第29話:裏切りの供物
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前回までのあらすじ:健太らによる香織への執拗な陵辱が続く中、川瀬は仲間の圧力に屈して恋人の陽菜を性的な道具として蹂躙することで支配の悦楽に沈み、一方で前日の経験と背徳的な情景に脳を焼かれた神田が、隣室の営みを覗き見て自慰に耽るなど、アパート全体の倫理が取り返しのつかない速度で腐敗していく。
それでは、第29話をお楽しみください。
※本作は規約遵守のR15作品です。過激な描写にご注意ください。
アパート『シャン・ソレイユ』を囲む樹海に、二十一度目の朝を告げる光が差し込んでいた。窓の外には絶望的な異界が広がっているというのに、204号室の中だけは、まるで切り取られた箱庭のような温かさに包まれていた。
ベッドの上で、陽菜は川瀬の腕の中でゆっくりと目を覚ました。昨日の激しい愛の証が全身の節々に鈍い痛みとして残っていたが、陽菜にとってはそれさえも、この狂った世界で「自分が愛されている」ことを証明する甘美な勲章のように思えた。
「……ん、涼太くん、おはよう」
陽菜が甘えるように川瀬の胸に顔を寄せると、川瀬は愛おしそうに彼女の髪を撫で、優しく唇を重ねた。
「……でも、ちょっと体が痛いかも。涼太くんが昨日、あんまり激しくするから」
陽菜が少し頬を膨らませて悪戯っぽく笑うと、川瀬も「悪い悪い」と声を弾ませて彼女を抱き寄せた。
「あ、痛いっ、そこヒリヒリするんだってば! 涼太くんのバカ」
「ははっ、ごめん。でも、陽菜が可愛すぎるのが悪いんだぜ? ほら、ここなんて凄く綺麗に残ってる」
川瀬が毛布を少しめくり、陽菜の鎖骨から肩口を指でなぞった。そこには昨日川瀬が執拗に跡を刻んだ、鮮やかな赤紫色の愛の痕跡がいくつも並んでいた。
「あ……見ないでよ。涼太くんが付けすぎたんだから」
陽菜は首をすくめて真っ赤になり、恥ずかしそうに肩を隠そうとしたが、川瀬はそれを許さずに彼女を覗き込んだ。
「陽菜だって、俺のここに付けただろ? 結構目立つぜ」
川瀬の首筋にも、陽菜が付けた確かな愛の跡があった。それを見つけた陽菜は、恥ずかしさに耐えきれず、川瀬の胸に顔を埋めてポカポカと彼の肩を叩いた。
「もう……涼太くんの意地悪。でも、これで涼太くんが私のものだって、誰が見てもわかるね」
ふとした拍子に、陽菜の手が布団の中で川瀬の猛るような熱に触れた。
「……あれ? 涼太くん、ここ、すごく元気だよ?」
陽菜は上目遣いでいたずらっぽく口角を上げた。柔らかな唇が、彼の昂ぶりを優しく包み込み、深く呑み込んでいく。
「……陽菜、よせって。まだヒリヒリするんだって」
川瀬は昨日の酷使による痛みを理由に止めようとしたが、陽菜は止まらなかった。その熱を慈しむように舌を這わせ、緩やかに弄んでいく。
「ふも、へんきらよ(でも、元気だよ)」
言葉にならない声で陽菜が答える。それはいつもの激しい奉仕ではなく、彼を労わるような優しい動きだった。しかし、昨日何度も果てた川瀬の身体には、もはや絞り出すべき熱は残っていなかった。
「……っ、やっぱ無理だ。出ねえよ」
川瀬は苦笑い混じりに陽菜の頭を優しく押し退け、解放させた。陽菜は名認惜しそうに顔を上げると、少し照れたように笑った。
川瀬は彼女を引き寄せ、お礼に深く吸い付くようなキスをした。ふと、滑り込ませた指を彼女の下腹部に当てると、隠しきれない情動が指先を濡らした。川瀬は陽菜にやり返すように布団に潜り込み、彼女の秘部へと顔を寄せた。昨日散々汚したはずの蕾を、今度は丁寧に舌先で刺激する。内奥を掻き乱すようにしながら、空いた指を狭い入り口へと滑り込ませ、激しく突き動かした。
