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在り日の君と僕
助けた猫が僕の足に絡みついて甘えてくる。
猫を助けるためとはいえ一瞬本当に落ちるかもしれないと内心ひやひやしていた。
「本当に落ちなくてよかった」
一息ついて猫を撫でた。
「貴方、いい人ね」
急に人の声がして僕は顔を上げるとそこには、お下げのセーラー服の少女が立っていた。
「貴方、本当にいい人ね」
再度そう言われて僕はありがとうと答えた。
「ここは危ないところだから君も早く帰った方がいいと思うのだけど」
「ありがとう。けど私、貴方に逢いに来たの」
にこりと少女は笑うと僕のすぐそばまでやってきた。
「僕に…?」
「そう貴方に逢いに来たの。大切な用のために」
「何の用なんだい」
訝しげに笑う彼女と目を合わせる。
「来世の私にとって貴方は運命の人だから、今死んで、会うその日のために死んで」
そう彼女は言うなり僕を突き飛ばした。
「えっ?」
身体のバランスを失った僕は手すりを超えて宙へと投げ出された。
落ちる瞬間、僕が見たのは笑う彼女と助けた猫の姿だった。
そして───僕は死んだ。
未来の君に、運命の相手に逢うために…
僕は君に逢うために死んで、君だけをずっと、ずっと、ここで待っていたんだ。




