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アパートごと異世界に転移したが、俺だけ収納スキルだったので住民を支配することにした  作者: 飯尾 意緒
第1章 異界転移と水の隷属

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第5話:蝕まれる日常、綻ぶ仮面

いつもご愛読ありがとうございます!

前回までのあらすじ:家族のために水を求めたエリート妻の綾香が、悠から「肉体」という対価を突きつけられ、屈辱的な行為に耽りながらも、水と引き換えに得た背徳的な快楽に溺れ始める。

それでは、第5話をお楽しみください。


※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。

 101号室のドアの前で、金井綾香は立ち止まった。

 カーテンの隙間から漏れる昼間の日差しが、無機質な廊下を白く焼き、アパートを包囲する巨木の影が不気味な格子模様を描いている。

 膝が笑っていた。佐藤悠の暴力的なまでの腕力と、喉の奥まで蹂躙したあの熱い感触が、皮膚の表面にピリピリとした痺れのように残っている。

 彼女は乱れた髪を震える指先で整え、ブラウスの襟元を、悠の大きな掌の痕がついた喉元が隠れるまで引き上げた。自身の蜜と男の唾液が混じり合って汚れた下半身。歩くたびに太ももの内側を伝う不快な粘り気を無視して、彼女は深く、深く息を吐いた。

 手には、対価として得た一本のペットボトルが握られている。

 カチャリ、と極力音を立てずに鍵を開け、中に入った。

 201号室から持ち帰った一本のペットボトル。その貴重な「生命のしずく」は、妹の舞香と智哉の喉を潤し、今は空になって床に転がっている。

 智哉は「どこで手に入れたんだ」と一度は尋ねたが、綾香が「佐藤さんが、予備を少しだけ分けてくれたの」と力なく微笑むと、それ以上の追及はしなかった。公務員として培ってきた彼の理性が、真実を知ることを拒絶したのかもしれない。

 

 ――そして、夜が来た。

 101号室の寝室。金井綾香は、隣で眠る夫・智哉の規則正しい寝息を聞きながら、暗闇の中で目を見開いていた。

(……熱い)

 エアコンの止まった室内は酷暑のはずなのに、彼女が感じている熱は、外気によるものではなかった。

 佐藤の部屋で、彼に跪かされ、その冷徹な眼差しに晒されながら味わった屈辱。そして、喉元まで流し込まれた水の、あの異常なまでの甘美さ。

 智哉は、連日の探索と慣れないサバイバル生活による極限の疲労から、泥のような眠りに沈んでいる。真面目な彼は、この地獄のような状況でもルールを重んじ、必死に家族を守ろうとしていた。だが、その隣で妻の綾香は浅い呼吸を繰り返し、激しく身を震わせていた。

(身体が……言うことを聞かない……っ)

 今の綾香が求めているのは、夫の優しい言葉でも、頼りない正義感でもなかった。あの佐藤の、感情を削ぎ落とした氷のような眼差しだ。

 たまらず、寝巻きの隙間から自身の肌に指を這わせた。佐藤に執拗に触れられ、あるいは乱暴に扱われた場所をなぞるたび、脳裏に彼の低い声が蘇る。

 下腹部を突き上げるような疼き。指先がさらに深い場所へ、禁忌の入り口へと吸い寄せられたその時――。

「……ん、綾香……」

 智哉が寝返りを打ち、無意識に彼女の肩に手を置いた。

 綾香はビクリと肩を揺らし、指を止める。かつては安心の象徴だった夫の掌が、今はひどく無機質で、物足りなく感じてしまう。

(……ダメ。ここで智哉さんに気づかれたら、すべてが壊れてしまう)

 信頼しきっている夫の隣で、自分を蹂躙した男を思い浮かべ、自らを慰める。その背徳感は毒のように彼女を蝕むが、同時に耐え難いほどの悦楽を伴って彼女を突き動かした。

 脳裏を埋め尽くすのは、自分を物のように扱い、傲慢に支配した佐藤の、あの無骨な腕の感触。彼に強引に広げられた太ももの内側が、思い出される刺激に震えた。

「あ……っ……」

 夫に聞こえないよう、綾香は枕に顔を押し付けて声を殺した。

 かつて味わったことのないような、深い悦楽の波が押し寄せる。それは、社会的な地位や道徳をすべて投げ打ち、ただの「雌」として扱われたことへの、歪んだ肯定だった。

 完璧主義で「しっかり者」と頼られてきた彼女の仮面が、音を立てて剥がれ落ちていく。

 やがて、極限の緊張から解放された綾香は、乱れた息を整えながら天井を見上げた。

 身体を包む汗が、窓の外から差し込む不気味な紫色の月光に反射して真珠のように光っている。

 ふと視線を落とすと、智哉が眠りの中で何かを呟いた。

「……明日には、助けが……来るよな……綾香……」

 その弱々しい言葉を聞いた瞬間、綾香の胸の中に、冷たい「何か」が芽生えた。

 もはや、救助が来るかどうかなど、彼女にとってはどうでもよくなっていた。

 明日もまた、あの男の部屋へ行かなければならない。水を、あの甘い水を、そしてあの屈辱を再び味わうために。

 綾香は夫の手をそっと退けると、一度も振り返ることなく、再び目を閉じた。

 自分が確実に「堕ちて」いくのを確信しながら、暗闇の中で自嘲気味な笑みを浮かべて。

 その一方で。

 同じ部屋の隅、ソファで眠ったふりをしていた妹の舞香は、暗闇の中で姉の微かな嬌声と、漂い始めた色濃い匂いを、静かにその鼻腔で捉えていた。

 営業職として培った鋭い観察眼が、姉の変貌を冷徹に分析し始めている。

(お姉ちゃん……何をしてるの?)

 舞香の瞳に宿ったのは、軽蔑か、それとも姉が独占している「何か」への剥き出しの好奇心か。

 静寂に包まれた101号室で、新たな波乱の種が静かに根を張ろうとしていた。

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