第57話:純白の終焉と勇者の産声
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前回までのあらすじ:美咲への「支配の受胎」という魂の着床の儀式を経て佐藤を中心とした「王国」の胎動が決定づけられる一方、一階へと叩き戻された陽菜らを見下す佐藤は、智哉の叱責から健太らを救う偽りの慈悲を見せて彼らのプライドを嘲笑い、自らの『支配庫』に潜む最強の変異種が産声を上げる瞬間を静かに見据えていた。
それでは、第57話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、また一つ、停滞した朝が沈殿していた。異世界へと放り出されてから、はや五十日。文明の時計が止まったこの場所では、外界との隔絶が人々の倫理観を加速度的に摩耗させていた。
一階の102号室は、もはや倫理が完全に死滅した「欲の掃き溜め」と化していた。換気の悪い部屋には、不衛生な酸っぱい臭いと、男たちが撒き散らした獣じみた腐臭、そして女たちの絶望が混ざり合い、粘りつくような瘴気となって漂っている。
「おい、香織、陽菜。並べ。俺たちを満足させろ」
健太の濁った声が響く。美咲を奪われた屈辱を埋めるために始まった過剰な蹂躙は、香織と陽菜の精神を修復不可能なまでに摩耗させていた。
凄惨な「宴」は、まず一対一の蹂躙から始まった。健太は年若い陽菜を乱暴に床に組み伏せると、その細い身体に覆いかぶさり、容赦のない衝動を叩きつけ始めた。
「ほら、陽菜。俺に奉仕しろよ。もっと、エロくよぉ!」
健太は自身の胸を陽菜の顔に押しつけ、強引に屈服を命じる。陽菜が涙を流しながら必死に応じる間も、健太の腰は止まらない。肉と肉が衝突する鈍く重い衝撃音が室内に響き渡り、そのたびに陽菜の華奢な体が床の上で無残に跳ねる。
一方、川瀬は恋人であったはずの陽菜を健太に譲り、自身は香織を四つん這いにさせて、その成熟した肢体に自身の楔を打ち込んでいた。
「ハッ、やっぱり若いのは締まりが違うぜ。なぁ川瀬!」
「……ああ、健太さんの言う通りっすね。こいつ、俺と付き合ってた時よりずっといい顔して鳴いてますよ」
川瀬の理性が完全に焼き切れた言葉が室内に響く。一頻り果てると、二人は獲物を入れ替えた。
健太は香織の艶やかな髪を無造作に掴み、逃げ場を塞ぐようにして背後から組み敷いた。
「おら、ベテランならもっと喜ばせてみろよ!」
健太の逞しい腕が香織の腰を叩きつけ、臓腑に響くような音を立てて自身の楔を最奥へと突き立てる。髪を引っ張られる激痛と、内側から破壊されるような蹂躙の苦痛に、香織は声を枯らしていた。
同時に川瀬は、床に座り込む形で陽菜を自身の体の上に乗せていた。
「ほら、もっと動けよ。俺を気持ちよくさせんのがお前の役目だろ?」
陽菜は絶望に顔を歪めながらも、川瀬の胸に細い手を置き、必死に腰を振らされていた。川瀬はそんな彼女の姿を愉しむように、容赦なく陽菜の身体を揺さぶり続けた。
だが、男たちの欲望はさらなる深淵へと加速する。
「川瀬、次はこっち(香織)だ。二人で同時に壊してやる」
健太の合図で、香織への集中的な蹂躙が始まった。健太は香織を乱暴に仰向けにひっくり返すと、渾身の力で突き上げ始めた。同時に、川瀬が香織の顔の横に膝をつき、強引に彼女の唇を奪い、その呼吸を塞ぐ。
「あ、……ぁ、……ふぅ、……ぅ……」
呼吸を奪われ、健太から振り下ろされる衝撃に、香織の『双掌』のスキルはもはや制御を失っていた。無意識に男たちの身体を強く引き寄せ、それがさらなる暴行を誘発する悪循環に陥る。
健太は香織の豊かな乳房を卑しく弄り、その先端に深く歯を立てて快楽を貪る。川瀬は彼女の喉の奥を力任せに蹂躙する。逃げ場のない二重の侵喰。香織の肉体は限界を超えて軋み、瞳からは完全に光が消え、涎と涙が混じり合った液体が床に滴り落ちていく。肉が爆ぜるような鈍い衝撃が何度も繰り返され、彼女の身体は紫色の内出血と男たちの指跡で、見るに耐えないほどボロボロに汚されていった。
やがて、健太は止まらなくなった。
健太は休憩に入る川瀬を尻目に、陽菜と香織を並べて四つん這いにさせた。そして、二人の女を交互に、あるいは重なり合わせるようにして蹂躙し続ける。陽菜の乳房を卑しく舐めとりながら香織を貫き、香織の首筋に歯を立てながら陽菜の秘部を弄ぶ。健太の野卑な咆哮が響く中、二人の女はただの「肉の器」として、果てることのない暴力的な解放を受け入れ続けた。
健太が香織の最奥に自身の熱をぶちまけ、ぐったりとした彼女をゴミのように蹴り飛ばした。
