第33話:森の牙、拾われた影
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前回までのあらすじ:佐藤の庇護下にある者たちへの嫉妬と劣等感に駆られた健太は美咲の返還を強硬に迫るも拒絶されて陽菜と香織への陵辱を激化させるが、その一方で密かに水源を発見した金井智哉がアパートの均衡を揺るがす希望の芽生えを見せる。
それでは、第33話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、25度目の陽光が差し込んでいた。それは暖かさを伴わない、ただ無慈悲な明瞭さを持って世界を照らす冷たい光だ。昨晩、森の奥から響いた狼の遠吠えは、外界から隔絶されたこの箱庭が、着実に死の領域へと同化しつつあることを告げていた。
1階の廊下には、もはや隠しようのない腐敗の臭いが染みつき、人々の絶望が壁の染みとなってこびりついている。
104号室の五十嵐咲希は、手元に残った数粒の乾パンを見つめ、絶望に身を震わせていた。ネグレクトという過酷な環境で育った彼女にとって、飢えは身近な痛みだった。しかし、この閉鎖空間での飢餓は、緩やかな死の宣告に等しい。彼女は意を決し、藁をも縋る思いで2階の201号室――圧倒的な物資を持つと噂される男、佐藤悠の元へ向かうことを決めた。
実は、彼女が佐藤の部屋を訪ねるのはこれが初めてではない。
持ち前のスキル『淡影』を使い、彼女は幾度か201号室へ忍び込み、置かれていた食料や水の施しを勝手に受けていた。最初に見つかった時、佐藤は咎めることも追い出すこともしなかった。2回目以降、彼はこちらの存在に気づいているはずなのに、声すらかけなくなった。その奇妙な黙認が、今の彼女にとって唯一の救いだった。
今日も影に溶け込むようにドアを開け、廊下へ滑り出した。だが、あまりの空腹による眩暈が、彼女の集中力を削いでいく。
「おい、ありゃ104号のガキじゃねえか。どこへ行く気だ?」
運悪く、廊下で酒の切れた苛立ちをぶつけ合っていた田中健太が、獲物を見つけた獣のように目を細めた。横山と川瀬が、卑猥な笑みを浮かべて追随する。
咲希は心臓が跳ね上がるのを感じ、必死に階段へ向かって駆け出したが、男たちの足取りは早かった。
「キャアアッ!?」
短く鋭い悲鳴が、薄暗い階段付近に弾けた。健太の分厚い掌が咲希の細い手首をひっ掴み、そのままアパートの裏手にある森の縁へと強引に引きずり込んだ。
「はな、離して……お願い……っ!」
「うるせえよ。お前、佐藤の野郎に媚び売りに行くつもりだったんだろ? だったら先に俺たちがたっぷり『可愛がって』やるよ」
健太の声には、佐藤への逆恨みが混じった残酷な響きがあった。
「おい、川瀬、足を押さえてろ。横山、お前は両手だ。暴れさせんじゃねえぞ」
命じられるまま、男たちが咲希の自由を奪う。湿った土の冷たさと、男たちの獣のような体温が肌に伝わる。あらわになった彼女の瞳は、逃げ場のない絶望に大きく見開かれ、涙が溢れ出した。
健太は歪んだ笑みを浮かべ、乱暴にブラウスのボタンを弾き飛ばした。森の冷気が剥き出しの肌を撫でるが、それ以上に男たちの執拗な視線が彼女を責め立てた。
健太は強引に顔を近づけ、咲希の唇を奪おうと食らいついた。咲希は激しい嫌悪感から狂ったように首を振って拒絶する。何度も顔を背け、頑なに許そうとしないその抵抗に、健太は鼻を鳴らした。
「ふん、強情なガキだ。だが、こっちはどうかな?」
健太は、露わになった咲希の胸元に顔を埋めた。片方の先端を乱暴に弄り、もう片方を大きな手で力任せに揉みしだく。
「ひっ、あ……やめて……っ!」
「おい、見てろよ。こんなに震えてやがるぜ」
健太は羞恥を煽るように執拗に肌を食み、転がした。少女の尊厳を踏みにじるように満足げな吐息を漏らす。
「最高だな。お前、見た目によらず最高に美味いぜ」
健太の手はさらに下へと伸びた。薄い布地を力任せに引き裂くと、無防備に晒された肢体の奥へと、すぐさま野卑な舌を這わせた。
「……っ、あ……あぁっ!」
ドロリとした感触が、咲希の心を土足で踏み荒らしていく。健太は執拗にそこを割り込ませ、未熟な肌を容赦なく刺激した。自分を辱める男の顔、そしてそれを愉しげに眺める他の男たちの卑猥な視線。肌を噛み切るような激しい吸い付きに、咲希の意識は白く霞み始めていた。
