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異世界 満喫トラベラー ~のんびり旅行するつもりが色々巻き込まれました~  作者: みみたん


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第33話 反撃の打ち合わせ

 マチルダと私は会議室に向かっていた。

 病院の廊下で疑問に思ったことをマチルダに聞く。


「会議の具体的なこと、少しは聞いたりしてる?」


「ちゃんとは聞いていないけど、ハルカがキーマンだと言っていたよ」


「私が? 不安になってきた……」


「ハルカなら大丈夫さ!」


 無条件の信頼がつらい……。

 私なんて大したことできませんからね?

 話を聞いて、気分が沈んだ状態で会議室についた。


「大臣さん、お待たせしました。いつでもお話を聞きますよ」


「ハルカ様、どうぞこちらへ」


 大臣さんが会議室で待ち構えていた。

 そのまま席へ通される。

 これどう見てもお誕生日席だね。


 周囲を見渡すと、すべての席がきれいに埋まっていた。

 気づいたらマチルダは一番後ろに座っている。

 近くにいてよマチルダ……心細いよ。

 隣にポポがいてくれるのが、唯一の心のオアシスだよ。


「これで全員ですね。それでは魔王様奪還作戦の会議を開きます!」


 大臣さんが自然に始めたけど、ここには大臣さんが座るべきでは?

 いやいや、私を見て頷かれても困る。

 

「こちらにいらっしゃるのは、みなもご存じの救世主ハルカ様です。巷では癒しの女神とも言われています。この作戦、それだけで我々の勝ちが約束されたようなものです!」


「うおおぉぉぉ!」「ハルカ様!」「ハルカ!ハルカ!」


 大臣さん、私の紹介から始めるのは不安しかないよ。

 落ち着けのジェスチャーを大臣さんがやって、周囲を見渡す。


「進行は私、内務大臣のフッツー・ノヒトが行います」


 大臣さん、そんな名前だったのね。

 深々と頭を下げたあと、勇者さんを指し示した。


「次に特別顧問としてモスキー王国から、勇者ヤクメー・オーリタイ殿です!」


 勇者さんが頷いている。

 パチパチパチパチ!

 拍手が聞こえて静かになる。


「最後に、今作戦の発案者、元軍務卿ウーラ・ギール殿! ギール卿は、魔王国の危機に、引退後のご老体に鞭を打ってご参加してくださったお方です!」


 腕を組んで偉そうな人だ。

 パチパチ……。

 あれ?さっきよりも拍手が少ない。

 ていうか、名前が……。


 大臣さんがひとつ咳払いをして、注目を向ける。


「では、作戦に入る前に、これまでの経緯を簡単に共有します。


 まず最初に、魔王様と勇者ヤクメー殿の決闘の日です。

 その場に、ハルカ様が転移魔方陣を使って突然現れました。

 この出来事が、魔王国とモスキー王国の休戦のきっかけになりました。


 次に、ヤクメー殿が自国へ戻られた後のことです。

 我々はすぐにハルカ様がやってこられた転移魔方陣を調査しました。

 その過程で、怪しい人物を一名あぶり出すことができました。

 そして、尋問の結果、クーデター計画の存在があることを把握しました。

 しかしクーデター派の動きが早かった。

 秘密裏に潰そうとしたものの、あと一歩届かず、王都を急襲されました。

 魔王様は民間人を守るため、やむなく投降されています。


 元々、信頼できる衛兵が少なかったこともあり、

 ハルカ様が『病院へ向かう』と言っていたのを思い出し、

 恥を忍んでこの国立中央病院へと、協力をお願いしに参りました。


 なお、この病院は一時的にクーデター派に占拠されていました。

 ですが、我々が来る前にハルカ様がクーデター派を撃退してくださったおかげで、

 今は我々の拠点として安全に使える状態になっています。


 また、この場にいる皆はご存じのはずですが、

 ハルカ様がクーデターの首謀者であるという声明内容は、

 もちろん相手方の作戦であり、まったくのデマです。


 以上です。ここまでで質問のある方は?」


 室内はシーンとしている。

 これ、私のために共有してくれた?

 私としては知らなかった情報なので助かるよ。


「いないようですね。続いて、勇者ヤクメー殿よりお話があります」


 ヤクメーさんは立ち上がって一礼をした。


「皆になぜ僕がここにいるかを伝えたい。


 僕は魔王殿との一騎打ちのあと、休戦協定のために帰国した。

 帰国後、自国の王、モスキー王に休戦の親書を届けたんだ。

 ところが、返ってきた命令は魔王を暗殺せよというものだった。

 僕は戦争を終わらせたい。

 だから、王命に背いてでも魔王殿と連携すべきだと判断した。


 そのため、単身で魔王国に戻り、魔王殿と再度協議しようとした。

 しかし、戻ったその日にクーデターが起きていた。

 さらに同じ日になるが、飛空艇発着場付近でハルカと再会した。

 そのままハルカと協力し、ここまで来ている。


 協力の過程で、クーデター派の幹部オーエ・ライサンの捕縛にも成功した。

 そして自分の力は、皆の力になると思い、こうして馳せ参じた。

 また、ハルカには相手の嘘を見破るという不思議な力がある。

 そこでオーエ・ライサンから、クーデターの情報もかなり引き出せた。

 我々は勝つ条件が揃っている。

 皆も自信を持って戦ってほしい!


