表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
子供時代編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/34

両親にはここで退場してもらおう

 ミランダは両親を毒殺して自分も死ぬ計画を立てていた。

 しかし、ブライアンに止められて、更には両親だけを摘発してミランダが死なないよう説得されてしまった。

 ミランダもブライアンの『だったら、そのオリヴィアお義姉様が幸せになるところ、見届けようとは思わないのか? 自分の大切な奴が幸せになるところ、絶対見たいだろう?』という言葉が刺さったのである。


(計画変更! 邪魔な両親を退場させて、私はオリヴィアお義姉様の幸せを見届ける!)

 オリヴィアは口角を上げた。

(でも、やっぱりミランダ()はあまり好きになれない……。だってオリヴィアお義姉様を虐げるキャラなのよ)

 鏡に映る自分自身を見て、ミランダは少しだけため息をついた。

 その時、ミランダの部屋の扉がノックされる。

「おはようございます、ミランダお嬢様。起きていらっしゃいますか?」

「はい、起きております」

 ミランダは扉の向こう側にいる使用人に返事をした。

 使用人達に着替えなどの身支度を手伝ってもらうミランダ。ヴォルケ伯爵家にやって来てまだ三日しか経過していないので、やはり慣れない部分がある。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






 大嫌いな両親と顔を合わせなければならない最悪な朝食を終え、ミランダは早速両親の脱税と違法薬物の取り引きの証拠を探し始める。

(両親や使用人達に何か聞かれたら、まだ来たばかりの屋敷を探検していると答えれば良いわね)

 ミランダはヴォルケ伯爵家の屋敷を隈なく探し始めた。

(『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』にはどこに証拠があったとか書いていないのよね。大抵一行程度で証拠が見つかり……って書かれているだけ。地道に探すしかないわね)

 ミランダは軽くため息をついた。

(オリヴィアお義姉(ねえ)様の幸せの為にも、絶対にやり遂げなければ……!)

 ミランダはギュッと拳を握り締める。


「ミランダ?」

 その時、背後から声をかけられてミランダは肩をビクリと震わせた。


 振り返るとそこには触りたくなるくらいに艶やかな長い銀の髪、引き込まれるような紫の目、儚げで可憐な容姿を持つオリヴィアがいた。


(オリヴィアお義姉様……! いつ見ても麗しい……! 間近で見ると眩しすぎるわ……! お召しになっている紫色のドレスは可憐なだけでなく大人っぽさも演出している……! オリヴィアお義姉様に良く似合っているわ……! ああ、私の目の前にオリヴィアお義姉様がいる……! ずっとオリヴィアお義姉様を見ていたい……! その声もずっと聴いていたい……!)

 ミランダはオリヴィアの登場により、うっとりと真紅の目を細めていた。


 その時、ふとオリヴィアの首元のネックレスが目に入る。

 神秘的な紫の宝石が使われたネックレスだ。

(あのネックレスは、原作でオリヴィアお義姉様が実のお母様から誕生日に貰った大切なもの。それをクズ義妹(ミランダ)が奪ってしまうのよね。最終的には取り返すとしても、オリヴィアお義姉様が受けたショックは計り知れないわ。私は絶対にそんなことしない……!)


「ミランダ……?」

 再びオリヴィアの声が聞こえて、ミランダはハッと我に返る。

「オ……オリヴィアお義姉様……! わざわざこんな私に声をかけてくださるなんて……身に余る光栄です……!」

 上手く言葉が紡げないミランダ。いざ『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』のヒロイン、オリヴィアを前にするとその眩しさにやられてしまうミランダである。

 ミランダのその態度は、まるで推しを目の前にしたファンそのもの。

「そうかしら?」

 ミランダの態度を見たオリヴィアは、少しだけ困惑気味に微笑んだ。

(いけないわ、オリヴィアお義姉様を困らせてしまった。オリヴィアお義姉様から話しかけられて舞い上がってしまったけれど、本来私みたいなゴミはオリヴィアお義姉と同じ空間にいることすら烏滸がましい存在なのよ。思い上がっては駄目)

 ミランダは拳をギュッと握り締める。

「そうですよ、オリヴィアお義姉様。それでは私はこれで」

 ミランダはそそくさとオリヴィアの前から立ち去った。

 オリヴィアはそんなミランダを見て、ほんの少しだけ悲しそうに目を伏せた。

(ああ、オリヴィアお義姉様と話が出来た……! 多分あれが最初で最後になるけれど、後悔はないわ! 何としてでもゴミ両親の悪事の証拠を揃えて追放しないと! その後は、オリヴィアお義姉様がヴォルケ伯爵家の当主になる。私は不要な存在だからその時点でこの屋敷を立ち去る。その後オリヴィアお義姉様が幸せな様子を少しだけ影から見守る。これが一番ね)