田中健太は、いよいよ仕上げとばかりに自身のベルトを外し、下卑た昂ぶりを剥き出しにした。限界まで猛ったその衝動を、咲希の内部へとねじ込もうとした、まさにその時だった。
森の木陰から、冷徹な観察者の影が動いた。佐藤悠だ。
彼は手に持った「目に見えない鍵」を回すかのように、自らの『支配庫』の扉を解き放った。
「――出ろ」
佐藤の短い呟きと共に、虚空から異常な光景が溢れ出した。以前捕獲し、生かしたまま保管していた「角ウサギ」の群れだ。
パニックに陥った獣たちは、鋭い角を突き出し、目につく方向へ向かって猛然と突進を開始した。その先には、咲希を囲んでいた田中たちがいた。
「ぎゃああっ!?」
最初の一撃は、無防備に腰を下ろしていた川瀬の脇腹だった。続いて、横山の背中にも鋭い角がその皮膚を深く裂いた。
「な、なんだこれ!? うわあああっ!」
狂ったように跳ね回り、行く手を阻むものを次々と突き倒していく獣の群れ。田中たちは咲希への加害を忘れ、パニックに陥った。ズボンを下げ、欲望を剥き出しにしていた健太は最悪だった。足元をもつれさせて転倒し、そこへ容赦なく角ウサギたちが殺到した。
「いってぇ! やめろ、来るな!」
健太はあちこちを体当たりされ、無様に悲鳴を上げた。三人は半狂乱になって咲希を置き去りにし、無様にズボンを跳ね上げながら逃げ出した。
土の上に残された咲希。服を剥ぎ取られ、無惨に乱された姿のまま、彼女は震えながら横たわっていた。そこへ、一羽の角ウサギが彼女に向かって跳躍する。
「……っ!」
咲希が恐怖に目を閉じた瞬間、眼前に迫っていたはずの獣が、掻き消えるように消失した。佐藤が、彼女にぶつかろうとした個体だけを即座に再収納したのだ。
静寂が戻った森。
佐藤はゆっくりと歩み寄り、自分の上着を脱ぐと、震える咲希の肩に掛けた。
「……拾う価値はあるようだな。五十嵐さん」
その温度のない声は、絶望の淵にいた咲希にとって、唯一の福音だった。彼女は、羞恥や恐怖よりも先に、この圧倒的な力を持つ男への強烈な帰依心を感じ始めていた。
佐藤は咲希を抱き上げ、静かに201号室へと戻った。
部屋には美咲がいた。連れてこられた咲希の姿を見てすべてを察したが、そこには佐藤に選ばれた者同士の、妙な連帯感があった。
「美咲、彼女を休ませてやれ」
佐藤がそう告げると、咲希は彼の腕の中から離れるのを拒むように、さらに力を込めた。
「行かないで……。一人は、もう嫌……」
その瞳には、救済を求める依存の光が宿っていた。外の世界の地獄に耐えるよりは、この男の所有物になることを選んだのだ。
佐藤は、咲希の背中を静かに撫でながら、心の中で淡々と計算していた。
「わかった。もう誰も君を傷つけない。……だが、それには代償が必要だ。理解できるね?」
耳元で囁かれた言葉に、咲希はただ、力強く頷いた。
一方、1階の廊下。命からがら逃げ戻ってきた健太たちは、手も足も出なかった事実に、これまで以上の憎悪を燃え上がらせていた。
「おい、香織、陽菜! さっさとこっちへ来い!」
健太は足元の二人を怒鳴りつける。自身の傷が疼くため自分からは動こうとせず、健太はソファに深く沈んだまま、二人の女に命じた。
「お前ら二人で、俺を『満足』させろ。……陽菜、お前はこっちだ。香織、お前は下だ。さっさと動け!」
健太の咆哮に、二人は弾かれたように動き出した。陽菜は健太の膝の上に這い上がり、香織はその足元に跪く。
健太は、自分に従う女たちの肉体を汚い言葉で罵りながら、その動きを強要した。
「ほら、もっと腰を振れよ! それが『王』に対する態度か!? 香織、お前もだ。もっと深く、喉を鳴らせ!」
健太の大きな手が、陽菜の髪を掴んで無理やり自分の顔へと引き寄せる。傷の痛みを忘れるかのように、激しい衝撃が陽菜の身体を揺らした。陽菜は悲鳴を飲み込み、健太の欲望を必死に受け入れ、香織もまた、健太の苛立ちを一身に浴びるように自身の役割を完遂させられる。
健太は、自分からはほとんど動かない。しかし、二人に必死の奉仕を強いるその瞳は、怒りと情欲で濁りきっていた。肉と肉がぶつかり合う鈍い音と、女たちの漏らす嗚咽が、一階の淀んだ空気の中に響き渡る。
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