表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたがりのミランダ  作者: 宝月 蓮
貴族学園編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/34

ミランダ、十五歳

 ミランダは十五歳になった。

 現在ミランダはエードラム伯爵領にある、王都中央騎士団の訓練場にいる。


 ふわふわとしたピンクの髪を後ろに一つに束ね、動きやすい軍服姿のミランダ。真紅の目は真っ直ぐ窓の中央を見ている。


 ミランダは手を前にかざし、的に向かって炎の魔力を繰り出した。

 真っ直ぐ勢い良く的に向かった炎。そのまま的の中央を焼き尽くした。

「相変わらず暇があれば魔力訓練……飽きないな」

「ブライアン……」

 いつの間にか、ブライアンが隣に来ていた。


 ブロンドの髪に黄色の目。十六歳になったブライアンの顔立ちは以前より大人びている。


 十二歳の時、ミランダは神殿で魔力判定を(おこな)った。

 前世で夢中になっていたライトノベル『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』の通り、ミランダは炎の魔力を持っていることが判明した。

 その後ミランダはすぐに王都中央騎士団に入団したいとアンブローズ、ヴェロニカの二人に伝えたのだ。

 ミランダが騎士団に入団を希望する理由はオリヴィアを守る為、オリヴィアを悲しませない為である。


 ミランダが十一歳の時、プラーミア公爵夫妻をユーベル公爵家の魔の手から救ったオリヴィア。そのせいでオリヴィアはユーベル公爵家から報酬をもらい損ねた悪漢達に狙われたのだ。ミランダは自分がオリヴィアの振りをして悪漢達に囚われに行ったが、その際にオリヴィアを深く悲しませてしまったのである。


(私は強くならないと。オリヴィアお義姉(ねえ)様を危険な目に合わせない為に。そして私が危険な目に遭っても、オリヴィアお義姉様を悲しませない為には、何があっても私一人で対処出来るくらいに強くなるしかないわ! 原作のミランダ()はショボい炎の魔力だったけれど、鍛えればそれなりに強い魔力になるはず!)

 ミランダは十二歳の魔力開花以降、騎士団に入団して魔力や剣術など、己を鍛えていた。

 その甲斐あって、十五歳のミランダは『捨てられた光の乙女、冷酷公爵に溺愛される』のミランダよりも遥かに強い炎の魔力を持つことになった。


 そして何故(なぜ)かブライアンも騎士団に入団したことは不思議でならなかったが、気心知れた彼がいることで、騎士団の中で多少ミランダは肩の力を抜くことが出来るのであった。

 ちなみにミランダとブライアンは騎士団入団後も魔法薬学研究所には通っており、以前よりも多忙な生活を送っている。


「ミランダ」

「オリヴィアお義姉様……!」

 騎士団の訓練所にオリヴィアがやって来た。

 ミランダの表情がパアッと明るくなる。


 サラサラとした絹のような銀色の髪、神秘的で引き込まれそうな紫の目。そして幼い頃は可憐で儚げな容姿だったが、十六歳になったオリヴィアはそこにどこか大人びた妖艶さも加わっていた。


(ああ、オリヴィアお義姉様、大人になるにつれて神々しくなっていく……!)

 ミランダはオリヴィアの眩しさにやられていた。


「ミランダ、差し入れよ。そろそろ小腹が空いて来る頃じゃないかしら? ブライアン様もご一緒に」

 オリヴィアは鈴の音が鳴るような声で、洗練された小箱をミランダに渡す。

「オリヴィアお義姉様、いつもありがとうございます! オリヴィアお義姉様お手製の焼き菓子が食べられるなんて、私、幸せ過ぎて死んでも構いません!」

 前のめりになりミランダはふんすっと鼻息を鳴らしている。


 ミランダが騎士団に入団して以降しばらくすると、オリヴィアはミランダの為に手作りのお菓子を差し入れとして持って行くようになったのである。

 初めてオリヴィアがミランダに差し入れを持って来た時、ミランダは感激のあまり固まり頭がショートしてしまいオリヴィアを慌てさせたこともあった。


「あらあらミランダ、死んでは駄目よ。ミランダが死んだら悲しいわ」

「オリヴィアお義姉様、私なんかの為に何てお優しい……!」

「ミランダ、なんかじゃなくてミランダだからよ」

 うっとりと微笑むミランダに、オリヴィアは少し困ったように微笑んでいた。

「オリヴィア嬢、差し入れありがとう。それにしても……よくミランダに付き合っていられるな」

「あら、ブライアン様こそ、騎士団でのミランダの無茶に付き合ってくれていると聞いておりますわ」

 呆れ気味に苦笑するブライアンに対し、オリヴィアはおっとりとした様子だった。


(ああ、オリヴィアお義姉様お手製のフィナンシェ……! 控えめな甘さに紅茶の風味……! 最高だわ……!)

 ミランダはオリヴィアお手製のフィナンシェにうっとりと舌鼓を打っていた。

「ところでミランダ、明日は貴族学園入学よ。今日は早く帰って準備をした方が良いのではないかしら?」

 ミランダはオリヴィアの言葉にハッとする。

「そうでしたわ。すっかり忘れておりました」

「もう、ミランダったら」

「入学初日に遅刻とか笑えないぞ」

 クスッと困ったように微笑むオリヴィアに、呆れたようにため息をつくブライアンである。

「それにしても、まさかミランダが飛び級試験に合格して、(わたくし)と同じ年に貴族学園に入学するなんて。ミランダは凄いわ。それに、ミランダと一緒に学園に通えて嬉しい」

 オリヴィアは花のように表情を綻ばせている。

「私も、絶対にオリヴィアお義姉様と一緒に学園に通いたかったですから!」

 ミランダは少し前のめりになり、ふんすっと鼻息を鳴らしていた。

(本来私は貴族学園には来年からの入学だけど、来年だと駄目なのよ。来年はオリヴィアお義姉様よりも二個上のルシアン様が卒業してしまっているわ。だから来年だとオリヴィアお義姉様とルシアン様の、婚約者同士のイチャイチャが見られないのよ!)

 ミランダが何としてでも飛び級でオリヴィアと同じ年に貴族学園入学したかった理由はそれである。

 

 ちなみに、オリヴィアとルシアンは今から三年前、オリヴィアが十三歳、ルシアンが十五歳の時に婚約者となった。

 エードラム伯爵家とプラーミア公爵家の繋がりの為でもあるが、オリヴィアとルシアンは魔法薬学研究所などでゆっくりと仲を深めていたようだ。

 ミランダはそれを知った時、嬉しさのあまり舞い上がり狂喜乱舞したことは三年経った今でも鮮明に覚えている。


(ああ、早く学園生活が始まらないかしら。オリヴィアお義姉様とルシアン様がイチャイチャする学園青春、壁になって見守りたい! 本当に、飛び級試験を頑張った甲斐があったわ!)

 ミランダはニンマリとしていた。

 ブライアンが「顔が気持ち悪いことになってるぞ」と言ったが、それは無視しておくミランダである。

読んでくださりありがとうございます!

少しでも「面白い!」「続きが読みたい!」と思った方は、是非ブックマークと高評価をしていただけたら嬉しいです!

皆様の応援が励みになります!


新章開始です。

ミランダ、大暴走していきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