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アパートごと異世界に転移したが、俺だけ収納スキルだったので住民を支配することにした  作者: 飯尾 意緒
第3章 王国への序曲と真の支配者交代

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第56話:支配の受胎と王国の胎動

いつもご愛読ありがとうございます!

前回までのあらすじ:智哉の引率による再探索の裏で、佐藤が森の強力な変異種たちを『支配庫』へ一網打尽に収穫して水源を完全な掌握下に置く一方、二階では結衣をはじめとする女たちが王への狂信的な奉仕に溺れ、アパートは佐藤が生存の鍵を握る「帝国」へと完全に変貌を遂げた。


それでは、第56話をお楽しみください。


※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。

 アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、また一つ、停滞した朝が沈殿していた。異世界へと放り出されてから、はや四十九日。文明の時計が止まったこの場所では、太陽の昇沈だけが残酷に生存の期限を刻み、外界との隔絶はカレンダーの数字を無意味な記号へと変えていた。

 201号室。佐藤は、かつての生活感を一掃したリビングで、新たな支配の形を完成させていた。窮屈だったソファは排除され、代わりに3台のシングルベッドが整然と並べられている。毎朝、魔法のように更新される新品のシーツは佐藤の権能の顕現であり、女たちにとっては彼に選ばれた者だけが享受できる「聖域」の象徴となっていた。

 佐藤はその中央に悠然と腰を下ろしていた。周囲には、金井綾香、鈴木舞香、五十嵐咲希、北川結衣、そして彼を独占しようと執拗に寄り添う辻亜美と有美の双子姉妹が侍っている。彼女たちは一階の夫たちやかつての安寧への未練を完全に捨て去り、主に身を委ねる悦楽に瞳を濁らせていた。

 その中でも、田中美咲の様子は異質であった。

 彼女は佐藤の膝に頭を預け、『自愛の微光』を指先に灯しながら自身の腹部を慈しむように撫で回している。かつて夫の健太から逃れるように震えていたやつれた面影は消え、今の彼女の瞳には狂信的な愛と、自らの内に宿る「変質」への予感が宿っていた。

「……佐藤様」

 美咲が掠れた声で呟き、自らの腹部にそっと手を添えた。

「私……分かってしまった気がするんです。私の中で、何かが確かに芽吹いているのが……」

 その言葉は、期待と熱を孕んで静まり返った部屋に響いた。

 佐藤は無機質な瞳で美咲を見下ろした。彼女の直感は、肉体的な妊娠というよりは、佐藤の「支配」を霊的に受け入れ、その力に当てられたことによる魂の変貌に近い。

「私を……いえ、私の中に宿ろうとしているこの子を、完成させてください」

 美咲は自身のスキルを腹部へと浸透させるように押し当てた。傷を癒やすための淡い光が、今は彼女の内側に宿る「大愛」の胎内回帰を祝福するように、一段と強く、それでいて佐藤の影に染まるような昏い輝きを放っている。彼女は佐藤に触れられているだけで、その精緻な力の一部が自らの中に流れ込み、新たな生命として形を成すのだと確信していた。

 その告白を聞いていた女たちの反応は様々だった。

 金井綾香は、夫という「規律」を捨てた自らの選択を裏付けるように、美咲の腹部を嫉妬と羨望の混じった視線で見つめた。妹の舞香は、生命という絶対的な「支配の証」を渇望する美咲に、戦慄と、自分もそうなりたいという倒錯した欲求を抱いていた。

 そして影から窺う五十嵐咲希は、佐藤の子を宿す意味を敏感に察知していた。それは単なる次世代の誕生ではない。佐藤悠という「王」の血脈が、この閉ざされた箱庭を起点に広がり、新たな支配の秩序を構築する始まりなのだ。

