表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
貴族学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/34

知らぬうちにファンクラブ

 友達の作り方がいまいちよく分からないミランダ。

 しかし、重い荷物を運んでいる女子生徒や、困っている女子生徒を助けることはしていた。

 そうしているうちに、ミランダの学園生活には変化が生じ始めた。


 それは騎士科の剣術の授業でのこと。

 この授業は二人ずつ剣術の試合形式で(おこな)う。

 ミランダの番がやって来た。


「きゃあ! ミランダ様よ!」

「ミランダ様、頑張ってー!」

「ミランダ様、応援しておりますわ!」


(え……? 何なの……? 応援してくれるのはありがたいけれど……)

 ミランダは自身に向けられる女子生徒達の黄色い声に困惑した。

 今までこんなことはなかったのだ。

 恐らく彼女達は騎士科の生徒ではない。

 タフマ王国の貴族学園は、生徒によって空きコマが存在する。

 空きコマにはこうして騎士科の授業の見学をする者もいるのだ。


(とりあえず、いつも通りに)

 ミランダは深呼吸をして剣を構えた。


 教師による開始の合図でミランダは相手に剣を振るう。

 相手は男子生徒なので単純なパワーでは敵わない。

 そこでミランダは剣に炎の魔力を込めた。

 相手はミランダに近付くと剣に込められた炎の魔力による火の粉で火傷をしてしまう。

 火傷により相手が怯んだ隙に、ミランダは一気に畳み掛けた。


「そこまで!」

 教師による合図でミランダと相手の男子生徒は剣をしまう。

「きゃあ! 流石ミランダ様!」

「格好良いわ!」

 ギャラリーの女子生徒達が再び黄色い声を上げた。

(……本当に何なのかしら?)

 ミランダは女子生徒達を一瞥し、苦笑した。


 ミランダの周囲で起こった変化はそれだけではない。

 数日後のこと。

 休み時間に入ったミランダは、次の授業の準備に取り掛かる。

 その時だった。

「あの、ミランダ・エードラム様」

 複数の女子生徒達が緊張気味にミランダの元へやって来た。


 彼女達の胸元の紋章は紳士淑女科のものだ。

 恐らくミランダと同級生(と言ってもミランダは飛び級で入学したので年はミランダよりも一つ上)だと思われる。


「何でしょうか……?」

 ミランダは何事かと少し身構える。

 すると女子生徒達は何かを取り出し、ミランダに差し出す。

「あの、これ……今日の刺繍の授業で作ったものなのです。ミランダ様に是非受け取っていただきたくて」

(わたくし)も、ミランダ様のことを考えて刺繍しました!」

「わ、(わたくし)も!」

 美しい刺繍がなされたハンカチを差し出されたミランダ。

「わあ……綺麗……」

 ミランダは戸惑いつつも、思わず感嘆の声を上げた。

「本当ですか!?」

「ミランダ様にそう言われるなんて!」

「綺麗だなんて、嬉しいです!」

 ミランダの言葉に、女子生徒達の表情はパアッと明るくなる。

「えっと、では、ありがたくいただきます」

 ミランダはややぎこちない笑みだが、女子生徒達からハンカチを受け取った。

 すると女子生徒達はぽうっと頬を赤く染め、満足そうにその場を立ち去ったのである。

(綺麗な刺繍ね。でも、本当に何だったのかしら?)

 刺繍を眺めながら苦笑するミランダである。


「ミランダ、お前、令嬢方からモテモテだな」

 聞き慣れた声がして、ミランダはそちらへ振り向いた。

「ブライアン……見ていたのね」

 ミランダはふうっと軽くため息をついた。

「何というか、最近こういうことが増えたのよね。やたらとご令嬢方から話しかけられたり、剣術や魔獣との模擬戦授業で応援されることも増えたわ」

「だな。お前の戦闘狂っぷりにも全然引かないし、むしろ『格好良い!』なんて騒がれているもんな」

 ブライアンは軽くミランダを肘で小突いた。

「まあ、何でも良いのだけれど」

「いや良いのかよ」

 ブライアンは苦笑した。

「でも、どうしてこうなっているのか、全然分からないのよね」

 ミランダはぼんやりと廊下の窓の外に目を向けた。


 貴族学園の中庭では、魔力研鑽をする者や読書をする者がいた。

 魔力研鑽をする生徒は恐らく騎士科、読書をする生徒は恐らく領地経営科だろうとミランダは思った。


「どうしてって、ミランダ、お前王女殿下を助けたんだろう?」

「ええ、まあ……重そうな荷物を運んでいたから」

 ミランダは数日前のことを思い出した。

 重そうな荷物を一人で運んでいたタフマ王国第二王女ウルスラを手伝ったのだ。

「だからだよ。どうも王女殿下はそれでミランダを気に入ったらしいぞ。で、他の紳士淑女科にそのことを話したり、お前が他に色々助けた令嬢方がいたりで、令嬢方の間でミランダのファンクラブが発足したんだ」

「え!? ファンクラブ!? 私の!?」

 ミランダは真紅の目を大きく見開いた。

 寝耳に水の話である。

 そういった類のこととは全く無縁だと思っていたミランダだ。

「ああ。何でも、困った時に助けてくれるからその辺の紳士よりも紳士的、剣術や魔獣との模擬戦での荒々しい戦い方もまた魅力的、目を輝かせながらオリヴィア嬢に駆け寄る姿のギャップが堪らない、だとよ」

「はあ……」

 ミランダはどこか他人事のようだった。

(そういうのは前世であった少女漫画のイケメン男子だけかと思ったわ。まあ、女子校の王子様的存在もいるらしいけれど)


 ちなみに、ミランダは騎士団で鍛え始めてから身長が伸び始めた。

 昔はオリヴィアよりも少し低かったのだが、今ではオリヴィアよりも身長が高い。

 女性としては割と高身長の部類である。


「……私なんかに夢中になるなんて、みんな大丈夫なのかしら?」

 ミランダは自嘲した。

 正直、自分には誰かから好かれる要素がないと思っているので、ミランダは戸惑っていた。

(だって私、『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』では破滅する悪役なのよ。まあ、オリヴィアお義姉様を虐げるなんて馬鹿なこと、今は絶対にしないけれど)

 ミランダは軽くため息をついた。

「私なんかって、お前なあ……」

 ブライアンは複雑そうな表情になるのであった。

読んでくださりありがとうございます!

少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、是非ブックマークと高評価をしていただけたら嬉しいです!

皆様の応援が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