「あ、んっ、涼太くん……そこ、あぁっ!」
陽菜はビクンと背中を弓なりに反らせ、シーツを掴んで激しく悶えた後、そのまま呆気なく果ててしまった。小刻みに震える彼女の体を抱き寄せながら、川瀬は自嘲気味に息を吐いた。
そんな睦まじい時間の裏側で、川瀬の脳裏を掠めていたのは、昨日102号室で田中健太と交わした残酷な「契約」だった。
『おい川瀬、そろそろお前の彼女、回せよ。いいよな?』
横山の冷酷な提案と、リーダー格である健太の無言の圧力。陽菜を差し出しさえすれば、自分は今後も健太の「側近」として安全と資源を保障されるのだ。
「……陽菜、ちょっと一階へ行かないか?」
川瀬の唐突な誘いに、陽菜は怪訝そうな顔をした。
「一階に? でも、あそこには田中さんたちが……」
「大丈夫だ。俺がついてる。それに、健太さんたちが貴重な『飲み水』を少し分けてくれるって言ってるんだ。お前も喉、乾いてるだろ?」
その言葉は、極限の渇きに苦しむ陽菜にとって抗いがたい誘惑だった。204号室の備蓄も底が見え始めていた。転移された日、パーティーをすると言って大量の食料を買い込んでいたあの頃の平和な笑い声は、今や遠い前世の記憶のようだった。何より、川瀬が「俺が守ってやる」と言ってくれた昨日の言葉を、彼女はまだ純粋に信じていた。
陽菜は不安を拭いきれないまま、川瀬に促されるように部屋を出た。共用階段を一段降りるごとに、冷え切ったコンクリートの感触が足裏から伝わり、胸のざわつきを大きくさせる。一方、川瀬の掌は嫌な汗で湿っていた。一歩踏み出すごとに自分の人間性が摩耗していくような錯覚に陥る。だが、ここで退けば自分が「獲物」にされる。その恐怖が、愛着を冷酷な決意へと塗り替えていった。川瀬は一度も陽菜と目を合わせることなく、ただ前を見つめて階段を降りきった。
102号室の扉が開くと、そこには待ち構えていたかのように、田中健太と横山達也がソファに踏ん返っていた。
「連れてきたっす、健太さん」
川瀬が陽菜の背中を力任せに押し出す。横山が即座に彼女の両腕を掴み上げた。
「嫌っ! 涼太くん、助けて!」
パニックに陥る陽菜。だが、川瀬は視線を逸らし、健太から手渡された水を貪るように飲み始めた。寝室へと引きずり込まれ、ベッドへ叩きつけられた陽菜。部屋の隅では、香織が感情のない人形のように虚ろな瞳で座っているのが見えた。
健太は陽菜の拒絶を完全に無視し、ギラギラとした欲望で彼女を見下ろした。
「ほら、泣き喚いてねえで、俺を受け入れろよ」
下衆な薄笑いを浮かべ、健太は陽菜の衣服を乱暴に引き裂いた。露わになった柔肉を大きな手で掴み上げ、形が変わるほど強く揉みしだく。
「へえ、さすが女子大生だな。張りが違うぜ」
健太は獣のように肉を噛んだ。
「痛い……痛いよぉ……っ! 涼太くん、助けてぇ!」
鋭い痛みが走り、陽菜の目から大粒の涙が溢れ出す。健太はその反応を楽しむように、剥き出しの肌へと大きな手を這わせた。指先には、ぐっしょりとした蜜がまとわりつく。
「はっ、嫌がってるわりに身体は正直だな。こんなに濡らしてやがる」
「違う……っ、それはさっき、涼太くんに……っ」
陽菜は必死に否定しようとしたが、その言葉を遮るように健太は強引に指を侵入させ、内奥を蹂躙した。陽菜が死に物狂いで暴れる中、健太は骨が軋むほど強引に彼女の腰を掴んで固定すると、逃げ場のない一撃を、最深部へと無慈悲に叩き込んだ。
「……っあ!? ――……っ!!」
