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アパートごと異世界に転移したが、俺だけ収納スキルだったので住民を支配することにした  作者: 飯尾 意緒
第3章 王国への序曲と真の支配者交代

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第55話:蠱毒の選定と森の王

いつもご愛読ありがとうございます!

前回までのあらすじ:智哉の引率による水源確保に沸くアパートの裏で、森の魔物を密かに『支配庫』へ間引いていた佐藤が女たちの過激な奉仕に溺れる一方、欲に駆られて森へ再侵入した一階の男たちは大型獣の襲撃を受け、横山が香織の名を叫びながら連れ去られる凄惨な犠牲を出して破滅的な水不足へと逆戻りした。


それでは、第55話をお楽しみください。


※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。

 アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、濃密な朝靄が立ち込めていた。横山達也という一つの「駒」が失われてから、二度目の夜が明けた。四十七日目。この閉ざされた世界では、死すらも日常という冷酷な歯車の一部に組み込まれていく。昨夜の激しい雨が去った後の森は、潤いを得た喜びよりも、獲物を引きずり込む泥濘ぬかるみの深さを増していた。

 ――遡ること、昨夜。

 共同スペースに集まった一階の住人たちは、通夜のような静寂の中にいた。貴重な水を無断で浪費した挙句に横山を死なせた田中健太と川瀬涼太は、智哉の叱責に反論する気力さえ失っている。しかし、生存の危機は彼らを黙らせてはくれない。

「……明日、もう一度水源へ向かいます」

 金井智哉が、震える声を絞り出した。その瞳には、リーダーとしての義務感以上に、枯渇し始めたペットボトルへの執着が張り付いている。

「横山さんの件は……不幸な事故でした。ですが、最初の探索では何も起きなかった。つまり、活動時間帯を厳守し、警戒を怠らなければ、水源は安全に確保できるはずです。明日は……一人でも多い方がいい。佐藤さんにも同行をお願いしてあります」

 智哉の言葉は、規律への執着を装いながらも、実のところ佐藤悠という「異質な存在」を盾にしなければ一歩も外に出られないという、己の無力さを露呈させていた。

 二階の201号室に智哉が這いつくばって懇願に来た際、佐藤は、規律を説きながら足元で震えるこの男を「無能な理想主義者」として冷たく見下し、無機質な承諾を与えた。

 智哉が去った後の201号室では、一階の悲壮感とは無縁の、退廃を極めた光景が広がっていた。

 佐藤はソファに深く腰掛け、女たちの献身を悠然と受け入れている。

 彼の右足元では金井綾香が跪き、至宝を扱うようにその指を一本ずつ口に含んでは、丹念に舌で転がしていた。かつて頼りにしていた夫への敬意など微塵も残っていない。彼女の瞳は支配される悦びに濁り、ルールの遵守に汲々とする智哉の姿を「滑稽な道化」と断じていた。

 左足には姉の真似をするように鈴木舞香が跨り、柔らかな内腿を佐藤の脚に直接擦りつけながら、その逞しい大腿部を熱っぽく愛でている。姉への対抗心と佐藤への隷属心が入り混じり、彼女の喉からは満足げな吐息が絶え間なく漏れていた。

 佐藤の右手は、田中美咲の豊かな膨らみを強く揉みしだきながら、彼女の唇を貪っている。夫である健太を完全に否定し、佐藤の所有物であることを選んだ彼女の奉仕には、狂信的な純度が宿っていた。佐藤の左手は、背後に控える五十嵐咲希の最奥へと指を潜り込ませ、その内側を直接侵食するように弄り回している。咲希は主の指がもたらす蹂躙に身を震わせ、苦悶とも歓喜ともつかぬ声を漏らしていた。

 佐藤の目の前では、辻亜美・有美の双子姉妹が、佐藤の視線を浴びながら互いの肢体を深く絡ませ、秘部を密着させるような淫らな演舞を披露させられている。

 その退廃の輪の中心、佐藤の股間には北川結衣が深く潜り込んでいた。彼女は付け根から脈打つ芯へと至る境界を執拗に舐め上げ、十分な熱を佐藤に与えた後、溢れ出す蜜を潤滑剤にして、自身の秘所へと佐藤の怒張を導いた。

 佐藤は座ったまま、微動だにしない。他の女たちに囲まれ、その奉仕を享受する絶対者のままでいた。結衣は自ら腰を落とし、一点の曇りもない覚悟で佐藤の剛直を根元まで呑み込んでいく。

「……んっ、はぁ……佐藤様……ッ」

 結衣は佐藤の膝に手を突き、自らの意思で腰を激しく上下させ始めた。周囲に他の女たちがいる中で、独占的に主を内側に招き入れている優越感が、彼女の動きをより大胆に、より切実なものへと変えていく。内壁を削り取るような剛直の感触、粘膜同士が擦れ合う淫らな水音に悦楽の表情を浮かべ、彼女は佐藤からの「放出」を誘うように、必死に腰を振り、締め付けを繰り返した。

 夜が明け、再探索の朝。北川結衣が用意した冷たい水で喉を潤し、佐藤は小さく口角を上げた。横山の死は、この小さなコミュニティにおける「力」の意味を再定義させた。佐藤がいなければ生存すらままならないという事実が、女たちの依存心をより病的なものへと変質させていた。

