二人目のSearcher
夕方。
エファス村は少しずつ夕暮れに包まれていった。
DariusとのTrainingを終え。
Guildの冒険者たちも、それぞれの仕事へ戻っていく。
だが。
Eidenの意識は。
Training Groundにはなかった。
頭から離れないのは――
先ほど表示されたSystem Message。
《Analyze Lv.1 → Lv.2》
Searcherになったばかりだというのに。
Skillの成長速度は。
Eidenが想像していたよりも遥かに速い。
しかし。
それ以上に気になることがあった。
あの黒いRobeの男。
もし本当に。
あの男もHidden Job《Searcher》を持っているのなら――
状況は。
想像以上に複雑だ。
「Hidden Job……」
Eidenが呟く。
「普通なら一人しかいないはずだろ」
――――――――
家へ戻ると。
Eidenはすぐ自室へ向かった。
扉を閉め。
鍵をかける。
「Open UI」
透明な青いWindow。
今回は。
まだ使っていなかった機能を開く。
《History》
次の瞬間。
大量の記録が表示された。
――――――――
【Search History】
・Slime God
・Darius
・Demon Mana
・Corrupted Slime
・Searcher
・First Player
・Sword Build
・Holy World
――――――――
「なるほど」
「今までの検索が全部残ってるのか」
Eidenは。
履歴の一つを選択しようとした。
その時。
今まで見たことのないButtonが現れる。
《類似検索を探す》
「……何だこれ?」
Eidenは押した。
画面が。
数秒間。
何度も点滅する。
そして。
表示された検索結果を見た瞬間。
Eidenの呼吸が止まった。
――――――――
【Similar Search Found】
Unknown User
《Hidden Job Searcherの取得方法》
Search Time:
3年前
――――――――
「……は?」
Eidenは。
もう一度読む。
「三年前……?」
つまり。
自分がこの世界へ転生する。
遥か以前から。
誰かが――
Hidden Job《Searcher》について調べていた。
Eidenはすぐに検索結果を開く。
だが。
画面は真っ白になった。
そして。
――――――――
《Access Denied》
《他UserのDataです》
――――――――
「他User……」
Eidenの心臓が。
速くなる。
Search Barは。
自分だけのSystemではない。
他にもUserがいる。
そして。
おそらく。
その一人こそ――
あの黒いRobeの男。
――――――――
夜。
コン、コン。
Eveの家の扉を。
Dariusが叩いた。
「Eiden」
「悪い知らせだ」
Eidenが扉を開く。
普段よりも。
遥かに深刻なDariusの表情。
「どうしたの?」
「GuildのScout Teamが……」
一瞬。
言葉を止める。
「消えた」
「……消えた?」
Dariusが頷く。
「Rank Cの冒険者が三人」
「今朝、東の森を調査するために入った」
「だが――」
「まだ戻ってきていない」
「……」
Eidenの表情が変わる。
Rank C。
Dariusよりも。
遥かに強い冒険者たち。
その三人全員が。
戻ってこない。
つまり。
東の森で起きていることは。
すでに。
想像以上に危険な段階へ進んでいる。
「村長は森への立ち入りを禁止した」
「村人は誰も入れない」
「分かった」
Dariusが。
長く息を吐く。
そして。
「明日の朝」
Eidenを見る。
「俺も、もう一度森へ入る」
「今度はGuildの部隊と一緒に」
「……」
報告を終えると。
Dariusは帰っていった。
Eidenは。
ゆっくり扉を閉じる。
表情は――
真剣だった。
「今、森に入ったら……」
「確実にあの洞窟を見つける」
そして。
もし。
あのすべてを操っている存在が。
本当に洞窟の奥にいるのなら。
Guildの部隊は。
自分たちから――
罠へ入っていくことになる。
――――――――
深夜。
Eidenは。
まだ眠れずにいた。
もう一度。
Search Barを開く。
そして。
これまで。
怖くて検索できなかった質問を入力する。
《Searcherは何人存在する?》
Enter。
画面が。
いつもより長く点滅した。
検索結果が消えていく。
そして。
黒いPage。
中央には。
たった一つだけ。
――――――――
《Active User:2》
――――――――
「……」
部屋が。
急に静かになったように感じた。
二人。
このHoly Worldに存在するSearcherは。
たった。
二人だけ。
一人は。
Eiden。
そして。
もう一人。
その瞬間。
新しい文字。
――――――――
《Second Searcherが
あなたの検索を検知しました》
――――――――
「……!?」
Eidenの目が大きく開く。
「俺が検索したことを……」
「向こうも分かるのか?」
さらに。
System Message。
――――――――
《Chat Request Accepted》
――――――――
「Chat……?」
突然。
Conversation Windowが開いた。
そこには。
たった一つ。
Message。
《Hello, Eiden.》
そして。
次の文章。
《Holy Worldへようこそ》
「……」
Eidenの身体が。
固まった。
名前を。
知っている。
自分が。
この世界へ来たばかりだということも。
知っている。
数秒後。
二通目。
《この世界のEndingを変えたいなら――》
Eidenは。
画面から目を離せない。
《俺を探しに来るな》
そして。
最後。
《なぜなら――》
《そのEndingが起きる原因は、俺だからだ》
「……何?」
次の瞬間。
Chat Windowが――
閉じた。
Eidenはすぐに開こうとする。
「Open Chat」
反応なし。
Menuを探す。
存在しない。
まるで。
最初から。
Chat機能などなかったかのように。
「……」
Eidenは。
ただ。
真っ暗になったUIを見つめていた。
――――――――
同じ頃。
謎の洞窟。
その最深部。
黒いRobeの男が。
自分のUIを閉じる。
そして。
小さく笑った。
「ようやく……」
「始められるな」
男の背後。
黒いCrystalの光が。
以前よりも。
さらに強くなる。
壁には。
黒い亀裂。
一本。
二本。
そして。
次々と。
洞窟全体へ広がっていく。
まるで。
残された時間が。
もう多くないことを――
告げるように。




