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アパートごと異世界に転移したが、俺だけ収納スキルだったので住民を支配することにした  作者: 飯尾 意緒
第3章 王国への序曲と真の支配者交代

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60/71

第60話:真の救済者と名ばかりの勇者

いつもご愛読ありがとうございます!

前回までのあらすじ:恐怖から制服姿で佐藤への完全隷属を誓い動画に刻まれながら徹底的に調教される咲希の一方で、健太の更なる蹂躙を経て決死の逃亡を企てる陽菜と、迫る危機を察知しつつ生存戦略を冷徹に描き直す佐藤の対比が暗夜の破滅を予感させた。


それでは、第60話をお楽しみください。


※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。

 アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、停滞した夜の帳が降りる。文明の灯が消えた世界で、あの惨劇から一夜明けた52日目の夜明けへと向かうときは、静寂という名の狂気を孕み、住人たちの境界線を曖昧に溶かしていく。一階の102号室から漏れ聞こえていた絶望的な音は、今は夜の冷気に冷え固まり、アパート全体を重苦しい沈黙が包み込んでいた。

 月が沈み、東の空がわずかに白み始めた頃。

 窓際で身を潜めていた石堂陽菜は、ついに震える手で窓の鍵を外した。深夜から吹き込み続けていた冷たい風が、衣服を奪われ、薄い毛布を纏っただけの肌を容赦なく刺すが、陽菜は眉一つ動かさない。ただ、眠りこける男たちの濁った寝息に細心の注意を払いながら、窓の縁にゆっくりと足をかけた。

 音もなく、彼女の体は外の闇へと吸い込まれていく。

 ついに、地獄のような102号室からの脱出を果たしたのだ。

 アパートの敷地から数歩、濃密な樹海へと足を踏み入れた陽菜は、唐突に全身を貫くような悪寒に襲われた。

「今までは、こんなのいなかったのに……」

 森の奥から漂う異様な獣臭と、肌を灼くような殺気に陽菜は愕然とする。自由を求めて踏み出したはずの一歩で、彼女はあまりにも鮮烈な「死」を間近に感じていた。

 そこには、小野香織を無残に引き裂いたのと同じ、漆黒の体毛に包まれた巨大な獣が立ち塞がっていた。かつて喰らった香織の肉の甘美な記憶に突き動かされるように、その残り香と血の記憶を執拗に辿り、アパートの目鼻先まで執念深く這い寄ってきたのだ。飢えた捕食者は、獲物が自ら飛び出してくるのを待っていたかのように、その紅い眼を陽菜に向けた。

 逃亡の果てに出会った死神。獣は痩せ細った獲物を見据えると、地を這うような唸り声と共に、強烈な体当たりを見舞った。

「あ、が……っ!」

 金属バットでフルスイングされたような衝撃が陽菜を襲い、彼女の体は近くの木の幹へと叩きつけられた。全身を走る激痛、内臓がせり上がるような圧迫感。幸いにも鋭い爪による裂傷こそ免れたものの、あまりの打撃に陽菜の意識は急速に暗転し、その場に崩れ落ちた。

「陽菜さん!」

 絶叫と共にアパートの玄関から飛び出してきたのは、神田英雄だった。

 倒れる陽菜と、その喉笛に今まさに牙を立てようとする漆黒の獣。神田の内で眠っていた最強クラスのスキル『神の英雄:勇敢なるゴッド・ヒーロー・ブレイバー』が激動を始めた。

 しかし、異世界の獣の力は圧倒的だった。神田が拳を叩き込むたびに跳ね返され、逆に獣の鋭い一撃を浴びる。それでも神田の肉体は微かに発光しながら修復を繰り返し、彼は激痛に身を焼きながらも立ち上がり続けた。

 だが、限界はすぐに訪れた。獣の巨大な前足が神田を薙ぎ払い、彼は陽菜の隣へと無様に転がされた。

 獣が勝利を確信したように大きく口を開き、抵抗できない陽菜を喰らおうと顎を突き出した、その時。

「『支配庫ドミネーション・ストレージ』――吸収」

 陽菜が喰われる、その刹那。神田の朦朧とした視界を遮るように、佐藤悠が音もなく現れた。空間が歪み、神田を絶望させていた漆黒の獣が一瞬にして消失する。

「神田、あとは好きにしろ」

 佐藤はそれだけ言い捨てると、興味を失ったようにアパートへと戻っていった。

 やがて、陽菜が薄く目を開けた。視界に入ったのは、傷だらけになりながら自分を必死に抱きかかえて涙を流す神田の姿だった。

「神田くん……? 私、生きてるの……?」

「陽菜さん、よかった……本当に、よかった……!」

 死の淵から救い出された圧倒的な安堵感。自分を見捨てずにこれほどまで傷ついてくれた神田への感謝。極限状態での恐怖とその解消がもたらす「吊り橋効果」は、陽菜の心を劇的に塗り替えた。田中健太に奪われ、汚されたと思っていた自分の存在を、神田が真っ向から肯定してくれたように感じたのだ。

「守ってくれたんだね……。ありがとう、神田くん……」

 陽菜は震える手で神田の首に縋り付いた。二人は森の影で、互いの痛みを埋め合わせるように、幾度も熱い口づけを交わし、互いの存在を確かめ合うように貪り合っていった。

 しかし、神田は陽菜の吐息を間近に感じながらも、回復していく意識の端で、消えない苦い思いを噛み締めていた。

(俺じゃない……。陽菜さんを本当に救ったのは、あの時現れた佐藤さんなんだ……)

