第30話:裏切りの対価
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前回までのあらすじ:川瀬は健太らに生存と安全を保障してもらう代償として、信じ切っていた恋人の陽菜を102号室へ連れ込み、凄惨な輪姦の供物として差し出すことで、彼女の心に決定的な絶望と不信の楔を打ち込み、自身の人間性を完全に喪失させる。
それでは、第30話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、二十二度目の朝を告げる重苦しい光が差し込んでいた。窓の外に広がる原生林は、住人たちの道徳心が摩耗していく速度に合わせるかのように、その深淵を不気味に広げ続けている。
102号室。そこはもはや、力を持つ者が欲望を貪り、弱者がその尊厳を差し出すための「玉座」へと変貌していた。
「……あ、ぅ……っ、ん、あ、あ……っ! ひ、ぅ、あ、あぁっ!」
ベッドの上で、陽菜は田中健太の逞しい肉体に組み敷かれ、杭を打つような無慈悲な衝撃にただ翻弄されていた。昨日、最愛の恋人であった川瀬に「資源」として売られたことで、彼女の中の何かが決定的に壊れていた。陽菜の柔らかな胸元には、かつての愛の痕跡を塗りつぶすかのように、健太が獣のごとく食らいついた生々しい痕が幾つも刻まれている。
健太は陽菜の髪を乱暴に掴んで顔を仰け反らせると、下卑た笑みを浮かべてさらに深く腰を叩きつけた。
「おい、陽菜。お前んところの部屋にいる双子……辻の姉妹だったか。あいつら、いい身体してそうじゃねえか」
「あ、ぅ、ぐ……っ、な、に……言っ、あ、あぁっ!」
肉体が繋がった状態で放たれた健太の言葉に、陽菜の思考が一瞬白濁する。しかし、健太は彼女の困惑などお構いなしに、どろりとした欲望を言葉に乗せて吐き出した。
その言葉を背後で聞いていた横山達也が、下卑た笑い声を上げて同意する。彼は香織を道具のように扱い、その背後から荒々しく自身を突き入れ、肉がぶつかり合う鈍い音を響かせながら腰を振った。
「いいっすね健太さん。双子同時なんて、想像するだけで股間がゾクゾクしますぜ。おら、香織、お前ももっと声出せよ!」
横山は香織の肢体を真っ赤に腫れ上がるほど強く叩き、己の昂ぶりを最高潮へと高めていく。一方で、その傍らで香織の口内を蹂躙し、無理やり自らの熱量を呑み込ませていた川瀬涼太が、おもむろに顔を上げた。
「ん、んんーっ! ……ぅ、ぐ、ぅ……っ!」
喉の奥を突かれる衝撃に、香織はくぐもった悲鳴を漏らすことしかできない。数日前まで「陽菜は俺の宝物だ」と囁いていた川瀬の瞳には、今や卑屈な野心と底なしの渇きしか宿っていなかった。彼は、健太に蹂躙され絶叫を漏らす元恋人の姿を特等席で眺めながら、自らの新たな欲望をリーダーにぶつけた。
「健太さん、俺、実は田中さんの奥さん……美咲さんとやりたいんっすよ」
自分の妻を差し出せという要求に対し、健太は不快感を示すどころか、商談でもするかのように鼻で笑った。
「あ? 美咲か。……まあ、お前が新しい『資源』……つまり辻姉妹を供給してくれるんなら、褒美として考えてやらんでもないぜ。――おら、出るぞ!」
「あ、ああぁっ! ……ん、んん、あぁーーっ!!」
健太は陽菜の腹を強く圧迫し、最深部を貫く衝撃とともに、どろりとした執着を彼女の内奥へと解き放った。遅れて横山も、香織の背中にしがみつきながら荒い呼吸とともに解放し、川瀬は香織の喉奥へと己の欲望を無理やり流し込んだ。
事後の虚無感が漂う中、健太は陽菜の頬を軽く叩いて促した。
「わかったな、陽菜。お前が辻姉妹を連れてくれば、お前への扱いはもっとマシにしてやる。水も、飯もたっぷりやるぞ」
「……わかった。私、呼んでくる……」
陽菜が力なく答え、ふらふらと立ち上がろうとしたその時だった。健太は満足げな息を吐きながら、まだ欲望の名残を宿した箇所を陽菜の目の前に突き出した。
「わかったなら、ほら。綺麗にしろや」
命じられるまま、陽菜は屈辱に震えながら膝をついた。彼女の視界を、自分を汚した男の無機質な質量が覆う。
陽菜は震える舌を伸ばし、自らの肢体を濡らす不浄な痕跡と健太の放った濃厚な「オス」の臭いが混じり合った、熱い粘性を舐めとった。涼太と愛し合っていた時ですらしたことのない、動物的な服従。犯された痕跡を消し去るように舌を動かすたび、自分が一人の女性から、ただの便利な掃除道具へと成り下がっていく感覚に、陽菜の心は悲鳴を上げた。
(なんで……どうして、私がこんな……っ)
「……チッ、違うんだよ。もどかしいんだよ、お前は」
不意に、健太の太い指が陽菜の後頭部を掴んだ。抗う間もなく、陽菜の口内へとその熱量が強引に一気に突っ込まれた。
「んぐぅっ!? げほっ、ん、んんっ……!?」
肺にまで届きそうな暴力的な深さで押し込まれ、激しく蹂躙される。陽菜の嗚咽は声にならず、鼻から漏れる苦悶の吐息と、喉を鳴らす生理的な音が室内に響いた。