 僕からは以上だ。

 平和のためにも魔王殿を救出するぞ!!!」


 さすが勇者さん、演説が上手い。

 とても勇者の役目を降りたい人だとは思えないよ。

 あと、私のことはそんな強くアピールしなくていい。


 参加者が力強く拍手を送っている。

 やがて拍手も収まり、大臣さんが口を開いた。


「次に、ギール卿から作戦の詳細を説明いたします。」


 ウーラ・ギールという人が立ち上がって全体を見た。


「此度は魔王国の危機ということで居ても立ってもいられず、馳せ参じた。

 この老体では皆の役に立たぬこともあるやもしれぬ。

 しかし、わしにできることがあればと思ったのだ。


 今回考えた作戦であるが……


 ハルカ殿だったな? こっちへ来てくれぬか?」


「事前の打ち合わせとは違うような……?」


 大臣さんが怪訝な顔をしている。


「そちらに行けばいいんですか?」


 私はポポをチラっと見た。

 ポポは頷いてくれた。


 ゆっくりと席を立ちあがった。

 名前がちょっとあれだからね。

 大丈夫かな……このまま近くに行ったら刺されたりして……。

 先に鑑定してみようかな。


【鑑定】


『ウーラ・ギール 百六十九歳

 クーデター派の幹部

 スパイとしてここにいる』


 やっぱりなぁ……。


「ヤクメーさん! この人スパイだよ! 捕まえて!!」


 ウーラ・ギールを指さして、私はポポの後ろに下がった。

 ヤクメーさんは素早く立ち上がって、剣を抜いた。


「ウーラ・ギール……あなたを捕縛する」


「馬鹿めが、嘘を見破れる能力などと、そんなものっ!!」


 ウーラ・ギールが、いつの間にか持っていた小瓶を床に叩きつけた。

 もわもわと煙が出たけど、煙が消えた。

 毒とかかな?


「な、なぜ発動しない!」


 ウーラ・ギールが動揺していた。

 ヤクメーさんは警戒して飛び込めないみたい。


「女神さまを守れえええええ!」


 兵士の一人が叫ぶと、数人の兵士がウーラ・ギールに飛びかかった。

 ウーラ・ギールは床に押さえつけられてうめいた。


「ぬあぁぁぁ……元上司に何をするか!」


「あんたは女神さまの敵だ!」


「あんたが軍部にいたころ、何かあると飯抜きとか体罰とか酷かった! その時の恨みもあるんだよ!」


「あんたが魔王様の元に馳せ参じるなんておかしいと思ったんだ!」


 なんか個人的な恨みも入っている。

 どちらにしろ、スパイの目論みを阻止できたみたいで良かった。


「ウーラ・ギール卿! どういうことですか!」


 大臣さんが怒り気味で問い詰めている。

 それより、これってどこにスパイがいるかわからないよね。

 みんな疑心暗鬼になっちゃう。

 それが敵の狙いだったら、すごくやばいじゃん……。


「どうもこうもないわ! お前たちはハルカに騙されている!」


 うわ、思った通りの展開。

 私が敵の立場なら同じことをするかも。


「ハルカよ! こうやって魔族をたぶらかしたのだな!!」


「そんなことをしても私にメリットないじゃん!」


「そういって国を乗っ取る気だろう!!」


 会議室がザワザワしている。 

 みんな信じないでよ。

 私が国を乗っ取るなんて発想するわけないんだから。

 そこに、大臣さんが近づいてきた。


「皆の者! ウーラ・ギール卿に騙されるな!」


 大臣さんが味方をしてくれた!


「ハルカ様、申し訳ございません。実はハルカ様には、ずっと監視をつけていたのです」


 大臣さんがそう言うと、軽装の兵士が近づいてきた。


「この者は魔王の影と呼ばれる、魔王直属の隠密部隊の一人です。これまでの監視の結果を報告せよ」


 近づいた兵士は敬礼をして、直立不動になった。

 やっぱり指先から黒い光が出た!


「ハッ! ハルカ様の監視をこの十日ほど行っておりましたが、純粋に観光を楽しんでおられました! 行動に不自然な点はなく、不審な人物に近づくことや、怪しい行動の類は一切見られませんでした!」


 いつの間にそんなことを!

 私、恥ずかしい行動をしてないよね。


「皆の者! ハルカ様が潔白であることは確実なのだ! どちらが怪しいかなど一目瞭然だ!」


 ホッとした。

 緊張が表に出ないだけで、パニック寸前だったよ。


「ノヒト大臣! ここにオーエ・ライサンを連れてきてもらえないか! このウーラ・ギールが本当にスパイなのか、オーエ・ライサンに自白をさせたらどうだろう?」


 勇者さん、よくそんなこと思いつくね!


「それは良いアイデアです。誰かオーエ・ライサンをここに!」


 なんとか助かったよ。

 でも、デビルハルカって呼ばれる展開になりそうで怖い。

更新頻度を変えるかもしれません。

忙しすぎてネタを考える時間がないのです。

決まりましたらあとがきでお知らせいたします。

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