SearcherのAuthority
UIの右上。
Countdownは。
止まることなく進み続ける。
《03:58》
《03:57》
《03:56》
一秒。
また一秒。
その音は。
まるで胸を叩くHammerのようだった。
Eidenは。
目の前のRenを見る。
Renは。
両手で剣を握り締めている。
その身体からは。
今もなお。
銀色の光が流れ続け。
EidenのUIへ吸い込まれていた。
System画面には。
Notificationが表示されている。
《Data継承中……》
《7%》
「……やめろ!」
Eidenが叫ぶ。
「一体」
「何をしてるんだ!?」
Renは。
振り向かないまま。
小さく笑った。
「Authorityの一部を」
「お前へ引き継いでいる」
「俺が死んでも」
「十年間集め続けたDataだけは」
「消えないようにな」
「十年……」
Eidenは。
拳を強く握る。
「だったら!」
「一緒に逃げればいいだろ!」
Renは。
静かに首を振る。
「無理だ」
「ERRORが現れた理由は」
「俺たちが」
「知ってはいけないことを話したからだ」
「奴が現れた時」
「必ずSearcherが一人死ぬ」
「……必ず?」
Eidenは。
その言葉に反応した。
「前にも」
「同じことがあったのか?」
「ああ」
Renは。
静かに答える。
「三回だ」
塔の中が。
静まり返る。
「三回……」
つまり。
Renは。
Eiden以前にも。
Searcherと出会っていた。
そして。
全員。
死んだ。
「Searcherは」
「全部で何人いた?」
Eidenが尋ねる。
Renは。
数秒黙った後。
ゆっくり答えた。
「最初は」
「七人いた」
「……!!」
Eidenの目が。
大きく見開かれる。
「七人?」
「ああ」
「今残っているのは」
「二人だけ」
「お前と」
「俺だ」
その言葉は。
ERRORの脅威よりも。
遥かに重かった。
五人のSearcherは。
Logoutしたわけでも。
元の世界へ帰ったわけでもない。
死んだ。
完全に。
BOOOOM!!
その時。
ERRORが。
再び右手を上げる。
黒い衝撃波が。
一直線に襲い掛かった。
Renが。
即座に前へ出る。
「Artifact Skill!」
「Mirror Wall!!」
眩い光が走る。
巨大な鏡の壁が。
二人の前へ展開された。
BRAAAKKK!!
凄まじい衝撃。
塔全体が揺れる。
鏡には。
無数の亀裂が走った。
だが。
ERRORの攻撃は。
防ぎ切った。
「……一回だけだ」
Renが呟く。
「二撃目は」
「耐えられない」
Eidenは。
Renの左腕を見る。
銀色のBracelet。
淡く光っていた。
反射的に。
Analyzeを発動する。
《Analyze》
――――――――
Mirror Bracelet
Type:Artifact Rank S
Ability:
・一日に一度だけ
攻撃を反射する。
Condition:
・破損率81%
――――――――
「……Artifact」
Weaponだけではない。
Itemにも。
Rankが存在する。
その情報は。
自動的にBookmarkへ保存された。
「いいぞ……」
Eidenは呟く。
「Analyzeが」
「進化してる」
継承Progressは。
止まらない。
《26%》
《31%》
《38%》
Percentageが上がるたび。
Renの顔色は。
目に見えて悪くなっていく。
呼吸も。
徐々に荒くなる。
「どうして」
「そんなに苦しそうなんだ?」
Eidenが尋ねる。
Renは。
苦笑した。
「SearcherのAuthorityは」
「魂と結び付いている」
「渡せば渡すほど」
「俺に残るAuthorityは減る」
「百%になれば」
「SystemへのAccessを」
「完全に失う」
「それは」
「死ぬのと同じだ」
Eidenは。
歯を食いしばる。
「なら」
「今すぐ止めろ!」
「止められない」
Renは。
穏やかに笑う。
「もう始まった」
「途中では止められない」
その時だった。
Search Barが。
突然点滅する。
Notificationではない。
新しいMessage。
――――――――
新機能を検知しました。
《Copy》
――――――――
「……何だ?」
Eidenは。
見たことのないFunctionを開く。
――――――――
Copy
TargetのDataを一つ複製します。
条件:
・Target本人の許可が必要です。
――――――――
「Dataを複製……」
Eidenは。
Renを見る。
「これを使えば……」
「可能性はある」
Renは。
静かに頷く。
「使え」
Eidenは。
迷わずCopyを発動した。
TING!
――――――――
複製するDataを選択してください。
・Analyze Lv.5
・Scan Lv.4
・Bookmark Lv.3
・History Lv.5
・Database(Locked)
・Authority Key(Locked)
――――――――
Eidenは。
最初にDatabaseを選ぶ。
――――――――
Access拒否。
――――――――
Authority Key。
同じだった。
結局。
選べるのは。
四つの基本Skillだけ。
Eidenは。
《Scan Lv.4》を選択する。
TING!
――――――――
Scan
Lv.2 → Lv.4
――――――――
「成功した……!」
Renは。
満足そうに笑った。
「それでいい」
「まだ」
「希望は残っている」
その瞬間。
ERRORが。
再び動く。
だが。
攻撃ではない。
ゆっくりと。
顔を。
Eidenへ向けた。
初めてだった。
顔のない存在が。
言葉を発したのは。
『……新たなVariableを確認……』
感情のない声。
まるでMachineのようだった。
『……Elimination Priorityを更新します……』
その言葉が終わると同時に。
EidenのUIへ。
巨大な赤い文字が表示される。
――――――――
TARGET変更
Primary Elimination Target
Eiden
――――――――
Renの表情が変わる。
「くそっ!」
「まずい!」
今までは。
ERRORの狙いは。
Renだった。
だが今は違う。
Administratorが。
新たなSearcherへ。
完全に照準を合わせたのだ。