「さて……そろそろ、本腰を入れて『道』を固めるとするか」

 佐藤の低い声が部屋に響く。それは、水源である小川の完全な確保と、その周囲に潜む脅威の排除を意味していた。

 未だ星の残骸が空にへばりつく早朝。再探索の隊列は、前回よりもさらに重苦しい沈黙に包まれていた。金井智哉は憔悴しきった顔を歪ませ、震える手で道標を確認している。田中健太は毒気を抜かれたように大人しく、川瀬と神田も周囲の物音に過剰なまでに反応していた。

 だが、佐藤が先頭に立って歩みを進めるにつれ、奇妙な現象が再び顕著になった。

 森が、黙るのだ。

 耳をつんざくような原生生物の声が、佐藤が近づくたびに霧が晴れるように消えていく。智哉たちはそれを「運が良い」と信じようとしていたが、最後尾を歩く神田だけは、佐藤の背中に向けられる「森そのものの畏怖」を感じ取っていた。佐藤という王が通る場所だけ、生態系の理が書き換えられているような、異質な静寂。

 やがて、一行は再びあの小川へと辿り着いた。陽光を反射して輝く水面を見た瞬間、男たちの顔にようやく生気が戻った。

「水だ……! よし、これなら当面は……!」

 智哉が歓喜の声を上げ、皆が競い合うようにして水を浴び、容器を満たしていく。死への恐怖から一時的に解放された彼らは、川辺で束の間の休息に浸っていた。

 その喧騒から離れるように、佐藤は一人、森の奥へと足を踏み入れた。

「佐藤さん? どこへ……」

 智哉が不安げに声をかけたが、佐藤は振り返ることもなく、手のひらを軽く振って制した。その背中を、影の中から五十嵐咲希が『淡影』のスキルで密かに追っていた。

 川辺の喧騒が聞こえなくなるほど奥へ進んだ場所で、佐藤は足を止めた。

 そこには、待ち構えていたかのように「それ」がいた。

 横山を容易く屠ったものと同種の、あるいはそれを凌駕する威容を誇る強力な変異種たち。山のような巨躯と、血に飢えた双眸。それが一体ではなく、包囲するように複数現れた。

 だが、佐藤は眉ひとつ動かさず、むしろ慈しむような笑みを浮かべて一歩踏み出した。

「待たせたな。お前たちが、今のところの『最高鮮度』か」

 獣たちが咆哮を上げる暇さえなかった。佐藤の影が不自然に伸び、意思を持つ生き物のように足元を絡め取る。スキル『支配庫ドミネーション・ストレージ』。佐藤がその権能を解放した瞬間、襲いくるそれらは抵抗する術もなく、漆黒の空間へと呑み込まれていった。

 咲希は、木の影で息を呑んだ。

 佐藤の周囲には、一匹だけではない。森の深淵から引き寄せられるように、同格の威容を誇る異形たちが次々と姿を現していた。だが、そのどれもが佐藤の前に出た瞬間、絶対的な上位個体を前にした捕食対象のように、その動きを凍らせていた。

 佐藤は愉悦に浸るように、次々とそれらを『支配庫』へと納めていく。彼の内側にあるその空間は、今や巨大な監獄であり、同時に新たな軍勢を飼い慣らすための揺り籠でもあった。

(まずはこれらを飼い慣らし、手駒とするか。そして……)

 佐藤の意識は、庫内の凄惨な選別をも俯瞰していた。雑多に収納された下位の異形たちは、生き延びるために互いの肉を喰らい合う凄惨な「蠱毒」の儀式を強いられている。凄まじい咀嚼音と、断末魔の叫び。それは最強の一匹を選定するための過程だった。

 咲希は震えていた。本能的な恐怖に全身が粟立ちながらも、自身の心臓が激しく、熱く鳴っている。

 自分たちが必死に生き延びようとしているこの森を、佐藤悠という男はただの「素材集めの場」として支配している。彼の異常性、その深淵を垣間見てしまった彼女は、もはや元の世界に戻ることなど望んでいなかった。この暴力的なまでの強者こそが、彼女にとっての新たな「摂理」となったのだ。

 川辺に戻った佐藤の顔には、聖者のような穏やかな笑みが浮かんでいた。

「佐藤さん、無事でよかった……! 何かありましたか?」

 智哉が駆け寄ってくる。佐藤は首を横に振り、遠くの森を見据えた。

「いや、何もない。……ただ、少しだけ空気が澄んだ気がするだけだ」

 その言葉通り、森全体に異様な静けさが広がっていた。脅威となる個体たちが消え去り、森そのものが佐藤を「最上位の天敵」と認識し、息を潜めているかのような静寂。

 アパートへの帰路、佐藤は自らの内に蠢く「最強の種」の拍動を感じていた。選別が進み、最後の一体が完成する時、それはこの森だけでなく、その向こう側にある王国さえも震え上がらせる牙となるだろう。

 201号室の扉を開ければ、そこには彼女たちが待っている。

 佐藤は、支配の快感と蠱毒の成果を噛み締めながら、甘美な地獄へと帰還した。

(これで水源は俺の掌握下だ。安全を担保するも、再び危機に晒すも俺の匙加減一つ……。いい形になってきたな)

 アパート『シャン・ソレイユ』。

 そこはもはや避難所ではない。

 佐藤悠という王が統治する、甘美で残酷な帝国の礎となっていた。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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次回は明日21時頃に更新予定です!

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