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Deleted World

FLASH!!


Eidenを包み込んでいた青い光が。


ゆっくりと消えていく。


身体が軽い。


まるで。


果てしない空間を投げ飛ばされたような感覚だった。


次の瞬間――


ドサッ。


Eidenは。


露に濡れた草原へ倒れ込んだ。


「っ……!」


頭を押さえながら。


ゆっくりと身体を起こす。


視界は。


まだ少しぼやけていた。


数秒後。


ようやく視界が戻る。


Eidenは立ち上がり。


周囲を見渡した。


「……ここは」


小さな丘の上だった。


その場所からは。


遠くにEfas Villageの姿が見える。


だが。


何かがおかしい。


Arveld Old Towerが。


どこにもない。


そこにあるのは。


ただ広がる空き地だけ。


まるで。


最初から存在しなかったかのように。


「本当に……」


「消されたのか」


Eidenは。


すぐにMapを開く。


Arveld Old TowerのLocationも。


完全に消えていた。


そこに塔が存在した痕跡は。


何一つ残っていない。


続いて。


Bookmarkを開く。


幸い。


Arveld Old TowerのDataは保存されていた。


だが。


Statusだけが変わっている。


《Status:Deleted Area》


「つまり……」


「Bookmarkに残っている限り」


「Administratorでも」


「情報そのものは消せない……」


その事実に。


Eidenは小さく拳を握った。


まだ。


戦う方法は残されている。


TING!


その時。


新しいNotificationが表示される。


――――――――


Data継承完了


Progress:100%


Legacy Menuが解放されました。


――――――――


「……Legacy?」


UIの下部に。


新しいMenuが追加されていた。


鼓動を抑えながら。


それを開く。


保存されていたFileは。


一つだけ。


《Legacy #01 Ren》


Eidenは。


迷わず選択した。


画面が暗転する。


そして。


映像が映し出された。


石造りの部屋。


そこには。


若い頃のRenが座っていた。


初めて会った時よりも。


ずっと若く見える。


「こんにちは」


「この記録を見ているなら」


「また俺は失敗したんだろう」


Renは。


苦く笑った。


「すまない」


「世界を変えるのは」


「俺には無理だった」


「でも」


「お前なら」


「できるかもしれない」


Eidenは。


黙って映像を見つめる。


Renは。


人差し指を立てた。


「覚えておいてほしいことが」


「三つある」


「一つ目」


「Search Barを」


「絶対に信用しすぎるな」


Eidenは。


思わず目を見開く。


「……え?」


Renは続ける。


「Search Barの情報は」


「Manipulateできる」


「Administratorは」


「Factを隠せる」


「Dataを削除できる」


「検索結果すら」


「書き換えられる」


「だから」


「Systemだけを信じるな」


続いて。


二本目の指を立てる。


「二つ目」


「Zeroを探せ」


「彼はPlayerじゃない」


「だが」


「この世界の秘密を知っている」


「Administratorを倒せる可能性があるのは」


「彼だけだ」


そして。


最後の一本。


「三つ目」


「Slime Godを殺すな」


「……何だって?」


Eidenは。


言葉を失う。


Slime Godは。


Nine Bossの一体。


この身体の父親を殺したMonsterでもある。


それなのに。


Renは。


倒すなと言った。


「Slime Godが死ねば」


「最初のSealが壊れる」


「そして」


「もっと恐ろしい存在が目覚める」


その時だった。


映像が乱れ始める。


Renの姿が。


激しく点滅する。


音声も。


途切れ途切れになる。


「それと」


「Eiden」


「もし」


「いつかまた」


「俺に会うことがあったら」


「決して俺を――」


ZZZZTTT!!


映像は。


そこで強制終了した。


画面が暗くなる。


「……俺を?」


言葉の続きを。


知ることはできなかった。


Eidenは。


静かに息を吐く。


それでも。


得られた情報は。


想像以上に大きかった。


◇ ◇ ◇


朝日が昇る頃。


Eidenは。


ようやくEfas Villageへ戻ってきた。


だが。


村の様子は。


いつもと違う。


Guild Adventurerたちが。


門の前へ集まっていた。


最初にEidenへ気付いたのは。


Dariusだった。


「Eiden!」


「今までどこにいた!?」


「俺は……」


Eidenは。


言葉を止める。


本当のことは。


話せない。


「森で迷ってた」


Dariusは。


安堵の息を漏らした。


「よかった……」


「一晩中探してたんだ」


「何かあったのか?」


Eidenが尋ねる。


Dariusの表情が曇る。


「夜明け前に」


「East Forestがおかしくなった」


「……おかしく?」


Dariusは頷いた。


「森の一部が」


「突然消えたんだ」


Eidenの鼓動が。


再び速くなる。


Deletionは。


塔だけでは終わらなかった。


East Forestまで。


削除され始めている。


つまり。


Administratorは。


世界そのものを書き換え始めたのだ。


◇ ◇ ◇


その頃。


虚無の彼方。


果てのない白い空間。


ERRORは。


光の玉座へ座る存在の前で。


静かに頭を下げていた。


その姿は見えない。


だが。


声だけが。


空間全体へ響く。


『……新たなSearcherは逃げ切ったか』


ERRORは。


静かに答える。


『はい、Administrator』


再び。


沈黙が訪れる。


やがて。


Administratorは命じた。


『ならば――』


『Genesis Protocolを開始せよ』


その命令を聞いた瞬間。


ERRORでさえ。


僅かに動きを止めた。


Genesis Protocol。


それは。


本当の終焉が始まる。


その合図だった。

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