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Level Up

Level Up


ピコン!


Slimeの体内にあった青いコアが砕けた直後、通知音が響いた。


Slimeの身体はゆっくりと溶けていき、緑色の光の粒子へと変わる。


そして、その粒子は風に流されるように消えていった。


「……成功した?」


Eidenが安堵する暇もなかった。


突然、目の前に大量の通知ウィンドウが現れる。


ピコン!


【Slime Lv.3を倒しました】


ピコン!


【EXP +12,500】


「……は?」


Eidenは目を見開いた。


「一万二千……?」


その数字を理解する暇さえない。


すぐに次の通知が表示された。


【Level Up!】


【Lv.2 → Lv.3】


【Lv.3 → Lv.4】


【Lv.4 → Lv.5】


「…………」


通知は止まらない。


【Lv.6】


【Lv.7】


【Lv.8】


【Lv.9】


【Lv.10】


「はぁ!?」


Eidenは思わず一歩後ずさった。


Levelが止まることなく上がり続けている。


通知音が次々と重なった。


ピコン! ピコン! ピコン!


【Lv.11】


【Lv.12】


【Lv.13】


【Lv.14】


【Lv.15】


「嘘だろ……」


Eidenはただ呆然と、上がり続けるLevelを見つめることしかできなかった。


十五。


二十。


二十五。


三十。


「……まだ上がるのか?」


止まる気配はまったくない。


そして、ついに――


ピコン!


【Lv.49 → Lv.50】


大量に浮かんでいた通知が、ゆっくりと消えていく。


森に静けさが戻った。


聞こえるのは、川の流れる音だけ。


Eidenはその場で固まっていた。


「……終わった?」


すぐにStatusを開く。


――――――――――


Name:Eiden


Level:50


Job:None


HP:2,550


MP:1,275


Strength:250


Vitality:250


Agility:250


Intelligence:250


Luck:1


Stat Point:245


――――――――――


「…………」


「…………」


「……マジで?」


Eidenは目をこする。


そして、もう一度確認する。


変わっていない。


Level 50。


たった一匹のLv.3 Slimeを倒しただけで。


「完全にバグじゃないか……」


普通のプレイヤーなら、このLevelまで上げるために何百体ものモンスターを倒さなければならない。


それなのに――


Eidenが倒したのは、たった一匹のSlimeだけ。


Eidenは長く息を吐いた。


「プレイヤーたちが“最強の壊れバグ”って呼んでたのも納得だな」


身体を軽く動かしてみる。


気のせいではない。


身体が以前より遥かに軽い。


そして――強い。


拳を握る。


全身に力が満ちているのが分かった。


「これなら……」


EidenはInventoryから斧を取り出した。


ただの木製の斧。


だが今は、驚くほど軽く感じる。


まるで木の枝でも持っているようだった。


「ふむ……」


試しに空中へ斧を振る。


シュッ!


目の前の空気が切り裂かれた。


「……速い」


以前とは比べものにならない。


Eidenの口元に小さな笑みが浮かぶ。


この世界に来てから初めて――


自分はここで生き残れるかもしれない。


そう思えた。


しかし――


その笑みは長く続かなかった。


近くの茂みから、何かが動く音が聞こえた。


ガサッ……


ガサッ……


Eidenはすぐに振り返る。


木々の間から姿を現したのは、先ほど彼を追いかけていた狼だった。


Forest Wolf Lv.4


モンスターは再び牙をむく。


「グルルル……」


Eidenは小さく息を吐いた。


「また来たのか」


だが今度は――


不思議なほど恐怖を感じなかった。


Forest Wolfが飛びかかる。


先ほどよりも速い。


しかし――


Eidenの目には、その動きが遅く見えた。


「遅い」


身体をわずかに横へずらす。


Forest Wolfの攻撃が空を切った。


その瞬間。


Eidenの斧が一閃する。


ザンッ!


Forest Wolfはその場に倒れた。


そしてすぐに、その身体は光の粒子へと変わって消えていく。


ピコン!


【Forest Wolfを倒しました】


【EXP +8】


「…………」


「たった八?」


Eidenは思わず小さく笑った。


「さっきのSlimeと比べたら……」


「全然違うな」


ようやく理解した。


あのバグが適用されるのは、特定のSlimeだけなのだ。


他のモンスターから得られるEXPは正常なまま。


Eidenは斧をInventoryへ戻した。


そして、川の方へ視線を向ける。


「もし、このバグを何度も使えるなら……」


「……いや」


すぐに首を振った。


「欲張るな」


ゲームの中なら、プレイヤーは好きなだけバグを繰り返せたかもしれない。


だが――


ここはもう、ただのゲームではない。


現実だ。


ここに長く留まれば、別のモンスターが現れる可能性もある。


あるいは――


エリアボス。


その可能性を考え、Eidenは本来の目的を済ませることにした。


近くにある木へと向かい、必要な分だけ薪を切り始める。


Level 50になった今――


その作業は、以前とは比べものにならないほど簡単になっていた。

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