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死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
貴族学園編

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決闘騒動

「はい……?」

 突然の決闘の申し込みに、ミランダは素っ頓狂な声をあげた。

 周囲は騒ついている。

「はああああああ!? 結婚!?」

 ずっとミランダの隣にいたブライアンは大声をあげた。

 おまけに『決闘』と『結婚』を聞き間違えたようだ。

「結婚ではない! 決闘だ! 第一、私には婚約者がいる!」

 アレックスは呆れたような表情である。

「ブライアン、煩いわよ」

 ミランダは耳を塞ぎ、表情を(しか)めた。

「それに、私なんかに結婚を申し込む物好きなんているわけないじゃない」

 呆れながらため息をつくミランダである。

「物好きって、お前なあ……」

 ブライアンはやや複雑そうにため息をつき、表情を(しか)めた。

「ミランダ嬢、二人で話し込まないでもらいたい。とにかく、私の話を聞いてもらうぞ」

「はあ……」

 ミランダは決闘を申し込んで来たアレックスに対し、間の抜けた返事をした。

「それで、どうして私に決闘を申し込むのです? マイム公爵家のアレックス様が」

「私の婚約者の心を奪ったからだ」

「……はい?」

 アレックスの言葉に、ミランダは再び素っ頓狂な声をあげる。

「ねえブライアン、アレックス様の婚約者って誰か分かる?」

 ミランダはアレックスの婚約者が誰か全く検討が付かず、ブライアンに耳打ちした。

「さあ? 俺も知らないぞ」

 ヒソっと呟くブライアン。どうやら彼も知らないようだ。

「だから、二人で話し込まないでもらいたい」

 アレックスの声にピクリとし、ミランダとブライアンは彼の方に目を向ける。

「私の婚約者は」

「ミランダー!」

 アレックスが何か言おうとした瞬間、彼の言葉は第三者に遮られる。

(この声は……)

 ミランダの背筋はピンと伸びた。


 真っ直ぐ伸びた紫色の髪に、ピンク色の目。小動物を彷彿とさせる見た目の人物。

 タフマ王国第二王女、ウルスラ・タフマである。

 ウルスラは上品かつ無邪気な笑みで、ミランダの元へと向かって来たのだ。

 ミランダが以前ウルスラを助けて以降、彼女はミランダを大層気に入ったらしい。


「ウルスラ殿下、どうかなさったのですか?」

 ミランダは戸惑いつつも、失礼のないように振る舞いに気を付けた。

「先程の紳士淑女科の授業で、刺繍をしたの。是非ミランダに受け取ってもらいたくて」

 ピンクの目をキラキラと輝かせているウルスラである。

「……ありがとうございます、ウルスラ殿下」

 正直、今のタイミングで来るかと思いつつも、当たり障りのない笑みでミランダはウルスラから刺繍が施されたハンカチを受け取る。

「ミランダ嬢……私の目の前で婚約者から贈り物を受け取るとは……!」

 アレックスの表情は悔しそうに歪み、拳はプルプルと震えていた。

「は……? 婚約者?」

 ブライアンは怪訝そうな表情になる。

「その、アレックス様の婚約者ってまさか……」

 ミランダは恐る恐るウルスラに目を向ける。

「あら、アレックスもいたのね。ご機嫌よう」

 ウルスラは邪気のない笑みである。

 アレックスの存在に本気で気付いていなかったようだ。

「ウルスラ殿下、ミランダ嬢よりも先に婚約者である私に気付いていただきたかったです」

「ごめんなさい、アレックス。そんなつもりはなかったのよ。ただ、ミランダが格好良くて」

 ふふふっと表情を綻ばせるウルスラ。本当に悪意も邪気もない上品な笑みである。

 どうやらアレックスの婚約者はウルスラのようだ。

(ウルスラ殿下って……素直な方なのね……)

 ミランダは表情をやや引きつらせながら口角を上げる。

「アレックス殿がミランダに決闘を申し込んだ理由って……」

「多分ウルスラ殿下関連よね」

 ミランダとブライアンはお互い顔を見合わせて苦笑した。


「とにかく、ウルスラ殿下は婚約者である私をそっちのけでミランダ嬢に夢中になっているんだ! そのせいでウルスラ殿下との時間が取れなくなっている! この責任を取ってもらうぞ!」

 アレックスはキッとミランダを睨んだ。

「……それで私決闘ですか」

 面倒なことに巻き込まれたなとミランダは苦笑し、軽くため息をついた。

「そうだとも! 私がミランダ嬢に勝てば、ウルスラ殿下も私に夢中になってくださるだろうからな!」

「……そうですか」

 色々と面倒になり、ミランダは思考を放棄した。

 隣にいるブライアンも、どう反応したら良いか分からなくなっているようだ。

「あら、アレックス、ミランダと決闘するの? それなら(わたくし)、ミランダを応援するわ」

 相変わらず無邪気で品のある笑みのウルスラだ。ミランダを見つめるピンクの目は、キラキラと輝いている。

(ウルスラ殿下……アレックス様の話を聞いていたのかしら……?)

 ウルスラの場を余計に引っ掻き回すような発言に、ミランダの真紅の目は死んだ魚のようになった。

「何か大変なことになったな」

 ブライアンはミランダに同情の目を向けていた。






☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨ ☨






 何だかんだで、ミランダとアレックスの決闘が開催されることになってしまった。


 動きやすい軍服を身にまとったミランダ。

 ピンク色の髪は一つに束ねている。

 そんなミランダの姿を見た学園の女子生徒達は、黄色い声を上げた。

 ミランダの応援に来ている女子生徒が多いのだ。

 もちろん、観客席にはオリヴィア、ブライアン、ルシアンの三人もいる。

「ミランダ、大変なことに巻き込まれてしまいましたわね」

 オリヴィアは困ったように苦笑していた。

「ミランダの奴、王女殿下を助けたことで殿下から気に入られて、王女殿下の婚約者に絡まれたんだ」

「あらまあ。王女殿下を助けた話は知っていましたが、それがまさか決闘に繋がってしまうなんて。ミランダ、怪我がないと良いのですが」

 オリヴィアはふうっとため息をついた。

「オリヴィア、ここは学園だ。それに、校則で認められた決闘だから、ミランダ嬢が大怪我をすることはないだろう。万が一のことが起こりそうならば、教師達が止めに入る」

 ルシアンは冷静だった。

「それなら、少し安心ですわ」

 オリヴィアはルシアンの言葉にホッと肩を撫で下ろした。

「それにしても、事の発端となられた王女殿下はミランダの応援をなさっておりますのね。ミランダのことを気に入っていただけたのは(わたくし)としても嬉しいですが……」

 オリヴィアは前の方でミランダを見つめてうっとりと微笑むウルスラの姿を見て、少しだけ複雑な表情になっていた。

「王女殿下は何というか……素直な方だからな」

 ブライアンは苦笑する。

「王家の末娘で、タフマ王国内に留まることが生まれた時から決まっていらしたお方だ。王太子殿下や他国へ嫁ぐ王女殿下達と比べると、のびのびと育てられたらしい。まあ、素直だが聡明なお方だ。成績も当たり前のように上位に食い込んでいる」

 ルシアンも、ウルスラの様子を見て苦笑しているが、能力については認めているようだった。


 面倒事に巻き込まれる形で、ミランダはアレックスと決闘を開始することになった。

読んでくださりありがとうございます!

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