涙が頬を伝い、床に落ちる。昨日まで愛していた男は、すぐ傍らで別の女を蹂躙し、自分のこの惨状を嘲笑うように眺めている。喉の奥を突かれるたびに込み上げる嘔吐感と、窒息しそうな苦しみの中で、陽菜は「自分」という存在が粉々に砕け散っていく音を聞いた。
「……ふぅ。よし、行ってこい」
解放された時、陽菜は激しく咳き込みながら床に這いつくばった。口元を拭う気力もなく、ただ濁った瞳で一点を見つめる。
陽菜の瞳には、昏い決意が宿っていた。自分がこれほどまでに汚され、壊されたのなら、仲の良かった辻姉妹も同じ泥沼に引きずり下ろせばいい。連帯責任という名の免罪符を求めて、彼女は泥を啜るような重い歩みで204号室へと向かった。
1階から2階へと続く階段を上がる足取りは、鉛のように重かった。一歩踏み出すたびに、内側に残った支配の痕跡が溢れ出し、自分が「人間」から「容器」へと成り下がった事実を突きつけてくる。廊下のカビ臭い空気と、どこかの部屋から漏れる啜り泣きの声が、彼女の神経を逆撫でした。
204号室のドアを開けた陽菜を待っていたのは、静まり返った部屋の空気と、不安げに身を寄せ合う辻姉妹の視線だった。
「……ねえ、有美、亜美。ちょっと大事な話があるんだけど」
陽菜の声は、絶叫のせいでガラガラに枯れていた。彼女はベッドの端に座り、乱れた衣服を整える気力もないまま、健太たちから提案された「取引」を二人に切り出した。田中健太に従えば、貴重な水も食料も手に入ること。自分一人ではもう限界であること。そして、二人も一緒に来れば、もっと良い待遇が受けられるということ。
「『協力者』? 陽菜、それってどういう意味か分かって言ってるの?」
姉の有美は、冷徹な瞳で陽菜を見つめた。陽菜は壊れた人形のように笑いながら、健太から「報酬」として与えられた、中身の入ったペットボトルを差し出した。
「亜美だって、喉乾いてるでしょ? 田中さんは、辻姉妹なら大歓迎だって言ってたよ。痛いのは最初だけ。あとは、何も考えなきゃいい。そうすれば、お水も飲めるし、死ななくて済むんだよ?」
陽菜の震える手が、怯える亜美の肩に伸びる。しかし、その指先が触れる直前、鋭い破裂音が室内に響いた。有美が、陽菜の頬を全力で叩きつけていた。
「目を覚ましなさいよ! 陽菜! 親友を、あんな獣たちの餌食にするっていうの!?」
「うるさい……! 綺麗事言わないでよ! 有美だって死にたくないんでしょ!? 田中さんは、このアパートの支配者なのよ!」
「……最低ね。あんたは、この環境に魂まで壊されちゃったのね」
有美は失望しきった表情で首を振ると、泣き出した亜美の手を強く引き、部屋を飛び出した。一人残された陽菜は、床に這いつくばったまま、嗚咽を漏らした。
その頃、廊下の物陰では、神田英雄がその一部始終を盗み見ていた。漏れ聞こえてくる「売却」という言葉、陽菜の叫び、辻姉妹が逃げ出す足音。それらすべてが、彼の歪んだ欲情を刺激する。神田は自室に戻ると、荒い息をつきながら、暗がりの中で再び自らの衝動をなだめ始めた。
失意のまま、陽菜は再び1階の102号室へと戻った。
「……あ、あの……田中さん……失敗、しちゃって……」
報告を聞いた健太はのそりと立ち上がり、陽菜の前に立った。彼は陽菜の頬にゆっくりと大きな手のひらを当て、耳元で低く囁いた。
「……なぁ、陽菜。罰は何がいい? ん?」
健太は手のひらを離し、陽菜の目の前でパチン、パチンと頬を叩く素振りを見せた。叩かれる恐怖が頂点に達した瞬間、陽菜は生存本能のままに膝をついた。
「ごめんなさい……っ! 何でもします、何でもするから……っ!」
陽菜は震える手で健太の身なりを乱すと、自ら進んでその熱量を口に含んだ。さっき受けた恐怖から逃れるように、一気に喉の奥深く、えずく寸前までその質量を飲み込む。
「ん、んんーっ! んぅ……っ!!」
必死の奉仕を続ける陽菜だったが、健太の苛立ちは収まらない。彼は陽菜の口から自身を引き抜くと、髪を掴んで彼女の顔面に容赦のない平手を叩きつけた。
――パァァンッ!!
陽菜は床に転がり、口の中に鉄の味が広がるのを感じた。川瀬の目には、かつての恋人への同情など微塵もなかった。
「使えねえ女だな。おら、失敗した分、身体で返せよ。今度はもっと深く、お前の足りない頭に直接叩き込んでやる」
健太は這いつくばる陽菜を床に押し倒し、拒絶する権利を奪って再び彼女の内奥へと剥き出しの欲望を叩き込んだ。
「ひ、ぅ、あ、あぁっ! ん、あ、あぁーーっ!!」
内側を蹂躙される衝撃。シーツを血の気が引くほど強く握りしめ、陽菜は絶叫を上げた。横山の下卑た笑い声と、平然と水を飲む川瀬の気配。陽菜の心には、自分をこの地獄へ追い込んだ有美たちへの、ドロドロとした憎悪が沈殿していく。
この日の夜、陽菜は眠る暇なく三人の男たちに蹂躙され続けた。
一人が終われば次の男が、陽菜の疲弊しきった肉体を揺り動かし、新たな欲望を叩き込む。朝日が昇る頃、陽菜の中に残っていた「かつての自分」は完全に死に絶え、ただ生き延びるための本能と、底知れない怨念を宿した「道具」としての彼女だけがそこに横たわっていた。
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