
明日からは第三幕 哀訴の戦女神が幕を開けます。
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次回は明日23時に更新予定です。引き続きよろしくお願いいたします!