 ミランダはフッと口角を上げた。


 その後ミランダは再び両親の脱税や違法薬物の取り引きに関する証拠を探す。

 何となく書斎に入ってみた。

 伯爵家だということで、書斎も予想以上に立派だった。

(この書斎、結構勉強になる本があるわね。腐っても伯爵家なわけよ)

 ミランダはそっと本に触れる。

(きっとオリヴィアお義姉様はここにある本を読んで色々な知識を身につけたのね。書斎で読書をするオリヴィアお義姉様……想像するだけで麗しい。眼福よ)

 オリヴィアのことを考えるミランダは、表情をうっとりと綻ばせた。

 しかしハッと現実に戻る。

(いけないいけない。まずはゴミ両親の悪事の証拠探しだわ。あの両親(ゴミ共)、クズだし知能もそんなに高くないはず。証拠になるものを隠すとしても、中途半端な場所に隠しそうだわ。もしくは、いかにもここに隠してます、みたいな場所に)

 ミランダはそう考えながら書斎の中を歩き、一冊の本を手に取った。

 するとその本があった場所に鍵が置かれてあることに気付く。

(いかにも何かありますって感じの鍵が出てきたわ……)

 ミランダは苦笑しながら鍵を手に取る。

 更に、ミランダの近くには明らかに機密情報を隠していますと言っているかのような金庫があった。

(これ、まさかこの金庫の鍵? だとしたら、管理が杜撰すぎるわよ)

 ミランダは呆れながら、半信半疑の状態で鍵を金庫の鍵穴に挿す。

 鍵を捻るとカチャリと音が鳴り、見事に金庫が開いた。

(両親って馬鹿なの?)

 ミランダは完全に呆れていた。

 金庫の鍵は近くではなくもっと違う場所に隠すだろうと思うミランダであった。


 金庫の中にあったノートのようなものを手に取るミランダ。

(これ……脱税の証拠だわ! それに、違法薬物の取り引き日時まで克明に書いてある! これをブライアンの所に持っていけば、両親(ゴミ屑共)は破滅よ! オリヴィアお義姉様が虐げられずに済むわ!)

 ミランダはパアッと表情を明るくした。


 その他にも金庫の中には、見事に脱税や違法薬物の取り引きに関する証拠が数多くあった。

 ミランダはそれらを全て取り出し、ブライアンがいるソイル侯爵家へ向かった。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






「ブライアン!」

 ソイル侯爵家の屋敷の庭にブライアンの姿が見えた。

 ミランダは大きな声でブライアンを呼ぶ。

「ミランダか。大声出してびっくりするだろうが」

「見つかったの! ゴミ屑両親の悪事の証拠が!」

 若干呆れ気味のブライアンをよそに、ミランダは興奮気味だ。

「ゴミ屑って……仮にもお前の両親だろうが」

 ブライアンは呆れながら苦笑した。

「そんなことどうでも良いわ! これをブライアンのお父様に渡したら、オリヴィアお義姉様は虐げられずに済んで幸せになれるのよ!」

 ミランダはそれが楽しみで仕方ない様子だ。

 早く両親を排除してオリヴィアの幸せな姿を見たい。

 ミランダはそれだけだった。

「分かった。とりあえず父上のところに行くぞ」

 相変わらずブライアンは呆れた様子だったが、そう言いミランダをソイル侯爵の元へ連れて行ってくれた。


 その後、ミランダは両親の悪事の証拠をブライアンの父、ソイル侯爵に渡した。

 するとソイル侯爵はすぐに対応してくれた。

 ヴォルケ伯爵家には捜索が入り、脱税や違法薬物の取り引きなどの悪事に関する更なる証拠も見つかった。これでもう両親は言い逃れが出来ない。

 ヴォルケ伯爵とミランダの実母は無事に逮捕された。

 恐らく処刑されるだろうとのことだ。


(やったわ! 両親(ゴミ屑共)退場よ! これでオリヴィアお義姉様が虐げられることはないのね! 本当に良かった!)

 ミランダはホッと肩を撫で下ろしていた。

読んでくださりありがとうございます!

少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、是非ブックマークと高評価をしていただけたら嬉しいです!

皆様の応援が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