 彼は、自らの無力さと、人知を超えた力で獣を消し去った佐藤への拭い難い劣等感に苛まれていた。だが、自分を英雄のように見つめる陽菜に、その真実を打ち明ける勇気は持てなかった。

 ――二階、201号室。

 戻った佐藤悠を待っていたのは、すでに目を覚まし、薄衣を纏っただけの辻有美・亜美姉妹だった。

「おかえりなさい、悠さん」

 姉の有美が艶やかな笑みを浮かべて歩み寄り、佐藤のTシャツを脱がせる。妹の亜美はベッドの端に腰掛け、熱を帯びた吐息を漏らしながら、潤んだ瞳で佐藤を見つめていた。

 佐藤がベッドに深く腰を下ろすと、待ち構えていた二人が吸い付くように密着した。

「……下で、何があったんですか?」

 亜美が佐藤の膝に顎を乗せ、甘えるような声で尋ねながら、佐藤の太腿を探るような指つきで、最奥の熱源へと這わせていく。佐藤は窓の外、睦み合う二人を見下ろしながら答える。

「神田と陽菜だ。あの女、健太の元から逃げ出した挙句、獣に襲われてな。神田が身を挺して守っていたよ」

「まあ……神田くんが」

 有美が驚いたように目を丸くし、くすりと毒を含んだ笑みをこぼした。

 続けて、佐藤の昂ぶりに顔を寄せ、指を這わせていた亜美が顔を上げ、潤んだ瞳で佐藤を見つめる。

「神田くん、あの日に陽菜ちゃんが勝手に川瀬くんと一緒に連れてきた時は、死ぬほど気まずそうな顔してたのに。お姉ちゃんと付き合わせるために無理やり呼んだ陽菜ちゃんも残酷よね。神田くんが陽菜ちゃんを好きだって、私たちも周りもみんな知ってたのに……当の陽菜ちゃんと川瀬くんだけが気づかないまま付き合っちゃって。かわいそうな神田くん」

 有美は佐藤の首筋に顔を埋めると、耳たぶを熱い舌でなぞり、湿った吐息を吹きかけた。

「悠さんが助けてあげなかったら、その初恋も獣の餌食だったのに。あの子、自分が誰に生かされたかも分からず、偽物の勇者に抱かれて……本当に、哀れで汚らわしい」

 佐藤の衣服が床に脱ぎ捨てられると、亜美は待ちわびた獲物を捉えるように唇を割り、佐藤の剛直な昂ぶりを、その喉の奥深くへと招き入れた。

 喉を鳴らし、抗いようのない質量を嚥下せんばかりに激しく頭を前後させる。零れた蜜が銀の糸を引き、静まり返った室内に甘く湿った水音が執拗に響き渡った。

 有美は佐藤の背後から回り込み、剥き出しの背中に豊かな双丘を押し付けながら、空いた手で佐藤の胸元を執拗にいじくり回した。

「ん……悠さんのここ、もっと熱くしてあげますね……。あの子たちみたいに汚い泥の上じゃなくて、私たちの体で……」

 有美は佐藤の胸の突起を深く含み、舌先で弄びながら微かな痛みを刻み込む。下では亜美が佐藤と視線を合わせ、悦びに歪む顔を晒しながら、その熱量を一心に受け止めていた。佐藤は亜美の豊かな髪を掴み、拒絶を許さぬ力強さで最奥へと楔を打ち込む。亜美は呼吸すら忘れたように、その支配的な質量に身を委ね、恍惚とした表情で主の熱を受け入れ続けた。

「滑稽なものだ。神田は自分がヒーローにでもなったつもりだろうが、結局、俺がいなければ二人ともあの獣の腹の中だった。陽菜も陽菜だ。自分を救ったのが神田だと信じ込み、偽りの愛に縋り付いている」

 佐藤の冷徹な言葉とは裏腹に、室内の温度は急上昇していく。亜美の口内は驚くほど熱く、佐藤の欲望を容赦なく絞り取っていく。

「悠さんがいらっしゃらなければ、誰も救われないのに……本当に、愚かな人たちですね。ねえ、悠さん……あの子、もっと壊してあげましょうか?」

 有美が恍惚とした表情で囁きながら、佐藤の胸元をさらに強く吸い上げ、もう片方の手で自らの秘部を弄り始めた。

「神田は、自分の力不足に気づき始めている。陽菜から向けられる全幅の信頼が、今の彼には致死毒にしかならないだろう。……守る力が伴わない正義感ほど、無残に壊れるものはないからな」

 佐藤は満足げに鼻を鳴らすと、奉仕を続ける双子を見下ろし、邪悪な愉悦を瞳に宿して問いかけた。

「陽菜をどうしたい? このまま神田の所で飼わせるもよし、田中の所に戻して絶望させることも、ここに連れて来て俺たちの玩具にすることだってできる。お前達の『遊び』に委ねるぞ」

 その言葉に、亜美は一度口から佐藤のものを抜き、溢れた蜜を指で拭いながら艶然と微笑んだ。有美もまた、冷酷な悦びを湛えた瞳で妹と頷き合う。

「ふふ……じゃあ、一番あの子が『壊れる』方法を考えてあげなきゃ」

 佐藤は亜美の口内の熱と、有美の肌の柔らかさを全身で享受しながら、これからの生存戦略を冷静に描き直していた。

(支配を広げるなら、次の場所へ移る潮時か)

 佐藤は自らの足元で従順に奉仕する亜美の頭を再び愛撫しながら、この狂った世界を支配するための新たな「王国」への序曲を奏で始めていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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