 佐藤はゆっくりと身を起こすと、美咲の顎を掬い上げた。

「……面白いな。蠱毒の壺の中で、新たな芽が出るとは」

 彼の脳裏には、『支配庫』に納めた異形たちの姿が浮かんでいた。漆黒の空間で互いを喰らい合い、最強の一体へと収束していく過程。美咲の内に宿るべき生命もまた、その凄惨な選別を生き延びるに値する強靭な存在になるのだろう。

 一方、一階の102号室では、田中健太が泥濘ぬかるみのような生活を送っていた。

 美咲に完全否定された彼は、残された香織や陽菜を鬱憤晴らしの道具として扱うことで、かろうじて壊れかけた自尊心を繋ぎ止めていた。

「クソッ、どいつもこいつも……! 美咲は俺の女だ! 俺の所有物なんだよ!」

 健太は狂乱し、部屋の隅で縮こまる陽菜の髪を乱暴に掴み寄せた。一度は二階へ逃げた陽菜だったが、佐藤を独占しようとする辻姉妹の苛烈な迫害に遭い、佐藤の慈悲に触れることすら叶わぬまま一階へと叩き戻されていた。救いの手に触れることさえできなかった絶望と、再び始まった蹂躙。陽菜の瞳からは光が失われ、ただ健太の苛立ちを受け止めるだけの空虚な器と化していた。

 アパートの廊下では、金井智哉が力なく座り込んでいた。

 彼はリーダーとして規律を維持しようと必死だったが、その心には拭い去れない違和感が根を張っていた。

 佐藤が同行する探索は、いつも不気味なほどに静かだ。一人で森に入ろうとすれば死の気配に肌が粟立つが、佐藤の背中を追う時だけは、森そのものが王の行幸を阻むことを恐れているかのように息を潜めるのだ。

 堪り兼ねた智哉は、共同スペースに健太たちを呼び出した。

「いいですか、あなた達……。これ以上、このアパートの安全を脅かすなら、出て行ってもらうしかありません」

 健太が顔を跳ね上げる。「あぁ!? 何言ってんだ!」

「……横山さんを死なせたのはあなた達だ。生臭い血の匂いと、無様に逃げ惑った際についたあなた達の体臭を、森の獣ははっきりと記憶しているはずです。もしその匂いを辿られ、ここが連中の『餌場』だと認識されたら……もう一貫の終わりですよ?」

 智哉の理路整然とした、かつ生物的な恐怖を煽る指摘に、健太たちは慌てふためいた。

「ここを出て行くってことは、この森の中に……俺たちに死ねってことじゃねぇか!」

 川瀬が震える声で叫び、反論もできず、絶望的な沈黙が場を支配する。

「智哉さん。いくらなんでも、今彼らをここから追い出すのは酷だ。……少し様子を見ましょう。彼らも反省しているようですし」

 不意に階段の上から聞こえた佐藤の声に、一同が息を呑んだ。佐藤は悠然と階段を下りてくると、怯える健太たちに慈悲深い王のような微笑を向けた。

「佐藤さん……しかし……」

「もし本当に獣たちがここを襲うなら、その時はみんなで戦うか、逃げましょう。今はまだ、仲間を減らすべきじゃない」

 智哉は渋々ながらも矛を収めた。死の淵から救い出された健太たちは、胸の奥で佐藤への強烈な感謝を抱いていた。しかし、佐藤に頭を下げることは、自分たちの敗北を認めることに他ならない。その肥大したプライドが邪魔をして、礼の言葉は喉元でつかえ、ただ気まずそうに視線を逸らすことしかできなかった。佐藤はその滑稽な様子を、道端の石ころを眺めるような冷ややかな目で見つめていた。

 夜。アパートを包む静寂の中で、201号室の熱気だけが異質に高まっていた。

 佐藤は清潔なシーツの敷かれたベッドに寝そべり、後頭部を北川結衣の豊かな双丘に預けていた。彼は時折り横を向いては、眼前に迫る結衣の柔らかな膨らみの頂点を舌で愛で、深く含んだ。

