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Deletion

Eidenの前に。


赤い文字が。


なおも鮮やかに灯っていた。


《Primary Target:Eiden》


心臓の鼓動が。


さらに速くなる。


さっきまで。


ERRORが狙っていたのはRenだった。


だが今は違う。


Administratorは。


Eidenこそが。


最も危険な存在だと判断したのだ。


「……どうしてだ」


Eidenは呟く。


Renは。


すぐにEidenの前へ立ち。


剣を構えた。


「Copyを使ったからだ」


「あのSkillは」


「今までのSearcherは誰も持っていなかった」


「……え?」


Renは。


少しだけ振り返る。


「Administratorは」


「お前を新しいVariableだと認識した」


「そして」


「予測できない存在を何より嫌う」


UIのCountdownは。


さらに減っていく。


《02:31》


塔全体が。


激しく揺れ続ける。


天井から。


無数の石片が降り注ぐ。


黒い亀裂は。


建物全体へ広がっていた。


Eidenは。


歯を食いしばる。


「このままじゃ」


「俺たちまで消される」


Renは。


静かに頷く。


「ああ」


「それで」


「どうする?」


Renは。


小さく笑った。


「逃げる」


Eidenは。


思わず安堵の息を吐く。


「やっと」


「まともなことを言ったな」


「だが」


Renは。


一本の指を立てた。


「逃げられるのは」


「一人だけだ」


Eidenの表情から。


笑みが消える。


「またその話か」


Renは。


何も答えない。


UIを開く。


Eidenがまだ見たことのないMenu。


《Emergency Exit》


画面が。


すぐに赤く染まる。


――――――――


Functionは利用できません。


AreaはDeletion中です。


――――――――


「……くそ」


Renは。


UIを閉じた。


「Emergency Exitまで封じられたか」


つまり。


Systemを使った脱出は不可能。


二人は。


完全に閉じ込められた。


ERRORが。


右手を持ち上げる。


空間が。


再びガラスのようにひび割れる。


だが今回は。


速度が違った。


CRACK!!


石柱の一本が。


跡形もなく消える。


塔全体が。


大きく傾いた。


「走れ!」


Renが叫ぶ。


二人は。


螺旋階段を駆け上がる。


背後では。


踏みしめた床が。


次々と消えていく。


崩れるのではない。


存在そのものが。


削除されていた。


Eidenは。


振り返ることができない。


その光景は。


恐ろしすぎた。


世界そのものが。


少しずつ消されていくようだった。


最上階へ辿り着く。


だが。


道は途切れていた。


床の半分が。


すでに消えている。


目の前には。


底の見えない黒い奈落。


「そんな……」


Eidenは。


拳を握る。


行き止まり。


完全に。


逃げ場はない。


しかし。


Renは。


微笑んだ。


「まだ」


「一つだけ方法がある」


「何だ?」


Renは。


空を指差す。


「上だ」


「……?」


Eidenが聞き返す前に。


Renは。


Coatの中から。


一本のMagic Scrollを取り出した。


封印を破る。


WHOOSH!!


激しい風が。


二人を包む。


足元に。


青いMagic Circleが現れた。


「Teleport……?」


Renは。


真剣な眼差しで。


Eidenを見る。


「このScrollで送れるのは」


「一人だけだ」


「また……」


Eidenは。


小さく呟く。


Renは。


穏やかに笑った。


「言っただろ」


「ERRORが現れるたび」


「Searcherは一人残る」


「嫌だ!」


Eidenは。


Renの腕を掴む。


「他の方法を探そう!」


Renは。


首を横に振る。


「時間がない」


Countdown。


《00:59》


残り。


一分もない。


遠くから。


ERRORが。


ゆっくりと階段を上がってくる。


その一歩ごとに。


塔は消えていく。


止められる者は。


誰もいない。


Renは。


静かに息を吐いた。


「Eiden」


「俺を見ろ」


Eidenは。


真っ直ぐ見つめ返す。


「今日から」


「世界の希望は」


「お前だけだ」


「魔王を倒すことは忘れろ」


「読んだSpoilerも忘れろ」


「もう」


「何もかも変わった」


Renは。


ゆっくりと言う。


「Eiden」


「Zeroを探せ」


「……Zero?」


「誰なんだ?」


Renは。


最後に微笑んだ。


「唯一のNPC」


「Administratorを傷つけた存在だ」


Eidenの目が。


大きく見開かれる。


NPCが。


Administratorを傷つけた……?


問い返そうとした。


その瞬間。


Renは。


EidenをMagic Circleの中央へ押した。


「Ren!!」


「すまない」


「そして――」


「ありがとう」


FLASH!!


青い光が。


Eidenの身体を包み込む。


必死に。


Renへ手を伸ばす。


だが。


指先が触れたのは。


空気だけだった。


Renの姿は。


少しずつ遠ざかる。


ぼやけていく。


やがて。


眩い光が。


すべてを飲み込んだ。


◇ ◇ ◇


塔の中。


Renは。


一人だけ残っていた。


ERRORは。


すでに目の前。


距離は。


あと数歩。


Renは。


静かに息を吐く。


「俺は」


「何度もこの世界を繰り返した」


「頼む……」


「今度こそ」


「成功してくれ」


ERRORが。


ゆっくりと手を上げる。


《Elimination開始》


黒い光が。


Renを包む。


その直前。


Renは笑った。


十年ぶりに。


心から。


なぜなら。


もう彼は。


世界の希望を。


一人で背負う必要はなくなったのだから。

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