「死にかけの人形かよ。おい、神田。こいつはもう俺と川瀬で何度も抱き尽くして飽きた。次はお前の番だ。たまには男らしいところ見せてみろよ」
健太は下卑た笑いを浮かべ、再び陽菜を引き寄せた。川瀬も「贅沢だぞ、たっぷり汚してやれ」と嘲笑しながら、陽菜の背後に回り込み、新たな蹂躙を開始した。
神田の前に転がされた香織は、もはや呼吸すら危ういほどに衰弱していた。
(このままじゃ……この人は本当に壊れる……)
神田は震える手で、ボロ布のようになった香織の肩に触れた。健太と川瀬は、神田がその場で香織を犯し、自分たちと同じ泥沼に落ちるのを愉悦の表情で待っている。だが、神田の内に、今まで一度も感じたことのない烈火のような怒りが宿った。
神田は、無造作に香織を抱き上げた。
「……おい、神田? どこに連れて行くんだよ」
「……204号室に行く。二人っきりになりたいんだ。ここじゃ、お前らの声がうるさくて集中できないからな」
神田は、自らの内に目覚めつつある「英雄」の断片が放つ、初めての嘘を吐いた。健太は「ハッ、いっちょ前にこだわりかよ」と鼻で笑い、陽菜への凌辱に没頭し直した。
神田は102号室を飛び出し、二階、201号室の扉を必死に叩いた。
「佐藤さん! 佐藤さん、お願いします……!」
扉が開いた。そこには、退廃的な熱気に包まれた部屋の中央、女たちを侍らせて悠然と座る佐藤悠がいた。佐藤は、腕の中で事切れる寸前の香織と、涙に濡れた顔で懇願する神田を冷徹に見据えた。
「……佐藤さん……どうか、彼女を治してください。このままじゃ、彼女が……!」
神田の必死の訴えに、佐藤は無言のまま、神田の腕から香織の身体を奪い去ると扉を閉めた。
部屋の奥。佐藤の傍らにいた美咲が、哀しみを孕んだ微笑みを浮かべて香織に歩み寄った。
「可哀想に……。でも、もう大丈夫よ」
美咲が香織を優しく抱擁した。その瞬間、美咲の指先から、今まで見たこともないほど濃密な『自愛の微光』が溢れ出した。佐藤から受胎した「支配の種」が、彼女の治癒スキルを異次元の領域へと押し上げていた。
淡い光が香織の全身を包み込む。彼女の身体に刻まれていた数多の打撲痕が、男たちの執拗な指跡が、さらに内側の深い傷までもが、見る間に消え去っていく。ボロボロだった髪は艶を取り戻し、魂を削られていた瞳には、静謐な輝きが戻っていった。
再生を終え、部屋を出ようとする香織の背中に、美咲が静かに声をかけた。
「……やはり、ここに留まったら? 少なくともここなら、あんな酷い目には……」
それは、同じ地獄を知る者としての慈悲だった。だが香織は足を止めると、振り返り、今まで見たこともないようなとびきりの笑顔を美咲に向けた。何も言わず、そのまま彼女は部屋を後にした。
扉が開き、完全に再生した香織が現れた。
「香織さん……? 大丈夫、なんですか……?」
「ええ。……もう、何も怖くないわ」
彼女はそっと彼の手を取った。「行きましょう」
「……どこへ?」
「……204号室」
204号室の扉が閉まると同時に、香織は神田の首に優しく腕を回した。再生した彼女の肌は吸い付くように滑らかで、清廉な香りを放っている。
「香織さん……本当に、本当にごめんなさい。僕が弱かったから……」
香織は神田を誘うように、重なり合ったままベッドへと倒れ込んだ。神田は堰を切ったように唇を重ねた。それは健太たちのような乱暴な奪い合いではなく、失った時間を取り戻そうとするかのような、必死で脆い愛撫だった。神田は香織の衣服を丁寧に剥ぎ取ると、露わになった神秘的な肢体に顔を埋めた。
「好きです……。僕が、僕がこれからは君を守るから。もう誰にも、指一本触れさせない」
神田の昂ぶる熱情が、再生したばかりの香織の深奥へと滑り込む。かつて夜の世界で数多の男を知り、直前まで毒に侵されていたはずの彼女の肉体は、佐藤の権能によって、まるで「初め」を知らぬ少女のような瑞々しさを取り戻していた。
神田は彼女の細い肩を掴み、自身の想いを全て叩きつけるように、幾度も深く重なり合った。初めて受ける「愛」を孕んだ衝撃に、彼女の喉からは、甘く切ない旋律が漏れ出した。一度目の頂点に達し、神田は彼女の奥深くに熱い生命の証を迸らせた。だが、情動は収まらない。
「一生、離さない。僕だけの香織さんでいて……っ!」
神田は香織を離さず、互いの存在を確かめ合うように深く抱き合い、貪るように口付けを交わした。舌を絡め、内側まで蹂躙し合うような激しい接吻。神田は一度も解けることなく、繋がったまま、何度も、何度も、魂を削り出すように熱を注ぎ続けた。