「っ……んあぁっ、佐藤様……。そこ、凄く……っ、あぁ!」

 結衣が弓なりに背を反らし、熱い吐息を漏らして佐藤の頭を抱きしめる。

 同時に、佐藤の両サイドでは金井綾香と鈴木舞香が、その慎ましき花弁を佐藤の両手へと押し当てていた。佐藤は左右の手先を冷徹に動かし、姉妹の最奥へと指を執拗に沈み込ませる。

「ひぅ、あ……っ! お願い、もっと……奥まで……っ!」

 かつての理知的な面影を捨て去り、綾香が腰を震わせて喘ぐ。

「お姉ちゃんに負けたくない……っ。佐藤様、私のことも、壊して……っ!」

 舞香もまた、姉と競い合うように佐藤の指を締め付け、狂おしい声を響かせた。

 その足元では、辻亜美・有美、そして五十嵐咲希が、競い合うようにして佐藤の猛々しき質量に奉仕していた。三つの熱に包まれ、佐藤のそれはさらに威容を増していく。

 最高潮に達しようとする直前、佐藤はゆっくりと身体を起こし、確信を求めて縋り付く美咲を正面から引き寄せた。美咲は震える手で自らの聖域を左右に割り開き、溢れ出す蜜に濡れたそこを佐藤の強靭な楔へと導く。佐藤はそのまま美咲を仰向けに組み伏せると、猛る自身を彼女の深淵へと一気に貫き通した。

 美咲の柔らかな内壁が、佐藤を熱く、かつ執拗に締め上げる。佐藤は美咲の四肢を抑え込み、獣のような衝動のままに腰を叩きつけ始めた。肉と肉が激しく衝突する湿った衝撃音が、静まり返った部屋に絶え間なく響き渡る。

 美咲は狂ったように首を振り、口元からは熱を帯びた吐息が漏れる。佐藤は彼女の唇を奪い、自らの舌を深く突き入れた。美咲もまた、逃がすまいと佐藤のそれに必死に絡め合わせていく。唾液が混じり合い、二人の境界が曖昧になっていく中、美咲の『自愛の微光』が、その律動に呼応するように激しく明滅した。

「あぁ……っ、佐藤様……! 繋がってる……今、私、生きてます……!」

 佐藤は、放出の瞬間、美咲を折れるほど強く抱きしめ、唇を重ねたまま深く口づけた。彼女の腹部に宿るべき「可能性」を現実のものとするように、腰を最後の一際激しく叩きつける。

 次の瞬間、佐藤の最奥から解き放たれた濃密な熱が、美咲の胎内へと直接、抗えぬ濁流となって注ぎ込まれた。

「っ、あぁあああああああ!」

 美咲は全身を弓なりに反らし、佐藤の首筋に指が食い込むほど縋り付いた。自身を満たしていく佐藤の「支配の種」の感触。彼女はその熱さを、一滴たりとも逃さぬように全身で受け入れた。

 美咲の『自愛の微光』が、二人の接合部を起点に爆発的な輝きを放ち、部屋中を白く染め上げる。佐藤の種が、美咲の慈愛と混ざり合い、異世界の理を書き換える。それは、古き世界の崩壊と、佐藤悠を中心とした新たな「王国」の胎動を決定づける儀式となった。

 翌朝、佐藤は一人で窓辺に立ち、厚いガラスの向こうに広がる深く静まり返った森を見下ろしていた。

 アパート『シャン・ソレイユ』は、もはや単なる避難所ではない。

 支配と隷属、そして新たな生命が混ざり合う、異世界の辺境に現れた歪な揺り籠だ。

 美咲への「完了」を超えた「着床」。それは、佐藤の計画を加速させるための、これ以上ない燃料となるだろう。

 彼は、自らの内に広がる『支配庫』の深淵を窺った。そこでは、最強の一体へと成り果てようとしている「獣」が、産声に代わる咆哮を静かに上げ始めていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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次回は明日21時頃に更新予定です!

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