川瀬のそれとは比較にならない、圧倒的な暴力。陽菜の肉体は衝撃に跳ね上がり、呼吸さえも奪われる。健太は彼女の口を塞ぐように無理やり唇を奪い、強引にねじ込まれる舌と煙草の臭いで彼女の絶叫を呑み込んでいった。
その傍らで、川瀬は自らの恋人が蹂躙される様を、避けるどころか食い入るように見つめていた。そして、あろうことか自身の昂ぶりを剥き出しにした。
「健太さん、香織さん使っていいっすか?」
川瀬が卑屈な笑みを浮かべて尋ねると、健太は腰を動かしながら顔を上げた。
「好きにしろ。こっちはこっちで楽しむさ」
承諾を得ると、川瀬はおもむろに猛ったモノを香織の顔へと押し付けた。そして、有無を言わさずその喉奥へと突っ込んだ。
「おっ、やっぱテクあるなぁ……」
さっきは「出ない」と言っていたはずのモノが、香織の口腔に刺激され、鋼のような硬さを取り戻していく。川瀬は恍惚の表情を浮かべ、陽菜の悲鳴をBGMにするかのように、香織の頭を掴んで激しく腰を打ち付けていた。
「……っ、ふ、あぁ……っ!」
健太は彼女の苦悶に歪む顔を見下ろしながら、杭を打つような激しい動きを繰り返した。
「どうだ、川瀬よりいいだろ? やっぱ女子大生は締まりが違うぜ。入りがキツくてたまんねえな」
下衆な感想を投げかけられ、陽菜の精神はさらなる屈辱に削られていく。拒絶したいはずなのに、本能は健太の放つ強烈な支配感に抗えず、内奥は卑しくも熱い蜜を溢れさせていく。
(嘘……なんで……涼太くんじゃないのに……)
次第に健太の衝撃が加速していく。陽菜が窒息しそうな苦悶を浮かべる中、健太は最高潮に達した欲望を、彼女の最奥へと執拗に叩きつけ続けた。
「おぉ、出る! 出るッ!!」
健太は野獣のような咆哮と共に、自らのすべてを彼女の奥深くへと勢いよく解き放った。最奥を焼き尽くすような衝撃に、陽菜は全身を弓なりに反らせ、意識を飛ばして痙攣した。
だが、地獄は終わらなかった。健太が身を引き、動かなくなった陽菜の口内へ、すぐさま横山が自らのモノをねじ込んだ。
「次は俺の番だ。健太さん、味見させてもらいますぜ」
横山は陽菜の上に覆い被さり、強引な行為で彼女を無理やり現実に引き戻した。そして、まだ健太の熱が残る彼女の内奥へと、容赦なく自らの塊を突き入れた。
「……っ!? ……ふ、ぅぐ……っ!!」
一突きごとに、体内に残っていた健太の痕跡と横山の欲望が混じり合い、卑猥な音を立てて溢れ出す。横山はその感触に興奮し、さらに激しく突き上げた。
「たまんねえな、この混ざり合う感じ! 陽菜、お前の中に……ブチ撒けてやるッ!」
横山は咆哮と共に、彼女の最奥へと容赦なく放出した。
すぐ傍らで別の女を蹂躙し、「最高だ」と満足げに息を吐くかつての恋人。リーダーたちに支配され、汚泥のような欲望を注ぎ込まれた肉体。その頃、廊下では神田英雄が、漏れ聞こえてくる陽菜の悲鳴に近い喘ぎ声に悶絶し、自室のドアに背を預けて卑しく果てていた。
行為を終えた男たちは満足げに汗を拭った。
「期待以上だったぜ、川瀬。これなら十分『資源』としてやっていけるな」
「……光栄っす」
川瀬は力なく笑った。寝室の奥でシーツにくるまり震える陽菜に、川瀬は歩み寄り、その冷たくなった肩にそっと触れた。
「陽菜……。これで、俺たちはもう数日は生き延びられる。な?」
陽菜はその問いに答えることはなかった。ただ、自らを裏切った「かつての恋人」を、幽鬼のような冷淡な眼差しで見つめ返しただけだった。
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