度重なる放出を受け、香織の胎内は神田の愛液で満たされていく。受け入れきれなくなった熱が、繋がったままの隙間から、白濁した雫となってドロリと溢れ出した。シーツを汚し、彼女の太ももを伝う液体の熱が、二人の情動をさらに煽る。
「ああ……いいの、神田くん。私を、もっと……」
香織は神田の首に腕を回し、夢心地のままに身を委ねた。それは、壊れかけた二人が作り上げた束の間の聖域だった。
疲れ切り、深い眠りについた神田の腕から、香織は静かにすり抜けた。
彼女はベッドの脇に立ち、月光を浴びて泥のように眠る神田の寝顔を見つめた。その表情に以前の絶望はないが、どこかこの世のものとは思えないほど透き通った決意が宿っている。
彼女は音もなく服を纏うと、一度だけ神田の額に指を触れ、そのまま部屋を出た。
――カチャ、バタン。
ドアの閉まる小さな音。それが神田の眠りを破った。
「……香織、さん……?」
寝ぼけ眼で隣を探るが、そこにはまだ微かな体温が残っているだけだった。神田は跳ね起き、嫌な予感に突き動かされて廊下へ飛び出した。一階の玄関から、漆黒の森へと吸い込まれていく白い影が見えた。
「香織さん! 待って! どこへ行くの!」
神田は裸足のまま、夜の森へ駆け出した。
異世界の森は、夜になるとその本性を現す。木々は蠢く巨人の指のように空を遮り、霧の向こうからは聞いたこともないような獣の咆哮が響いてくる。
香織はふと足を止め、月明かりの下で立ち止まった。彼女の手は、無意識のうちに自身の腹部へと添えられている。神田との愛の結晶を湛えたそこは、同時に、つい先ほどまで健太たちが暴力的に汚し尽くした「地獄の残滓」が深く刻み込まれた場所でもあった。
美咲の治癒で傷跡は消えても、刻まれた事実は消えない。彼女は自分の腹をなでるように、慈しむような、あるいは疎むような複雑な面持ちで、自身の内側に宿る「異物」の重みに思いを馳せているようだった。
「危ないよ! 戻ろう、香織さん!」
神田は必死に彼女の背中を追うが、香織はふらふらとした足取りながら、吸い寄せられるように森の深淵へと進んでいく。
「危ないって! 止まってよ!」
神田の叫びに、香織が足を止めた。
ゆっくりと振り返った彼女の顔には、今まで見たこともないような、とびきり清らかで、一点の曇りもない笑顔が浮かんでいた。
「神田くん。ありがとう。……私を、綺麗にしてくれて」
彼女は慈しむようにそう告げると、再び前を向いて歩き出した。
「……うん。わかったから。危ないから、こっちに来てよ」
神田は泣きそうな声で説得を続ける。だが、香織は止まらない。
「戻ってもさ。また、汚れちゃうでしょ?」
前を向いたまま、彼女は鈴を転がすような、あまりにも澄んだ声で囁いた。「私、綺麗なままがいいんだ」
その瞬間、周囲の空気が凍りついた。ピリつくような、圧倒的な捕食者の気配。
「神田くんのこと、けっこう好き……」
言い切るまえに、香織の体が視界から消えた。
――グシャアッ!
茂みから音もなく現れた、漆黒の体躯を持つ巨大な変異種の獣。その凶悪な顎が、香織の華奢な胴体を文字通り「咥え上げた」のだ。
凄まじい衝撃音が響き、香織の体に巨大な牙が深く、無慈悲に突き刺さる。美咲が再生させたばかりの白い肌から、ドクドクと鮮血が溢れ出し、冷たい地面を汚していく。
「あ……、が……」
神田の思考が凍りつく。だが、今の彼には誓いがあった。武器などない。神田は絶叫とともに、その両の拳を固く握り締め、巨大な獣へと突っ込んだ。
「返せ……! その人を、返せええええええっ!」
神田が獣に肉薄したその時、獣の口の中で香織が僅かに目を開けた。意識が朦朧とする中で、彼女は神田を見つめ、どこまでも安らかな、救われたような微笑みを浮かべて呟いた。
「ごめんね。……もう、いいの……」
直後、獣の顎にさらなる力が加わった。
グチャリ、と骨が砕ける生々しい音が響き、香織の瞳から急速に光が失われていく。肢体は力なく獣の口から垂れ下がった。獣は戦利品である「餌」を咥えたまま、悠然と深い森の奥へと消えていった。
「あ、ああ……あぁあああああああああああかっ!」
夜の森に、神田の魂を削るような絶叫が木霊した。
何もできなかった。またしても、自分はただ見ていることしかできなかった。
憔悴、後悔、そして底知れぬ絶望。
だが、その奈落の底で、神田の血液が沸騰した。
彼の心臓が、かつてないほどの激しさで、世界を拒絶するように鼓動を刻み始める。
――最強クラスのスキル『神の英雄:勇敢なる者』。
最愛の死を代償に、ついに眠れる勇者が、真の覚醒を遂げた瞬間だった。
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