弐音
足音がおかしい。なにがとは言えないが、足音には癖と言うものがある。同じ足音でも右足と左足のタイミング、強弱、そして全体の雰囲気それがある。きょうは不機嫌だとか、調子が悪いとか。だが今日は特におかしい、足取りも重そうだ。ドアが開いて帰って来た。飛びつくと一人だった。いつも二人仲良く帰ってくるのに。それに汗なのか、何なのか体がベタベタ濡れている、ああ、外は雨なのか。以前、お昼に全然知らない人が、やって来て、暫く寝室に籠っていた。その日はその間隣の部屋で大人しくしてなさい、と言われたので、ジッとしていた。二時間、三時間だろうか、その知らない人は帰っていった。そんなことが何回か繰り返されたある日、また知らない人がやって来てみんなで出て行った、連れて行って欲しかったが留守番と言われた。そして今帰って来た、一人だった。泥だらけの靴と、服を脱いでシャワーを浴びだした。その間じっと待っていた。静かな部屋で、テーブルに向かい何やら紙に何か書いていた。そして、寝室に入ったきり二度と部屋から出てくることは無かった。ああ、お腹空いたな。最後に、お腹いっぱいご飯食べたかったな。
「・・・次のニュースです・・・町8丁目のアパートの一室で男性の遺体が発見されました、死因は自殺と断定、別室には飼い犬が餓死した状態で・・・・」
「・・・続報です・・・県の山中で男女の他殺体が発見されました、その内女性の遺体は以前・・・町8丁目で自殺した男性の妻と判明、男女間のもつれによるものと捜査関係者の取材で・・・」
拙作に目を通していただき有難うございます。




